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181.甘え

「閉会式は、このような流れになります」


 体育祭の全ての競技が終了した。


 僕含めた1年生生徒会役員は、運営本部に戻って閉会式に向けた最終打ち合わせを終えてから中等部の生徒会に、流れを説明した。


「閉会式の前に、決勝に残ったクラスの代表者は運営本部付近に集合して下さい」


 放送委員のアナウンスがあった数分後には、決勝に残ったクラスの代表者が運営本部に集まった。


 上位3位には、表彰される。うちのクラスからは、僕を除いたMVPである陽葵さんが来ていた。


「いやぁ〜〜1勝1敗の五分だったねぇ〜〜」


 話しかけてきたのは、3年1組の代表で運営本部に来ていた松本先輩だ。


 決勝の騎馬戦は、結局、3年1組に負けた。


 惜しい所までは行ったのだが、最終的には、体格差で押し切られてしまった。


「まぁ、負けは負けですよ。同い年なら負けなかったですけどね」

「負け惜しみかぁ〜〜」


 3年1組もハンデはあった。


 古河先輩が、生徒会長選挙の1件で警告3枚を貰い謹慎処分中だった。橋渡先輩は、暴力行為による警告2枚。かろうじて、謹慎は間免れたらしい。


 3年1組も絶対的なリーダーが、没落してから初めての体育祭だったのだ。

 だけど、クラスとして機能したのは、松本先輩の手腕だ。流石、黒宮に長年仕える人だ。


 最近入ったばかりの新参者にはまだまだ距離がありそうだ。


 閉会式が進んで、2位となったうちのクラスの代表の陽葵さんが、表彰状とトロフィーを受け取る。


 本当に、可愛い。


 愛おしい。


 あぁ、これはもう我慢出来ないかも。新たな覚悟を持つ必要が出てきた。


「なぁ〜にぃ〜?詩季にぃさん。体操ズボンの間から陽葵ちゃんのパンチラ狙ってる?――んぎぃ」


 閉会式、隣に腰掛けていた羽衣にそう言われたので、羽衣の太ももをスカート越しに抓っておいた。


 舞台から降りた陽葵さんに、軽く手を振ったら、陽葵さんもにっこり笑いながら手を振り返してくれた。


「いい加減、付き合いなよ」

「そろそろ、僕が覚悟を決めないとですね」

「そうだよ!」

「まぁ、羽衣」

「なに?」

「一応、式中なので残りは、集中しましょう」

「へぇ〜い」






 閉会式終了後は、片付け担当の生徒以外は、各クラスで解散となる。


 生徒会も片付けの指揮を取り終了後には、体育館にある更衣室で制服に着替えてから生徒会室に集合する事になっている。

 男子の生徒会が居ないので、サッカー部として片付けに残っていた瑛太くんに着替えを手伝って貰った。


 今日は、生徒会終了後の奈々さんを待って、一緒に帰るようだ。


「奈々さんは、これから生徒会新聞の制作と新聞部の取材の日程調整をお願いします。春乃さんは、体育祭の書類上の事後処理を。僕と星川先輩は、来週にある中等部体育祭の視察に向けての準備をこれから1週間の活動になります」


 これからの生徒会活動の報告を終えた頃には、17時30分を過ぎていたので、急いで帰宅する事にする。


 春乃さんには、家まで送って貰うことになっている。奈々さんには、最初、疑われたが、理由を説明して納得してもらった。(黒宮関係は言っていない)


 奈々さんは、教室で瑛太くんと待ち合わせをしているらしく、生徒会室を出た後で別れた。春乃さんと下駄箱に移動すると、陽葵さんが待っていた。


「詩季くん、私も一緒に帰って良い?」

「はい」


 陽葵さんも一緒に帰る事にした。春乃さんは、予定を変更して春乃さんの自宅の最寄り駅までは、3人で帰る事にした。


 予定通り、春乃さんは自身の最寄り駅で降りて、そこからは、僕と陽葵さんの2人で帰宅する事になった。


『 (白村詩季) 陽葵さんと一緒に帰る事になった 』

『 (うい) おぉ~~、じゃ、静ばぁと買い物行って来るから頑張りな!』


 一緒に帰ると報告しただけなのに、羽衣は何を勘違いしているのだろうか。まぁ、陽葵さんと2人にしてくれるのは有難い。

 少しばかり、陽葵さんとイチャイチャしたいと思っていた。陽葵さんが受け入れてくれたらだけど。それに、体育祭の陽葵さんの活躍を見ていたら、彼女を自分だけの特別な存在にしたいと言う独占欲だと思える感情を覚えた。


「陽葵さん、家に寄って行きますか?」

「うん!お母さんにも、ゆっくりしてもいいって言われてる」

「何か、羽衣と祖父母は買い物に行っていて、少しばかり2人ですけど――」

「大丈夫!」

「少しは悩まないんですか?男の子と2人きりですよ?」

「何、解り切った事聞くの?詩季くんとなら2人きりは、本当に嬉しいし、何されてもいいから!」


 陽葵さんは、僕の事を本当に信用してくれている。その信用に甘えていただけだ。


 何されてもいいと言われると、理性が飛びそうになる。無意識で、言っているのだろう。意識的ならタチが悪い。


「陽葵さん、家でゆっくりしていきませんか?」

「うん!」


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