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セリス嬢からの手紙には如何に元婚約者が嫌だったか、婚約破棄が成されて大喜びだということと、新たな婚約をお祝いすることが書かれてあった。

そして、本日セリス嬢とお茶会をする事となった。


「ご機嫌麗しゅうローゼ様。今日この日をずっと楽しみにしておりましたわ。」


キラキラとした笑顔で付き人を連れて現れたセリスは水色のドレスを着てお茶会に参加した。

ドレスに合わせてハイヒールも淡い水色。アクセサリーは控え目でやってきた。


「ご機嫌麗しゅうセリス様。私も楽しみにしておりましたわ。今日はゆっくりお話しましょう。」


ローゼは白いドレスに赤いヒールを合わせ、アクセサリーはペンダントのみだった。

セリスとは反対に無表情であったがセリスは気にしないようだ。逆にこのお茶会を裏方としてまとめるリザが少し不安そうにしたが直ぐに仕切り直し、暖かな紅茶が振る舞われる。

お茶菓子にミニケーキが数個、チョコレートまで用意されている。これはハルア国からの贈り物だった。


「まぁ、とても美味しそう。嬉しいです。」


ニコニコと笑顔が絶えないセリスは上機嫌でチョコレートを一つ口に含んでは蕩けそうな顔で美味しさを表現した。

彼女のころころと変わる表情に羨ましくなったローゼは思い切って聞いてみた。


「セリス様、どうしたら、セリス様のように表情豊かになれるのでしょう?」


ティーカップを触りながら大きな瞳を伏し目がちにして少し恥ずかしそうにもじもじとするローゼは大変絵になった。


「えっ?表情ですか?あんまり考えた事がなかったですわ。きっと、婚約破棄がきっかけでスッキリできたのかもしれません。婚約中は私もいつも顔が強張ってるってメイド達には言われてました。」


「そうですか、ではやはり、緊張感とかで顔は変わるのでしょうか?私も緊張や不安が無くなれば自然な笑顔ができるんでしょうか…。」


はしたなくもむに、と自身の艶のある頬を少しだけ摘んでみては無表情の自分に溜息が出たローゼ。

その色香のある溜息に側にいるメイド達は其々の反応を示す。荊棘、と怖がって緊張する者。美しい、とローゼを心の中で賞賛する者。特にリザはほぅ、と美しさに身惚れて一瞬手が止まった。


「そんなにお悩みになられなくても、きっとこれからの生活で変わっていくのだと思いますわ。何といっても婚約者様は獣族の方。愛情深く愛して下さるはずです。」


獣族が愛情深いというのは耳にした事があった。が、二人の関係はこれからだ。裏切りは無いとしても愛情の示し合いはまだわからない。

ローゼはセリスの話をよく聞き勉強をするつもりでお茶会は進められた。


次の婚約者はローゼと同じように隣国ハルアで見つけたいと言ったり、流行りのドレス、ローゼの美容方法、色んな話をして時間はあっという間に過ぎていった。



「では、またお会いできる日を楽しみにしておりますわ。」


土産にローゼが使用している薔薇の美容液を持たせた。

セリスの見送りで馬車の前、美しいカーテシーを見せる彼女にローゼも同じく手本になるようなカーテシーで見送った。


馬車が見えなくなるまで見送るとローゼはリザに珍しくおねだりをした。正式には命令であるが二人の間では命令等無くなっていた。


「…ね?」


「ですが…まぁ、はい、ローゼ様が仰るなら…。」


ローゼはリザに表情の練習を毎晩付き合ってもらう約束をした。最初は渋ったが、甘えるようなおねだりにリザは勝てなかった。


「ありがとう。早速今夜からよろしくお願いしますわ。」


少し気分が上がったローゼは表情には出さなかったがるんるんと機嫌が良くなった。

その顔を見てしまうとリザは何も言えなくなった。御身の為、人肌脱ぐしかなくなってしまう。





夜。薔薇の香が漂う寝室にリザはやって来た。


「待っていましたわ。ありがとうリザ。」


「お待たせ致しましたローゼ様。よろしくお願い致します。」


早速、リザは手鏡を予め持って来ており、レッスンは始まった。

ゆっくりとゆっくりと表情を変えて笑顔の練習。死んだ表情筋を動かしては鏡で確認。

1時間程訓練し、やっと〝微笑み〟まで引き上げられた。

その儚くも美しい微笑み。リザは訓練の賜物として大喜びした。ローゼ本人も手鏡を見て納得し、これで少しは〝棘〟が取れたかしら?と喜んだ。


これから毎晩レッスンは続けられていく。




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