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206.ナンバープレート

 主目的を達成した、僕は、会議室に戻る事にした。


 後は、大人たちの交渉が終わるのを待つだけた。


「今日、高梨さん達が呼ばれたのは、交渉材料ですか?」

「うん。交渉に行き詰まった時のカードにしたいって」

「なるほどです」

「昨日の時点で、わかってたの?」

「帰る間際に、また明日と伝えたでしょ?」

「うん」

「その時の反応で確信しましたね」


 昨日、家の前で会って話した際に、明日の交渉の場に来る可能性を感じた。だから、帰り間際に、少々探りを入れた。


 つくづく思う。


 僕は裏方向きなのだろうと。


 僕が表に出て上手くいく試しがない。


 生徒会役員の任命だって、奈々さんのフォローがあって上手く行ったのだ。


 そこから、会議室に着くまでは、高梨さんは終始無言だった。


 会議室に着くと、母さんが書類を未来創造側に手渡してサインをさせている所だった。


「話し合いは終わりましたか?」

「おかえり、詩季。終わったよ。とりあえずは、次回交渉に持ち越しの部分はあるけど」


 取引に関しては、従来通りに契約期間満了で打ち切り。設立資金の返済分に関しての話し合いは、次回に持ち越しになるそうだ。


 ちなみに、スワングループ側は、予想通り、子ども達を交渉材料に持ち出したみたいだが、元々の残り契約期間は、僕らが大学を卒業する年まで残っているようだ。


 取引の契約更新の際に、今回の更新限りで打ち切りを告げたみたいだ。


 つまりは、他の企業は打ち切りが早いかもしれないが、スワングループとは子供たちが大学4年までは、取引するから意味なし。


 そう告げられているも同然だ。


「詩季も、気が済んだ?」

「はい。真実に1つ近づく事が出来たと思います」


 未来創造側が、書き終えた書類をスワングループの代表者がファイルに閉まった。


「それと、これは黒宮家からの脅し」


 母さんが、父親達を睨んでいる。


「な、なんだ……」


 父親達は、まだ話があるのかと戦々恐々と言った感じだ。


「詩季と羽衣が、黒宮家の一員だという事を学校内で吹聴しないこと。これは、子供たちへのお願い。大人達への注意喚起」


 母さんからは、僕の学校生活を守ろうとする覚悟が伺える。

 覚悟を持った大人というのは、かっこいい。僕も、覚悟を持てているのかと考えさせられる。


「わ、わかった。子供たちにも注意する」

「それじゃ私達は帰るよ――って、詩季?」


 僕は、高梨さんの父親である誠さんの前に行った。


「お久しぶりですねぇ。誠さん」

「ひ、久しぶりだな。詩季くん」


 ファミレスの時から思っていたが、僕の姿を見るとバツが悪そうになる。今日は、特にその傾向が強かった。


 恐らくは、黒宮の紋章を見たからか。


「お1つ質問よろしいですか?」

「な、何かな?」


 僕が、黒宮の人間だからなのかだろうか、たかが子どもの質問にうろたえ過ぎだ。


「社用車のナンバープレートが変わっていますけど……車を変えたのですか?」

「「「――え?」」」

「い、いや、変えていないが?以前と同じだろ?」

「そうですか……昨日、家に寄って中等部時代のアルバムを見たのですが、その時の車のプレートの番号……変わっていたんですけど」


 アルバムの写真は、小学生の時に父親たちの会社に遊びに来た時に、社用車の前で撮った写真だ。


 未来創造の中で、1番社用車を使っていたのは、誠さんなので、社用車は、誠さんの運転しやすいのを選んでいた。


 誠さんの表情を注意深く観察する。


「き、気のせいじゃないかな?」

「…………」

「ど、どうしたのかね?」

「そうですよね。数年前の記憶ですから曖昧になっていたのかもしれませんね」


 僕がそう言うと、誠さんは、少しだが表情が和らいだように見える。


「高梨さん。罪悪感の話をしましたね」

「う、うん」


 僕は、母さんの元に戻る途中に高梨さんに、注意喚起しておく。


「自分に関係のない罪悪感は、感じないが1番ですよ」

「????」


 高梨さんは、疑問に思っていたようだが、僕は、そのまま会議室を後にして、未来創造からも出て、黒宮本邸に戻る。






「お父さんに関しては、詩季への接近禁止を言い渡したから」


 黒宮本邸に戻る車内で、母さんからそう告げられた。僕が、社内見学をしているうちに、話を付けていたようだ。


「そうですか。なら、一安心ですね」

「そうだね。明日にでも、お家に戻る?」

「はい。久しぶりに、静ばぁと健じぃに会いたいですし」


 明日に、母方の祖父母のお家に戻ることにした。話は、母さんの方から清孝さんに入れてくれるようだ。


「2人は、元気にしていますか?」

「元気だよ。ただ、2人とこんなに離れるのが久しぶりだから、少しばかり寂しかったみたい」

「そうですか」


 中等部3年から、2人と生活を続けていた。


 だから、1週間も離れているのに、慣れていない部分もある。


「ところで、詩季にぃ」

「なに?」


 羽衣が、話しかけてきた。


「目的は達成できた?」


 羽衣からの問いかけに、僕はコクンと一回頷いた。


「知りたい事は知れました。後は、捜査機関がどう動くかですね」


 今回知りえた情報は、捜査機関に手渡すつもりだ。


 何せ、僕が捜査するよりプロに任せるべきだ。


 僕は僕で、父親に対するやり返しの段階を上げるために道筋を作るか。


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― 新着の感想 ―
 あの事故は、この社用車で業務上過失傷害を起こした? 運転者は、だぁれ?
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