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3話

 私が突然死するのは予想不可避だし仕方がないにしても……だ。せめて、せめて買ったばかりの【桜色ラプソディplus(本編加筆&追加シナリオ&特典イラスト集&ドラマCDつき)】を全て堪能してから死にたかったっ……! すごい楽しみにしてたのに……すっっっごい楽しみにしてたのに!!!


 ……そんな怨念が導いたのか、私は何故か前世の記憶を保持したまま赤ん坊に生まれ変わっていた。


 そう、今の私の……いえ、わたくしの名前は朱鷺宮(ときのみや)銀華(ぎんか)。【桜色ラプソディ】に登場する『悪役令嬢』ですわ!!!


 ってなんで悪役やねーん!(スパーン!)


 ……はっ、いけませんわ。関西出身でもないのに心の中の関西人が思いっきり突っ込んでしまいましたわ。

 まぁ、生まれ変わって間もなくここが【桜色ラプソディの世界】であると理解してしまったわけで……だって私自身が悪役令嬢と同じ名前で、後に勝手に親に決められた婚約者もゲームに出てきた男の名前と一致してるんですもの。これは確定でしょ。


 しかし前世からヒロインが大好きな私が、よりにもよってヒロインの邪魔をする悪役令嬢に生まれ変わるとは……と思ったが、これは私的には悪くないんじゃないか?と思うようになった。だって、私はそんなに朱鷺宮銀華は嫌いじゃないし。

 何故かって? だってヒロインの恋路を邪魔するキャラってことは、逆に言うと男どもに香音ちゃんを取られるのを阻止してるってことでしょう? ヒロインと攻略対象の男が二人きりでいい雰囲気になっているところに度々現れて邪魔するんだけど、そのたびに私は「よくやった!悪役令嬢!」とガッツポーズをしていた。要するにヒロインにつく悪い虫を払ってくれるんだから、感謝しかない。

 それに悪役令嬢と言ったって、容姿は美人だしプライドが高いだけで陰湿ではない。喧嘩腰で正面きって罵倒することはあっても、そんなにヒロインをイジメてるわけではない。私が前世でリアルにやられた靴を隠されたり、机に落書きされたり、腐ったパンを鞄に入れられたり、トイレ入ってるときにホースで水を浴びせられたりするような陰湿なことは銀華本人からはされなかった! うぅ……言ってて悲しくなってきた。今思うとどんだけやられてんの私……

とにかく、私は犯人が誰か分からないようにこそこそと陰湿な悪戯をする輩は反吐が出る大嫌いなのだ。悪役令嬢、朱鷺宮銀華はそんな雑魚どもとは格が違う。容姿端麗、成績優秀、お金持ち、地位といった高スペックの圧倒的な令嬢力で正面から叩きのめすタイプだ。その姿勢はむしろ好ましいと言っても過言ではない。最終的にはその悪役令嬢、婚約破棄されるけどね!


 ……まぁあれよ。婚約破棄したその男の選択は否定しないよ。私だって悪役令嬢かヒロインのどちらかを選べと言われたら、ヒロインの香音ちゃん一択なんだから。だって香音ちゃん可愛いし。可愛いし。可愛くて可愛いし。


 まぁそんなわけで……今日から高校生になった私は、朝5時から高校の入学式の通学路の途中で物陰に身を潜めて機を待っているのです。何故こんなことをしているのかって? それは、この通学路で香音ちゃんの最初の出会いイベントが始まるからですわよ!


 そう、満開の桜並木が美しいこの通学路。前世で見た最初の出会いイベントのスチルの背景にそっくりなのだ。ちなみに出会うのは、私の婚約者であり攻略対象である男だ。もちろん、そんな出会いがあったら香音ちゃんの心があの男に奪われてしまうかもしれない。そんなことは断固阻止する! その為に私はここで待機しているのだ。


 桜の樹の陰から懐中時計で時間を確認しながらただ潜む。……どきどきしてきた。生まれ変わってから、ずっと待ち望んできた瞬間だ。これからあの香音ちゃんに……ついに会える……!!

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