大罪スキルと美徳スキル
ほぼ説明回です
紫「さて、私の封印が解かれたということは……やっと見つかったのね。失われた歴史の解放者が……」
目の前で飛び跳ねる饅頭妖怪、八雲紫はそんな言葉を放った。
麟「封印されていた妖怪……どんなやつかと思えば……ちょっと拍子抜け」
紫「酷い言われよう!?まあいっか。あなた、多分だけど、博麗の巫女でしょ?」
麟「ええそうよ。私が博麗の巫女、冴月麟よ」
紫「そして、そこの2人が解放者、というわけね。名前聞いてもいいかしら?」
霊夢「博麗霊夢」
魔理沙「霧雨魔理沙」
紫「霊夢、魔理沙……なぜでしょうね?あなた達はまだ子供なのに、解放者に相応しいと思えるのは」
レイマリ「「?」」
紫「流してもらっていいわ。まずは博麗の巫女さん。あなたにいくつか聞きたいことがあるわ。答えてもらえるかしら?」
麟「内容にもよるわね。それに!こっちも色々聞きたいことあるから、それにも答えてもらうわよ」
紫「わかったわ。質問は一つ目はその子達の手に入れたシードスキルの種類。2つ目は現在、大罪スキルと美徳スキルはどのような扱いをされているか。まずはこのふたつかしらね」
霊夢「種類っていうと……強欲とか言っていたあれ?」
魔理沙「それなら私は嫉妬になるな」
麟「2人とも!まだ敵か味方かもわからないやつにそういうことを言うのは……」
紫「強欲に嫉妬……すごいわね。一番大変そうなものが先に見つかるとはね。ねえ皆、大罪スキルと美徳スキルってわかるかしら?」
麟「はぁ、もういいわ……ええ、もちろんよ。それぞれ7つの種類があって、大罪スキルは憤怒、強欲、嫉妬、怠惰、色欲、暴食、傲慢がある。そして、美徳スキルは慈悲、救恤、忍耐、勤勉、純潔、節制、謙譲、があるのよね。この辺は共通認識ね」
私と魔理沙もそれに頷いた。
紫「おみごと。その通りよ。で、それらが元は同じスキルであることは知ってるかしら?」
霊夢「え?」
魔理沙「違うんじゃないのか?」
麟「そうね……過去の博麗の巫女の残してきた文献からも大罪スキルと美徳スキルは対の関係にあるとは書いてあったけど……本質は違うと思ってたけど」
紫「なるほどなるほど……これは厄介なことになってるわね……その様子だと、なんで大罪スキルと美徳スキルが存在しているかもわからない、って感じかしら?」
麟「そうね……これは言ってもいいわね。過去、大罪スキルを所持していた者はその強大な力に自我を奪われ、異変を起こしたと伝えられているわね。いくつかあったらしいけど、記録はほとんど残ってないわね。唯一残っているのは「傲慢之罪」が異変を起こしていたことくらいかしらね。その異変を止めたのが美徳スキルの所持者、と伝えられているわ。だから、大罪スキルの獲得は禁忌とし、美徳スキルの獲得を推奨する。これが今の大罪スキルや美徳スキルの扱いよ」
霊夢「たしかそれも以前の博麗の巫女から伝えられてきたってやつよね」
麟「そうそう」
魔理沙「私もその話は知ってるぜ」
紫「まさか私が封印されている間にこんなことになっているなんて……」
霊夢「そうだ、紫さん」
紫「紫、でいいわよ。で、なにかしら?」
霊夢「あなたはなんで封印されたの?あとは……あなたの言う大罪スキルってなんなの?」
麟「ちょうど私の聞きたかったことだわ。教えてもらえるかしら?」
紫「そうね。確か……異変を起こした大罪スキルと一緒に封印された、だったかしらね?昔のことだからかしら、細かいことは覚えてないわね」
麟「うーん、実際、何がなんで封印されていたかっていう伝承とかもなんも残ってなかったし……ん?大罪スキルと一緒に封印された?」
紫「ええそうね。どのスキルだったかしらね。それは忘れちゃったわ」
麟「えぇ……」
紫「まあそれはいいわ。そして、私の知る大罪スキルと美徳スキルについてね。私は人々に大罪スキルと美徳スキルの獲得するように導いたわ」
魔理沙「ちょっと待て!大罪スキルって獲得自体罪になるんじゃねぇのか!?」
紫「その前提がまず違うのよ。これを見て」
