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100.一緒にお風呂

「詩季くん、お風呂の準備出来たよ……」


 陽葵さんは、頬を赤らめながらお風呂掃除から戻って来た。


 そして、頬を赤らめながら帰って来た。と言うか、陽葵さんから言い出したんだから、そんなに照れないで欲しいと思う。

 まぁ、僕も照れているので、どの空気が伝染しているのかもしれない。


「じゃぁ、先に入りますね」


 入浴する順番としては、僕が最初にお風呂に行って身体を洗う。洗い終えたら、陽葵さんが、入ってきて一緒に湯船に浸かる。十分温まったら、僕はあがって陽葵さんが身体を洗う。


 僕は、自室に行って、皆で学校のプールで遊ぶ用に、ネットで購入していた水着を持って脱衣所に移動する。


 衣服を脱いで、洗濯機の中に放り込むと脱衣所では、僕が着替える時に腰かけるように、祖父母が買ってくれていた500円位の折り畳みできる椅子に腰かけて、水着を着用する。


 お風呂場への扉を開けると、杖を杖掛けに掛けて壁に手をついてお風呂用の椅子に座って、身体を洗う。


 この家は、僕が同居するとなったタイミングで、祖父母がリフォームしてくれたみたいだ。杖をついて歩く僕の為に色々と対策をしてくれている。


 お風呂場にも滑り止めの効いた手すりを設置してくれている。


 祖父母にお礼を言ったが、「将来は、わしらも足腰が弱くなるだろうからな。先行投資じゃ」とツンデレ気味に照れていた健じぃが、ある意味可愛かった。


 お陰で、僕は、お風呂に1人で入る事が出来ている。


 全てを洗い終えて、湯船に入ろうとしたタイミングで、脱衣所の扉がノックされた。


「詩季くん、身体洗い終えた?」

「はい。浴槽に入ろうと思っている所です」

「少し待って、入るから」


 陽葵さんは、脱衣所で身にまとっていた衣服を脱いで、お風呂場に入って来た。


 どうやら、服の中に水着を着て来たようだ。


「詩季くん、私が支えるから」

「うふふ、お願いします」


 普段から1人で入れているので、大丈夫だが、今回は、陽葵さんのサポートを受け入れるとする。


 湯船に入って、腰かけた。


「詩季くん、足開ける?」


 陽葵さんに要望されて、左足を動かしてスペースを作った。


「ありがと」


 陽葵さんは、軽くシャワーを浴びていた。


 陽葵さんの水着は、青色のビキニで、上下が星柄でフリルの付いた可愛らしい水着だった。そして、陽葵さんの身体のラインを生で見る事が出来た。


 出る所は、出ていて引き締まる所は、引き締まっている。


 そして、昼間の巨乳・貧乳の質問では、巨乳好きと答える事が正解と思える位、大きかった。やはり、着痩せするタイプみたいだ。


 すると、視線に気が付いた陽葵さんが、胸元を隠さず、水着をアピールするように見せて来た。


「――詩季くん。どう?」


 陽葵さんの水着姿に見惚れていたみたいで、何時までも感想を言わない僕に痺れを切らした陽葵さんが、感想を催促してきた。


「そ、その……可愛いですよ。よく似合ってます」

「えへへ、ありがと」


 陽葵さんは、そう言うと、湯船に入ってきて、僕の足の間に、座り、僕の胸元に背中を置いてもたれかかって来た。


 てっきり、向かい合って入るものだと思っていたので、予想外の行動に驚かされてしまう。


 向かい合っていない分、陽葵さんの容姿を見なくて済むから安心と言う訳では無いんですよ。


 背中で、もたれかかって来ているので、陽葵さんと肌が密着しているんです。


 僕は、手を何処に置いていいかわからずに、浴槽の縁に置いていた。


「詩季くん、手も入れなよ。私のお腹に触れていいから」


 陽葵さんが、良いと言うので、陽葵さんのお腹に掌をつけるようにして、湯船に入れる。


 陽葵さんのお腹に手を置くと、陽葵さんの素肌の感覚が伝わってくる。柔らかそうなお腹なので、にぎにぎしてみたいと思うが、必死に我慢する。


そして、腕が、陽葵さんの胸に触れないようにしているため、肘を曲げた格好になっている。


 水着を着ているとはいえ、同い歳の女の子と肌を触れ合っている状況に、頭では冷静でいるつもりでも、身体的には反応してしまう部分はしてしまう訳で…………


「あっ……」


 陽葵さんは、何かを感じ取ったようだ。


「陽葵さん、すみません」

「大丈夫だよ!むしろ、嬉しいかな?えへへ」


 陽葵さんは、怒るところか、嬉しそうに見える。


 僕の事を友人として信頼して一緒にお風呂に入ってくれているのに、反応してしまったので、怒られる事は、覚悟していた。


「詩季くんもドキドキしてるんだね」

「そりゃ、しますよ。同い年の女の子とこんな事をするなんて思いませんでしたから」


 失礼かもしれないが、例えば、元カノこと高梨さんと同じことをしたとしても、ドキドキせずに、ただ、男女交際のミッションをこなしている感覚だったかもしてない。


「ヤバいです。何とか、落ち着かせようと頑張っていますけど――」

「いいよ。私で、沢山、ドキドキしても」


 最初は、背中と掌だけだったが、慣れてくると、次はお尻の感覚が襲ってきてしまう。これも、昨日の出発前に健じぃの一言が原因だ。


 何とか、心を落ち着かせないといけない。でないと、陽葵さんに不快な思いをさせるかもしれない。


 何で、こうも陽葵さんは、僕の理性を崩壊させようとしてくるのだろうか。


 健じぃに、貰ったコンドームの出番が来てしまうのだろうか。


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