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145.関係②

「誤解を招きたくありませんので、正直に話すと、僕と春乃さんが主従関係になったのは、今月の中旬辺りです。皆で、プールに行ってすぐです。一昨日に、話したい事がある旨のメッセージ送りましたけど、その理由はこの事です」

「この事だったんだ。てことは、私達がパーティーに来ることも知ってたの?」

「いえ、僕達が出席する事になったのは、陽葵さんに断られた後です。陽葵さん達が出席すると知ったのは、移動中に参列者のリストを見ていたからです」


 陽葵さんは、状況を整理するためだろう。僕に、質問を繰り返して来ている。


「なぁ、2人で出掛けた時に、詩季の事を聞いていたのは……」

「うん。詩季くんの従者となる可能性が高くなったから、調べてたの。ごめんね、もっと上手く調べられたら良かったんだけど」

「大丈夫。もう、謝って貰ったし、大分、スッキリした」


 陽翔くんも春乃さんに、色々と確認していた。


「それで、元々は、婚約者の予定だって言うのは?」

「僕が、父方の実家と関係を回復させた際に、春乃さんを婚約者として紹介するつもりだったようです。春乃さんのお父さんが働いている会社が、僕の父方の実家と関係を深めたかった。俗に言う、政略結婚ですよ」

「そ、それって……」

「春乃さんが、僕達の関係性を父方の祖父に話してくれたお陰です。だから、春乃さんは、婚約者ではなく従者として僕の隣に居ることになりました。理由に関しては、春乃さんに、僕の事も含まれるので、今は、聞かないで欲しいです」


 今日、僕と春乃さんがセットで、2人の前に現れたことに関しては、粗方、納得してくれていると思う。


 父方の実家として濁して、説明している。黒宮が主催したパーティーで出会った場合は、もろにバレてしまうだろうが、今回は、招待された側だ。


 まだ、確実とまではいかないが、実家が、黒宮だとバレる事はないと思いたい。


「わかった。私は、詩季くんの言うことを信じるよ。好きな人の言うことを信じたいもん。まだ、結果は貰ってないけど……好きな人の事は、信じたい」

「俺もだ。春乃は、大事な友人だしな。友人を疑うようなマネはしたくない」


  陽翔くんは、照れているだけなのかもしれないが、何処か、僕と同じ様に感じる部分がある。


「陽翔、いい加減、気持ち伝えて審判待ちなよ。私みたいにさ」

「うっうさいな、バカ妹!」


 何だろうか、陽葵さんの事を都合よくキープしている状況の僕の心に、見えない透明の矢が突き刺さっているように感じる。


 陽葵さんの事は、好きだ。


 何なら、今、告白してもいいとも思える。その一方で、今、告白してもいいのかとも思ってしまう。


 まだ、僕の素性で隠している部分もある。歴史ある一族というヒントを与えたので、理解されているかもしれない。まぁ、黒宮の分家とかもあるからそこだと思われている可能性もあるだろうが。


「ねぇ、詩季くん。何で、髪切ったの?私、お手入れ出来ないじゃん」


 おっと、話題は、ばっさりと切った僕の髪になった。


「だって、暑かったたので……」

「むぅ〜〜なら、私に相談してよぉ〜〜」


 陽葵さんは、頬を膨らませていた。小動物みたいで、可愛いと思う。


「まぁ、約束を破ったのは、僕なので、何か御要望があればどうぞ」

「言ったね!詩季くんのお誕生日ね、詩季くんのお家でお祝いしていい?」

「……別にいいですよ?」

「何、今の間は?」

「いや、お祝いしてくれるのは嬉しいです。だから、約束破ったリターンにしなくてもいいですよ?」


 陽葵さんの事だから、僕のお誕生日をお祝いしたいと言って来るとは、思っていた。多分、言い出すためのキッカケにしたのだろう。


「だったら、静子さんに許可出る範囲でデートして?」

「わかりました」


 陽葵さんとデートをする事になった。


「ねぇ、詩季くん」

「はい」


 これまで、静観していた、おばさんが僕に話しかけてきた。


「詩季くんの父方の実家なんだけど……もしかして、黒宮家だったりする?」

「何でそう思ったんですか?」


 おばさんは、ピンポイントで当ててきた。


「白村の姓でね、現黒宮家の当主の黒宮清孝の奥様の旧姓が、白村だったはず。黒宮家の人間は、母親の旧姓を人前で使うとも聞くからね……」


 あぁ、なるほど。


 清孝さんと誠子さんが、戸籍上は離婚している事は公表されていないのか。春乃さんに聞いた所によると、清孝さんと誠子さんが、婚約したさいには兵庫県内でニュースになったそうだ。まぁ、今は、時代的に公表されなくなったけども。


 清孝さんと誠子さんが、離婚して父親は、誠子さんが引き取った事になっているので、僕は、戸籍上、白村姓だ。だから、黒宮家の人間がよくするような事はしていない。一般人からすると同じことをしていると思われるのだろう。


「僕の実家は白村方ですね。黒宮との関りは、肯定も否定もいたしません」


 何時かは、黒宮本家との関わりがあると言う事は、伝えないといけないだろう。でも、今は、このままがいい。


「失礼いたします。そろそろ、お時間です」

「では、春乃。行きましょうか」


 黒服さんが、パーティーの開始時間になった事を伝えに来たのでお開きとする。


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