紫はそう言って自分の背後にある石碑に目を向けた。私たちもそれを見ると、そこには信じられないことが書いてあった。
「七つの大罪と七つの美徳のスキルを持つ者がこの地に集まりし時、失われた記憶が蘇り、この世をあるべき姿に戻す道標を示す☯」
紫「これに書いてある通りよ」
麟「博麗の紋章☯もあるってことは……過去の博麗の巫女の遺産ってこと?」
紫「この石碑の文字は大罪スキルか美徳スキル、そしてそれらのシードスキルに反応して出てくるようになっているわ。ついさっき私が復活したのと同時に現れたものね」
霊夢「そうよね。紫が出てくるまでなかったわよね、こんな文字」
紫「そして、ここに書かれている通り、大罪スキルと美徳スキルが全員ここに集まった時、失われた記憶、つまり、忘れられた歴史が蘇るってこと。だからあなた達のようにスキルを持つ人を歴史の解放者と呼んでいたのよ。私の使命はここに歴史の解放者を集め、失われた記憶を取り戻すこと、そのためにここにいた、そう記憶してるわ」
麟「それが歴史の解放者の意味ね。大罪スキルも必要なもののわけか」
紫「そ。でも確かに、大罪スキルだけだといずれ暴走するわ」
レイマリ「「は?」」
紫「実際話を聞く限り、過去の大罪スキルの所持者は暴走して異変を起こしたんでしょ?それが証拠ね」
霊夢「いやそうだけど、でも今話していた通り、大罪スキルはその忘れられた歴史を思い出すために必要なんでしょ?なら悪いものには思えないけど……」
紫「だけどあくまでも大罪。そして、その暴走を抑制するのが美徳スキルなのよ。そうやって大罪スキルと美徳スキルがバランスを取れるようになってるのよ」
魔理沙「あれ?でもさ、過去の大罪スキルの所持者って美徳スキルの所持者に倒されたんじゃなかったか?」
麟「え?ええその通りよ」
紫「なるほど……そうなると厄介ね。ねえ博麗の巫女さん?今の時点で大罪スキルと美徳スキルを持っている人ってわかるかしら?」
麟「確か、美徳スキルはここから遠い国に2人いると聞いてるわね。大罪スキルは……ごめんなさい、分からないわ」
紫「その国要注意ね。さっきも言ったけど、美徳スキルも大罪スキルも本質は同じなのよ」
霊夢「もしかして、美徳スキルも暴走するの?」
魔理沙「まさか、そんなこと」
紫「鋭いわね、その通り、暴走するわ」
魔理沙「マジかよ!」
紫「暴走の結果、本来なら共存するはずの大罪スキルを滅ぼしている、だから今現在、大罪スキルの存在は知っていてもその所持者って知られていないわけでしょ?」
麟「そうだったのね……」
魔理沙「待てよ?そういえば、私たちっていずれ大罪スキルを得るわけだよな?」
霊夢「そうね、うん?」
魔理沙「私たちいずれ暴走すんの?」
霊夢「あ、そうじゃん、やば」
麟「一刻も早く、美徳スキルを持っている人を探さないと……」
紫「まあ待ちなさい、2人とも、ちょっとしゃがんで頭をこちらに近づけて貰えるかしら?」
霊夢「うん」
魔理沙「こうか?」
紫「「解析鑑定」……やっぱりそうね。あなた達、面白いわね」
霊夢「何が?……っていうか何したの?」
麟「解析鑑定、ってことはあなた、霊夢達のスキルを見たわね?」
紫「私はそういうの得意だったんだけどね〜。残念ながら近くまで来てもらわないと見れないわ。それに博麗の巫女さんのスキルは全く見えないわ」
麟「ちゃんとレジスト(能力抵抗)してるからね」
魔理沙「で!で!どうだったんだ?」
紫「こんな人初めて見たわ。スキルの器の大きさが常人の2倍あるなんてね」
霊夢「スキルの器?」
麟「スキルってね、大罪スキルとか以外の普通のスキルもあるの。で、そのスキルって無限に獲得出来るわけじゃないの。手に入れたスキルを頭の中に保存していくからね。そして、スキルを保存する器のことをそのままスキルの器っていうのよ」
霊夢「へぇ〜」
紫「で、大罪スキル、美徳スキルを獲得するとスキルの器の容量のほとんどを使うから、それ以上のスキル獲得はやりにくくなるわ。もっとも、大罪スキルレベルのスキルになると他のスキルを凌駕するレベルの能力になるけど」
