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162.選挙管理委員会

「どっちにする?」

「なぁ〜〜悩むとこだよな。中等部で生徒会長経験のある星川か、現会長が推薦している橋渡……」


 学校内では、立候補が表明された橋渡先輩と星川先輩のどちらを生徒会長として推すかの話しが、至る所でされていた。


 やはり流れは、星川先輩対橋渡先輩の構図になっている。


 さぁ、どこまで2人が固定票を増やすのかが見ものですね。


「詩季くん、何かあるの」


 僕は、陽葵さんに着いてきてもらって立候補を表明した星川先輩と橋渡先輩のポスターが貼ってある掲示板の前にやって来ていた。


 立候補してすぐにポスターを貼っている時点で、前々から準備をしていたのだろう。


「いやぁ~~色々と考える事がありましてねぇ~~楽しくなりそうですよ」

「そ、そうなんだ……」

「移動しましょうか」


 僕と陽葵さんは、人気の無い場所に移動した。


『 (白村詩季) 春乃さん。明日から駅で合流して一緒に登校しましょう』

『 (はるの) わかりました』


『 (白村詩季) 奈々さん。明日から駅で合流して一緒に行きましょう。もちろん、瑛太くんも一緒で良いですし、部活動の時間があるなら合わせます』

『 (なな) わかった!バカにも言っとくね。皆で、一緒に行くのかな?』

『 (白村詩季) 春乃さんには、声を掛けて了承済みです。陽葵さんたちには、今から声を掛けます』

『 (なな) りょーかい』


「ねぇ、詩季くん」


 2人にメッセージを送っていると陽葵さんが、僕の肩をツンツンと叩いて来た。


「どうしたんですか?」

「さっきから、誰にメッセージ送ってるの?」

「春乃さんと奈々さんです」

「生徒会長選挙のこと?」

「そうですね。一応、陽葵さん。生徒会長選挙に、僕が立候補する事はくれぐれも喋らないで下さいね」

「うん」


 僕陣営は、基本的に情報戦を展開するつもりでいる。だからこそ、生徒会長に立候補する以外は、陽葵さんには話すつもりは無い。


「明日から、学校に行くメンバーに春乃さんと奈々さんを加えます。瑛太くんも奈々さんに付いて来るでしょう。陽葵さんは、どうしますか?」

「それって……」

「瑛太くんと奈々さんの部活の時間に合わせます」


 2人は、サッカー部で活動している。


 朝練とかもあるだろう。


 こっちから一緒に行きたいと言うのだから、時間も合わせるのが筋だろう。春乃さんに関しては、別の形で返さないといけないかもしれない。


「私も一緒に行く!」

「そうですか。陽翔くんも誘ってくれますか?」

「陽翔?」

「はい。仲の良い6人で一緒に登校したいですからね」

「うん!」


 陽葵さんは、笑顔で答えた。


 6人で居ることが大好きな陽葵さんは、皆で、登校できる事が嬉しそうだ。


 ただ、今回の目的は、春乃さんと奈々さんの一緒に登校する事に目的がある。






「本日のお仕事終了!」

「「「お疲れ様です」」」


 生徒会の業務が終了した。


「お先、失礼します」


 星川先輩は、いち早く荷物をまとめて帰宅して行った。


「古河先輩」


 橋渡先輩は、古河先輩の元に歩み寄っていた。


 露骨に、選挙戦の構図に別れている。


 生徒会内に、自分の推薦人が居る古河先輩は、生徒会業務が終了してすぐに、話し合いを始めようとしているようだ。

 対する、生徒会内に推薦人が居なくて、友人が推薦人になっている星川先輩は、生徒会業務終了してすぐに帰宅した。こちらも、打ち合わせだろう。


「優花、お前もこい」

「……今日は、帰りたいんだけど?」

「大事な後輩の選挙だぞ?俺たちの後継者だぞ?今頑張らなくてどうするんだ!優花のわがままで、選挙管理委員会は無しにしてやったんだからな」

「では、お邪魔虫は帰宅しますねぇ〜〜お先です」


 古河先輩の言動が、気に食わなかった僕は、松本先輩にアイコンタクトして陽葵さんと春乃さんと共に、生徒会室を後にした。


 あぁ、なるほど。


 松本先輩が、古河先輩を切り捨てる理由がわかった気がする。


 おばさんや清孝さんが、人間関係……特に、恋人関係が崩壊するのは、性関係だと言っていた理由は、これだろう。


 理想主義者の古河先輩に、振り回され続けた挙句に、感謝を示されず、身体的関係も一方的。


 男女交際の悪い例と言う訳か。


「ねぇ、詩季くん。松本先輩って選挙管理委員会になる予定だったの?」

「そうですよ。生徒会推薦枠でね」


 選挙管理委員会は、各クラス委員の1名に教師陣の推薦1人に、生徒会推薦の1人がメンバーになる。


 古河先輩としては、自身の応援する候補を当選させるべく松本先輩を推薦するつもりが、拒否されてしまったようだ。生徒会推薦枠は、松本先輩の友人になったようだ。


「断ったみたいですよ。選挙管理委員会になってしまえば、投票権を失いますからね」


 選挙管理委員会になる事の1番のデメリットは、投票権を失うことだ。


 中立的立場を求められる選挙管理委員会は、投票権を失うのはもちろんだが、推薦人になる権利もなくなるのだ。もちろん、特定の候補の応援も出来なくなる。


 松本先輩が拒否した表向きの理由は、自分も候補者を応援したいと言う事だ。


 まぁ、上手い言い回しだよね。


 候補者を応援したいだけだと、誰を応援するかを指していない。聞く側が、想像しないといけないのだ。


 まぁ、僕は自分の心配をするか。


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