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211.相談

「ただいまぁ~~」


 春樹さんに家まで送ってもらった。


「おかえり」


 静ばぁが出迎えてくれた。


「久しぶり」

「……少し、やつれた?」


 おばさんにも母さんにもやつれたと言われたが、本当にやつれたのだろう。


「1週間慣れない環境に居たからですね。見えないストレスでも感じていたのかもしれませんね。関節も少々痛いですし……」


 最近、関節も少しばかり痛くなっている。


 冬になって気温の変化も要因しているのだろうと思う。数日もすれば、元通りになるだろうと思う。


「体調悪くなったら言うんだよ」

「はい」


 リビングに行くと羽衣がゲームをしていた。


 車の中で寝たことで、体力は回復したのだろう。


「おかえりぃ~~陽葵ちゃんといちゃいちゃできた?」

「試合の応援だからイチャイチャ出来ないよ」

「出来る環境ならするんだ」

「もちろん」


 もちろん、陽葵とイチャイチャしたいに決まっている。だから、2人きりなどの環境とかになったらスキンシップを取ったりしたい。その先に関しては、陽葵との同意のもとだと思うけど。


「2人きりのお泊りをしたいなら私たちは協力をするよぉ~~静ばぁ達も協力するって」


 祖父母を見ると、2人ともウンウンと頷いていた。


「僕たちの恋愛に巻き込む訳にはいかないと思いますけど……」

「いいじゃない。詩季にとっては、陽葵ちゃんとの出会いが貴重なんだし……そもそも、詩季はわがままを言わなさすぎ。もっと、言っても良いんだよ」

「わかりました。わがままを言えるように頑張りたいと思います」

「頑張る所じゃないんだよなぁ~~」


 羽衣に呆れられているが、性格がこうなので仕方がないと思う。


「荷物とかは、春樹さんが運んでくれたよ。荷出しは、私の方である程度しといた」

「ありがと」


 部屋に行くと、キャリーケースは、所定の場所に置いてあり、小物系は僕の方で処理してくれと机の上に置いてあった。洗濯物とかは、羽衣の方で洗濯機に入れてくれたのだろう。


「羽衣、ありがと」

「おうよ!詩季にぃさんのやりたい事の為に協力するぜぇ!」


 この羽衣のテンションも懐かしい。


 黒宮本邸にいた時は、遠慮もあってこんなには明るくは無かった、


 やはり、僕と羽衣には、ここの環境が合っているのだと思う。


「お、詩季。帰ってたんだ」

「おかえりなさい。母さん。買い物?」

「うん。夕ご飯の買い物」


 帰ってきた時に、母さんが居なかったので、既に家に帰ったのかと思ったが、夕ご飯の買い物に出ていただけのようだ。


「今日は、鍋だよ。寒いからね」

「おぉ〜〜鍋!寒いこの時期には、もってこいだよね!」


 羽衣は鍋にご満悦だが、僕は少々身が引けている。


「あれ?詩季は、鍋は嫌な感じ?」

「母さん、嫌なんじゃなくて、沢山食べさせられるからこの表情なんだよ!」


 盛り付けられた料理だと、食べるノルマが決められているのでそれを食べ切ればご馳走様なのだ。


 だが、鍋から取り分けるとなると、ノルマの上限が見えないのだ。だから、かなり食べさせられるのだ。


「そんな事か。詩季、あんた食べないとダメよ。将来的に、陽葵ちゃんと結婚したとしてその先の事を考えるとね?」


 母さんも僕の恋愛事情は把握している。


「で、ですが、胃の容量がですね?」

「それを少しずつ増やしていくの。わかる?」

「は、はい」

「元気な子を産むためには、父母共に健康体で居なければならない。その身体を今から作らないとダメなの」

「あ、あの……」

「なに?」


 何故、少食な事と出産に関しての話題が出てくるのだ。


「い、いえ。何でもありません」


 これ以上、母さんに抗議しても無意味だと悟ったので白旗を振る事にした。






 静ばぁと母さんがリビングで夕ご飯の準備を始めたタイミングで、僕は陽葵と陽翔くんの誕生日会の招待状を羽衣にも見せた。


「おぉ〜〜陽葵ちゃんの誕生日会!」

「羽衣も招待されてるよ」

「おぉ、私も!」


 封筒の中には2通の招待状が入っており、僕と羽衣の分だった。


「プレゼント、考えてんの?」

「色々と候補は上げているんですけど、絞り込めないどころか、増えていくばかりで……羽衣、協力して?」

「しゃ〜ないなぁ〜。将来の姉さんのためだかんね。一肌脱がないとね」


 羽衣は、陽葵へのプレゼント選びを手伝ってくれるようで、心強い。


「いい案思いついたよ!」

「なに?」

「詩季にぃが、全裸になってリボン加工して、プレゼントは、ぼ――アダァ!」


 とんでもない事を言い出した、羽衣には手刀をお見舞いする。


「痛いなぁ、協力してやってんのに!」

「何処ぞの大人の漫画の逆転版じゃ!」

「えぇ〜〜そうすれば、陽葵ちゃんは女狼になると思うけど?」

「そう言うのじゃなくて、思い出に残る物とか――」

「裸リボ――真面目に考えるから、手刀の構えはやめようか?詩季にぃ?」


 何とか、羽衣を真面目に考えさせる方向に誘導できたので、今考えている候補を示して「これは無い」を消してもらった。


 ただ、羽衣も選択が難しいようだ。


「難しいの羽衣?」

「だって、詩季にぃさんの誕生日に指輪送る彼女だよ?喜ぶラインがわからねぇ。多分、何を貰っても喜ぶけど思い出に残るとなるとねぇ」


 僕も指輪を貰ったのでそのお返し考えると候補が増えたのだ。


「仕方ねぇ、明日の放課後買い出しじゃ〜〜」



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