182.告白
「詩季にぃさん、おかえりぃ~~デパートまで買い物に行くから1時間は家を空けるよぉ~~」
僕が家に帰宅したタイミングで、羽衣は祖父母を連れて、電車で数駅先のデパートに買い物に出かけることにしたようだ。まぁ、時間も考えると駅近にあるショッピングモールが実だろう。
「陽葵さん、僕の部屋に行きませんか?」
「うん!」
リビングで麦茶を用意して陽葵さんに持ってもらって、僕の部屋に2人で移動した。
麦茶は、部屋の机の上においてベットの上に、2人で座った。
「あわわぁ~~ふにゃ~~」
陽葵さんの頭を予告なしに撫でたが、陽葵さんは抵抗する事無く受け入れてくれた。陽葵さんが、僕の事を友人以上の感情を持ってくれている事が、嬉しいと思う。ない事だが、奈々さんを撫でた際には、ボコボコにされる事は、間違いないだろう。
「陽葵さん、顔がとろけすぎですよ」
「だって、詩季くんに撫でられたんだもん♪」
陽葵さんは、僕の事を信頼かつ信用してくれている。
そして、ここまで表情が崩れているのを見ると、更にイタズラをしたくなるのが、人間の習性と言っても仕方が無いだろう。確か、陽翔くんからは、脇腹が弱点だと聞いたことがあった。
「ん……あはははははぁ~~」
陽葵さんの脇腹を擽ると、陽翔くんの情報通りに弱点のようで、笑いながらベットに寝転がった。逃げようと思えば、簡単に逃げられるが、逃げないで、僕に擽られ続けられている。
「詩季くん……ギブ!ギブ!」
「なら、逃げればいいじゃないですか?」
「だって、逃げたら、詩季くんが私の事触れなくなるし!」
何だろう。
絶妙に、僕にとって嬉しいことを言ってくれるのだろうか。
「あははぁ~~はぁ~~はぁ~~あははは!」
なら、お言葉に甘えて陽葵さんの脇腹を擽り続けると、陽葵さんの息遣いが、僕の理性を崩壊させる方向の声になってきたので、擽り攻撃をやめた。
陽葵さんの髪が乱れていて、この様子も僕の理性を崩壊に導きそうだ。
スカートもかなりはだけていた。
いつも通り、陽葵さんはスカートの中には体操ズボンもしくは、短パンを履いているだろうと思って、はだけているスカートを戻そうとして、陽葵さんの下半身付近に視線を動かすと……
灰色の布が見えた。
体操ズボンの色ではない。短パンの形状をしていない。
という事は、陽葵さんのパンツが目に入っている事だ。
僕は、見入ってしまっていた。
すると、陽葵さんが復活して起き上がり、僕の視線の方向を向くと、慌ててスカートを戻していた。
その仕草でハッとして、陽葵さんの表情を見ると頬を赤くしていた。
僕は、思った。
ここは、正直に謝っておこう。
「陽葵さん、すみません。短パン履いていると思って……言い訳はしません。パンツをマジマジと見てしまってすみません」
僕が頭を下げると、陽葵さんも慌てて頭を上げるように言って来た。
「体操ズボンはね、体育祭で汚れたから、あのまま履いたらスカート汚れるから脱いでたの。それと、パンツ見られた事は怒ってないよ?」
「ほんと?」
「怒っているって言うか、恥ずかしいって言うか……」
「????」
陽葵さんの言動が、不思議で仕方がない。
パンツを見られた事は、怒っていないが恥ずかしい。その理由はわかるが、陽葵さんの様子的に、他の理由もありそうだ。
「あ、あのね……今日は、運動する前提だったからスポーツ用の下着でね……詩季くんに、見られるなら、もっと可愛い奴が良かった……的な感じ?」
最後に、疑問形で返してくる事が愛おしい。
と言うか、僕に見られるなら可愛い下着の方が良かったと言われて、内心は、フィーバータイムが到来している。
何だろう。
陽葵さんに、告白しようと思っていたが、そう言う空気ではなくなった?でも、緊張はほぐれたと思う。
もしかしたら、これも僕達クオリティなのかもしれない。
「陽葵さん」
「……なに?」
陽葵さんが、改めて持ち直したタイミングで、真剣な表情で問いかける。
「陽葵さんと正式に、恋人になりたいです」
「えっ?」
陽葵さんは、フリーズしている様子だが、僕自身もテンパっているのだろう。
「そ、その、唇でのキスやHが出来る恋人になりたいと言うか……以前の恋人前提を無くして――」
「うん!恋人になろ!」
そう言うと、陽葵さんは、僕に、抱きついてくれた。
「詩季くん。珍しく、慌てたね?」
「そりゃ、緊張してましたし」
「でも嬉しい!好きな人と恋人になれたもん!」
陽葵さんの抱きつく力は強くなっていた。
僕の自分勝手な事情で、恋人前提の友人という関係にさせてしまったが、それは僕の覚悟の無さが招いた事だ。
「すみません。恋人前提なんていうキープみたいなことをしてしまって」
「大丈夫だよ。でも、告白しようと思ってくれた理由はなに?」
「今日の体育祭での陽葵さんの活躍を見て、陽葵さんを独り占めしたいって気持ちを強く持ちました。その時に羽衣から背中押されましたね」
「羽衣ちゃんに、感謝だね」
僕は、1つの衝動に駆られた。
恋人だと言う証的な行為をしたかった。
「陽葵さん、キスしていいですか?」
「あはは!聞かなくても、肩とか掴んで見つめてくれたらサインだと認識するよ?」
陽葵さんは、笑いながらも目を閉じて受け入れ態勢を取ってくれたので、陽葵さんと唇でのキスをしたのだった。




