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215.体調不良

「――冬休みは、桜宮の看板を背負っている自覚を持って――」


 2学期の終業式を迎えた。


 生徒会長の僕を含めた生徒会長メンバーは、全校生徒がクラス事に並んで座っている横に座っていた。


 校長先生の長い話に、生徒は少々の飽きを感じ出している。


「詩季くん、大丈夫?」


 春乃さんが耳元で小さな声で、尋ねてくる。


「何がですか?」

「ずっと、関節付近を撫でてるけど?」


 春乃さんが気が付いているという事は、陽葵や皆も気が付いているのかもしれない。


 母さんからマスクを付けて登校するように言われてから、マスクは常に身につけている。


 春乃さんに指摘された通り、今朝から関節に痛みが出ている。


 ただ、疲れているだけだと思う。


 終業式は無事に終わり、春乃さんと奈々さんと共に教室に戻ってから、2学期の通知表を受け取ったら一般生徒は、下校になる。


 生徒会は、生徒会活動があるため残る事になっている。


「詩季くん、また明日ね」

「はい。楽しみにしていますね」


 陽葵と陽翔くんは、先に下校する。陽菜ちゃんとお留守番しないといけないそうだ。


 2人の誕生日会は明日に開催されるので、明日にも顔を合わせる事になっている。


 2人と別れてから、春乃さんと奈々さんと共に生徒会室に移動して星川先輩と合流して、守谷先生の到着を待つ。


 到着を待つ間に、生徒会の資料整理を行う。


 今回の生徒会の引き続きにおいて1番時間がかかったのが資料整理なので、今からやれる分はやっておく。


「全員、揃っているなぁ〜〜」


 気だるそうに守谷先生が、生徒会室に入ってきた。


「揃っていますよ」

「んじゃ、冬休みの生徒会活動についてだが……お前らの仕事がスムーズすぎて、緊急時を除いて生徒会活動をする必要性がないんだよな」


 僕自身も予想外だったが、日頃から計画的に生徒会の仕事をしていたお陰もあって冬休みにしないといけない仕事は、残っていないようだ。


「……それで、白村」

「はい?」

「体調大丈夫か?」


 今日は、僕自身の体調を心配される事が多い気がする。


 動き自体は、いつも通りだ。


 ただ、関節が痛いだけなのだ。


「んまぁ~~今日は、終わりにしよう」


 生徒会業務は、今日は終わりになった。


 何時もは、春乃さんに送ってもらっているが、心配した奈々さんも付いてきている。


「詩季くん。体調が悪くなったらこの病院に行って。黒宮の最新鋭の治療を受けられるから」


 家に着いたタイミングで、春乃さんから1枚の名刺を渡された。


 そこには、病院名が書かれていた。


「この病院は、僕が脚の件で入院した所ですね」

「そうなんだね」


 春乃さんと奈々さんは、心配した表情を見せながら帰って行った。


「ただいま」

「……」


 静ばぁは、オデコを触って来た。


「何ですか?」

「熱はないね」


 静ばぁも僕の体調を心配してくれた。


「何か、今日はよく体調を心配されますね」


 部屋に戻って、今日予定していた勉強を終えてから夕食を食べてお風呂に入ってからベットに入って就寝準備をする。


「ヤバいがも……」


 寒気が凄い。


 そして、喉も痛い。


 熱っぽい気もする。


 散々、体調を心配されて大丈夫だと交わしていた結果がこれとは。


 とりあえず、一晩寝れば体調は回復する可能性はあるだろう。


 明日、起きてから朝一で病院に行って診察を受けよう。


 最悪、風邪だ。


 ただ、日頃の疲労が溜まっているだけだろう。


 しっかり、寝れば明日には体調は回復しているだろう。


 僕は、身体の異変を押し殺しながら無理矢理寝ることにした。






「ヤバァイ」


 翌朝になっても体調は良くなっていない。むしろ、悪化しているまである。


 咳も出ている。


 何とかリビングまで移動して、祖父母のどちらかに病院までの車を手配してもらおう。


 今の僕がスマホを使ってまともに字を入力できる気がしない。


 杖をついて、視線がぼやける中壁伝いにリビングに向かって移動していく。


 身体中が重い。


 この体調では、陽葵と陽翔くんの誕生日会には行けないのは確定だ。


 多分、意地だったのだろう。


 彼女の誕生日会に出席出来ない事が嫌だった……いや違う。弱い自分を見せたくなかったのだ。


 体調不良の予兆は、招待状を貰う以前から出ていたではないか。


 リビングに着く直前に、僕は自力で立つことが出来ずに倒れた。


 ガタッ!


「詩季にぃ?!静ばぁ!」


 音に反応した、羽衣が倒れた僕を発見して静ばぁを呼んだ。


「羽衣、救急車はいりません。この名刺の病院に向かってください」

「うん」

「後、春乃さんを呼んでください」


 羽衣は、僕からのお願いを迅速に動いてくれた。


 病院へ向かうための車は、春乃さんが春樹さんに頼んで用意していそいで来てくれた。母さんも連絡を受けてから、寝巻きに上着を羽織った状態で来てくれた。


 僕は、祖父と羽衣に支えられてリビングのソファに移動して寝転がっている。


「詩季くん。大分、悪化してるね」


 春乃さんは、あえて大丈夫と聞かないでくれた。そう聞けば、強がりな僕なら大丈夫と答える事が目に見えていたから。


「春乃……にお願いがあります」

「うん」


 喉が痛いせいで、上手に声を出す事が出来ていないように思う。


「部屋に、陽葵と陽翔くんへのプレゼントがあります。2人に渡してください。それと、謝っといて」

「解ったから、大人しく病院に行って治療を受ける事。病院までは、私も付き添うから」


 その後、春樹さんと母さんに支えられて車に乗り、母さん・羽衣・春乃さんの付き添いで病院に急行した。

 祖父母は、後で来てくれる事になった。


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