魔理沙「ってことは私最強って感じになるわけか!楽しみだぜ」
紫「ただし、大罪スキルや美徳スキルを獲得するにはそれ相応の基本スキルを覚えることが必要なはずよ。例えばさっき私が使った「解析鑑定」とか魔法を使う時に使うスキル「魔力制御」とかね」
魔理沙「なるほどな。基本を覚えれば大罪スキルや美徳スキルを獲得できるようになるわけか」
霊夢「でも結局暴走したら意味が無いんじゃ……」
紫「まだ終わりじゃないわ。さっき言った通りあなた達のスキルの器は通常の2倍、つまり、大罪スキルと美徳スキルどっちもを手に入れることができる可能性があるってわけ」
霊夢「本当に!?それなら自分一人で暴走を抑えられるってことになるってこと!?」
紫「そゆこと♪」
麟「ちょっと待った!それってリスクはないの?」
紫「知らないわ、前例ないし」
麟「そんなあっさりと……」
魔理沙「つまり、失敗するかなんてわかんない、ならやるだけやってみるだけだぜ、なあ霊夢?」
霊夢「ふふっ、私は強欲よ?大罪スキルだけじゃ足りないわよね?じゃあ美徳スキルも手に入れてやるわ」
麟「れ、霊夢?だいぶ悪人顔よ?」
霊夢「だって大罪スキル所持者1歩手前だし、今更じゃない?」
麟「吹っ切れてる……でも、こっちの方がいいわね。そのまま何もせず堕ちていくよりも……」
魔理沙「美徳スキルかぁ、手に入るかな?」
霊夢「まずは盗みぐせをやめたら?さっきもここの物盗もうとする人が美徳スキル?ははっ」
魔理沙「そういうお前はまずは魔法をまともに使えるようになるんだな。スキルがあってもそれが使えなきゃ宝の持ち腐れってやつだぜ」
霊夢「禁忌に触れたわね魔理沙。覚悟しときなさいよ?沙月姉!魔法の勉強頑張るからもっと色々教えて!」
麟「大罪のシードスキルを手に入れたとかで一時はどうなることかと心配したけど、いい方向に進みそうね……紫、感謝するわ」
紫「この子達ならきっと美徳スキルもものにするわ。私もサポートするしね」
麟「ん?どうやって?」
紫「霊夢か魔理沙、いつも持ち歩いているものってある?それに私が取り憑けばいつでもサポートできるわ」
霊夢「このお祓い棒とか?沙月姉、いい?」
麟「いいわよ。なにかあればすぐに退治できるから問題ないわ」
紫「そんなに警戒しなくてもいいのに……」
麟「警戒するわよ!あ、この石碑とかあなたのこととか色々聞かせてもらうわ。これから信頼する専門家と一緒に調べるから。それに!大罪スキルとかについても本格的に調べなきゃいけなくなったわけだし、手伝ってもらうわよ」
紫「いいわよ。私もなぜか忘れていることもあるような気がするのよね。その事も調べたいし、協力はするわ」
麟「よし、言ったわね。とことん協力してもらうわ」
霊夢「専門家って?」
麟「そういえばまだあったこと無かったわね。上白沢慧音、歴史の研究をしていて、あなた達がこれから通う寺子屋の先生よ。基本的なスキルは彼女から教えてもらいなさい」
それから私達は基本スキルを覚え鍛えつつ、来るスキルの進化に向けて準備を進めるのだった。
第2話です!大罪スキルの説明が少し難しくなってしまいましたが……まあとりあえず大罪スキル系は基本的に1人1つまで持てて、霊夢や魔理沙のようにスキルの器が常人より大きいと例外として複数持つこともできる、これだけ分かっていれば問題ないです。
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大罪スキルと美徳スキルはそれぞれ7つずつ、計14個存在します。このシリーズでは全て東方のキャラがそれぞれのスキルを手に入れます。既に誰がどのスキルを手に入れるかは決めています。ぜひ、誰がどのスキルを手に入れるか予想してみてください!感想などに書いてくれると読めるのでぜひ……まあ!さすがに全部当てられる人はいないでしょう!霊夢の強欲、魔理沙の嫉妬を除いて、半分当てられたらすごいほうだと思います……以上、ラタから読者に向けての挑戦状でした笑