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222.黒幕

「私が見つけた情報は、こんな感じ」


 僕は、高梨さんが集めた情報を見せてもらっていた。


 高梨さんから渡された情報は、僕の推理の足りないピースを埋めるものだった。


 高梨さんの父親。


 誠さんは、社用車で事故を起こしていた。そして、社用車での事故を隠すために、プライベートで使っている車を社用車として使っている。さらに、家族には、家の車で事故を起こしたと説明。


 修繕見積もり書を見せて貰っているが、刑事さんから教えられた人身事故の際の車の損傷に似ている。


 それに、修理の見積もりの日付を確認する。


「僕が事故に遭ったのって高梨さんと誕生日会の事で喧嘩した日なんですよ」


 見積もり書の日付けは、僕が事故に遭った2日後だった。


「それに、刑事さんから事故車の可能性が高い車種の中にこれあったんですよ。事故当日は、警察の調査が行う前に雨が降りだしたらしくて、証拠が殆ど雨で流されたようです」


 大分、高い可能性で誠さんが僕を跳ねた可能性は高い。


 ただ、僕の推理は憶測の強い部分がある。


 こういう事は、捜査のプロに任せるべきだ。


「高梨さん。この後、予定ありますか?」

「うん」

「春乃さん。警察に連絡してください。そして、井原警部補と水本巡査のどちらかに繋いでもらって、この後、僕が向かいますと。お伝えしてくれれば伝わると思います」

「わかりました」


 春乃さんはスマホを取り出して、僕が手渡した警察署の名刺に書いてある番号に連絡を入れた。


 警察署と聞いて、高梨さんは少しばかり怯えていた。多分、自分が逮捕されるのかもしれないと思っているのだろう。

 多分、終業式の日から不規則な生活をした事で判断力が鈍っているのだ。


「安心してください。高梨さんが逮捕されるわけではありません。今回の事件の事に関しての重要な証拠だと思います。なので、高梨さんが可能なら証言してください。無理そうなら、僕がします」

「……わかった。頑張る」


 そして、僕が気になっている所がある。


 倉庫の鍵自体は、高梨さんのスマホで見せてもらった。しかし、修繕見積書だったり倉庫に関する書類はコピーではなく原本を持ってきている。


「高梨さん。これは、誠さんだけで動いている可能性は高いと思いますか?」

「うん。社用車の管理はお父さんの仕事だから。お母さんは、このことに関して何も知らないと思う。書斎に隠していた位だから」

「詩季くん。警察の方から2時間後に会うことが可能だって」

「わかりました。春乃さんは、僕の母さんを読んでください。母の家の方に。春樹さん、母の家に向かってください」

「「かしこまりました」」

「あぁ、羽衣は連れてこないで下さい。と伝えてください」


 春乃さんは、スマホを操作して連絡をしてくれている。


「高梨さんは、葉月さんを呼んでください」

「う、うん。お母さん、今日は家に帰っているから大丈夫だと思う」


 高梨さんもスマホを取り出して電話をしていた。


「詩季くん。しずかさんは、今から向かうそうです」

「詩季、お母さんも今から向かうって」

「春乃さん。葉月さんも向かっているから喧嘩しないようにと母さんに伝えてください」


 母さんの退職に際してのやり取りを見て、何の手回しをせずに合わせれば喧嘩を勃発しかねない。


「どうして、お母さんたちを集めるの?」

「高梨さんを保護しないといけない可能性も出てきましたから。警察署に行った際にもこの話はするつもりです」

「私を保護?」

「はい。鍵は写真ですが、書類類は実物を持ってきているでしょう」

「うん。本物の方がいいと思うから」


 確かに、本物の書類の方が信憑性が高くなる。


「本物の書類を持ち出したという事が、誠さんの書斎にこの書類がないという事です」

「そうだよね」

「書斎には、葉月さんもよく入るのですか?」

「ううん。お父さんがメイン。私が、パソコン作業をしたい時に入るぐらい」


 うん。


 だからこそ、高梨さんの身の安全は第3者の人間からの保護が必要になる。


「誠さんは、この事を隠していた。つまりは、バレたくないから。書斎からこの書類が無くなっていると気が付いたら真っ先に疑うのは、誠さんの次にここを利用する高梨さんです」

「で、でも、家族だよ?」

「誠さんは、犯罪を隠している可能性が非常に高いです。それは、バレたらやましい思いがあるからです。それが、バレそうになっている。バレたと分かった時に誠さんは冷静でいられるでしょうか?家族であっても口を封じようとする可能性があります。だから、高梨琴葉さんの身の安全を公的機関に保護してもらう必要があります」


 改めて、思った。


 家に帰った際の高梨さんの服装を見て話すと決めたことが善策だと思う。これで、インフルエンザを理由にして会うのを断った場合は、証拠がバレたと分かった誠さんにとって危害を加えられる可能性もある。


「わかった」

「僕は、高梨さんの決断を否定しません。むしろ、高梨さんの決断に関しては最大限の敬意を払わないといけないと思っています」


 今回の黒幕は、高梨誠さんの可能性が高くなった。


 捜査状況は話されないことが多いだろうが、別の情報筋で知りえる事は可能だ。


 最後のやり返しに向けての準備を始めるとする。


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