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177.デート

 昨日の話し合いは、中高生徒会が、それぞれの体育祭に視察するための打ち合わせだった。


 高等部と中等部は、1週間違いでそれぞれ体育祭を行う。

 その際に、視察とその体育祭が公平に行われているかの立会人として、中等部生徒会は高等部体育祭に、高等部生徒会は、中等部体育祭に行く事になっている。


 体育祭は、先に高等部で開催された次に中等部で開催される。


 今日の体育の時間は、体育祭に向けての競技練習だ。


 体育の先生の指示の下クラスメイトは動いている。


 脚が不自由な僕は、いつも通りに、レポートをまとめる事になっている。


 レポートと同時進行で、ノートに競技練習をしているクラスメイトの情報を記していく。


「それじゃ、休憩。水分を取るように」

 

 元々、うちの学校では体育祭は、10月開催だ。数年前までは、9月から体育祭に向けての練習をしていたが、昨今の夏場の気温を考えて、10月から練習を開始するように変えたようだ。


 体育教師曰く、リーダーは、クラスメイトの能力把握は大変だし、競技だって練習期間が短くなる分、質の練習をしないといけないと口酸っぱく言うが、僕たちがこの学校に中等部で入ってから体育祭の練習は、10月からだったので実感がない。


 持ち込んだバインダーに挟んだルーズリーフに生徒の情報を記している。


 すると、休憩がてら陽葵さんが、こっちに来た。


「詩季くんが、見ていなかった所の感想言いに来た」


 同じ練習をしているが、僕は離れた所から見ているのに対して、陽葵さんは、現場から見ている。


「どうでしたか?」

「そうだね――」


 陽葵さんからの報告を、記録していく。


 実際の現場で起こっている事は、大きな情報だ。


「こんな感じだけど、どう?」

「うん。参考になるよ。ありがとうございます」


 僕は与えられた情報をもとに次のホームルームで決める。誰がどの競技に出るかの案を考える。


 恐らく、考えている時の僕の目は、ハート柄のハイライトが何色かで光っているのだろう。


「っと、そろそろ戻るね!」


 陽葵さんは、練習に戻って行った。


 ぎこちなくなっている。


 僕の生徒会長選挙以降、何だか陽葵さんの態度がよそよそしい。


 以前のスカートの中を自ら見せてきたりするようなはちゃめちゃが消えている。何というか、大人しくなったような気がする。






 放課後になった。


 今日は、生徒会はお休みだ。就任してから毎日生徒会活動していたが、新たに生徒会担当になった守谷先生から強制的に休むように言われた。このままだと体調を崩してしまうし、友人たちとの人間関係も大事にしなさいという事だ。


「陽葵さん、今日はこの後、生徒会活動は無いので、2人で一緒に帰りませんか?」

「うん!」


 久しぶりに2人で帰る事を提案したら、陽葵さんは嬉しそうな表情になった。


 告白して恋人前提の関係になってからではないか。僕が、生徒会長選挙に挑むと決めてから、少々、距離が出来ている様に思える。


「陽葵さん。今からデートしましょう」

「デート?!大丈夫なの。静子さんは何て?」


 夏休みに、2人でのデートはダメと言われていたので、それが気になっているようだ。


「家の近くに、カラオケとネットカフェがある施設があるんです。そこなら、大丈夫みたいです。久しぶりに、陽葵さんと2人になりたいんです」

「うん!」


 電車に乗って、自宅の最寄り駅に到着してから目的の施設について受付を済ませて、指定された部屋に移動する。


 部屋は、カラオケも出来たりするカップルシートだ。


「カップルシート初めて入ったよ!」


 陽葵さんは、リュックを降ろして椅子に座る。僕を支えて先に座らせてからもあるし、僕と2人で警戒心が薄れているのだろう。座る際には、スカートの中が見えていた。まぁ、体操ズボンだったのだけど。


「詩季くん、何する?」

「陽葵さん。スカートの中、見せてください」

「ふえぇ?!いいよ。体操ズボンだけどね」


 驚きながらも陽葵さんは、スカートを捲って見せてきた。そして、僕は、口元を押えて笑いを堪えた。


「んなぁ、詩季くんから見せてって言ってきて笑うとおかしくない!!」


 当然ながら、抗議された。


 だけど、抗議してくる陽葵さんの声は、以前と同じように感じれて一安心だ。


「いやぁ〜〜僕が原因なのはわかってますけど、陽葵さんと距離が出来ている気がして……スカートの中見せてくださいって言ったら、今までの陽葵さんが出てくると思ったんです」

「なんだぁ〜〜そういう事か。まぁ、私も成長したいって思ってね」


 陽葵さんが成長をしたがっていることは、見ていて感じていた。


「確かに、雰囲気が変わりましたね」

「ほんとに!」


 陽葵さんは、嬉しそうだ。


「それは、詩季くんもだよね。夏休みの最後らへんから、目的に向かって一直線」

「そうですね。目的のために、目的外の大切な物を見失う所でしたね」


 僕は、そう言いながら陽葵さんの頭をなでた。すると、陽葵さんも僕の頭をなでてきた。


「お互いに、褒め合い!」

「僕たちは恋人前提ですし、頑張る所は頑張って、甘える所はとことん甘えましょう。お互いに」

「そうだね!」


 何とか、拗れる前に陽葵さんとの関係を確認できて一安心だと思う。


「じゃ、膝枕お願いしていいですか?」

「うん。体操ズボン脱ぐね」


 膝枕する時はズボンを脱ぐというのが、陽葵さんの拘りなのだろう。


 その後、時間が許す限りキスより手前の範囲でイチャイチャしたのだった。


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