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魔法少女が異世界にやってきました!  作者: そら・そらら
第14章 闇の魔法少女

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14-47 エイラの街

「いいものだな。お互いにぶつかりながら高め合っていく。これがメイド道、なんだな」


 ヘムも満足そうだ。というか、ふたりともメイドをやる必要はもうないのに、なんでかな。


 ヘムは自らの道の探求だろうけど、ヒカリは僕のためなのかも。だったらお礼をしないとな。


「あいつら、ずっとあの調子だぜ。元気だよな」


 特にやることがないって様子のフレアが、メイドたちをうんざりした様子で見ていた。しかし。


「フレア、退屈ならお前も一緒にやらないか?」

「アタシか? あー、やめとく。アタシこれでも、メイドを使う側の人間だったからな。ああいう仕事ができる気がしないというか。アタシは使う側が似合っているというか」

「ほう?」


 ところが、これがハートメアリーさんを怒らせたらしい。


「貴様はふんぞり返って座っていれば、メイドが全ての仕事をしてくれると思っているのか?」

「いや、それは違うけど。なんというか」

「来い! その性根を叩き直して、主人のあるべき姿を教え込んでやる!」

「やめろ! おい離せ! うわなんて力だ! おい誰か助けろ!」


 哀れフレアは、ハートメアリーさんに引きずられていった。

 少しだけ待ってから、助けに行ってあげよう。



 僕も少しだけ忙しいし。


 シャロに勉強を教えてもらう以外にも、やることはあった。

 闇の魔法少女の力の制御だ。


「と言っても、力自体は使いこなせているんだけどね」


 夜、みんながいる宿の裏手で、月明かりを背に変身。


 みんな、この格好を可愛いと言ってくれた。似合わないと言われないのは良かったのか。いやでも、やっぱり恥ずかしいから人前で変身したくはない。


 闇を自在に操ることに関して、なんの問題もなくこなせるようになった。魔力が切れる心配もない。

 月明かりに照らされた、真っ黒な闇で作られた人形を見つめる。僕が少し魔力を込めるだけで、それは思った通りに姿を変えていく。男、女、犬、馬。自由自在だ。


 この技術が戦いに使えるかといえば、大いに疑問だけど。


 ここには僕に敵意を向ける者はいない。だからダークネスの本当の力は発揮できないし、僕がそれを制御できるかも試せない。

 結局は、敵と対峙しないと実力は出せない。僕の訓練にもならないし、僕が使っていいものかもわからない。

 敵が出てほしいとは思わないけど、ちょっとだけもどかしかった。


「大丈夫だよ。ギルは力、使いこなせてるよ。あとかわいい」

「……ヒカリ、見てたんだ」

「見てたよー。ギルの変身した姿、かわいいし。ねえ、スカートの下ってどうなってるの? 見せて見せて」

「嫌だよ……」


 ただでさえ短くてヒラヒラしてて恥ずかしいのに。


「えー。じゃあわたしも変身して見せてあげるから」

「それは……ちょっと興味あるけど。でも見せないからね!」


 理性を総動員して耐えた。うん、僕は頑張った。



 そんなふうに毎日を過ごすうちに、学校は無事に年度の始まりを迎えた。僕とエイラは、もう授業を受けられなくなる。

 来年こそはうちの部に入ってくれと言ってくる、とても運動ができそうな男たちに涙ながらに別れを告げられたのも、いい思い出だ。


 その後、僕は一時的に街を離れていた。ヒカリとエイラと一緒にだ。



「こんにちはー! エイラのお母さんを雇ってる家ですね! そのお母さんを連れ戻しに来ました! 王都で働く予定ができたので!」


 とまあ、エイラの故郷へ行き、彼女の母が働いているお金持ちを訪問した。というのも。


「あのね、エイラちゃん。王都のお父さんとお母さんに手紙を出したら、劇場で働く人を探してるって返事が来たの。あの劇場、お金持ちも多く来るから、丁寧な接客が求められてるというか。元お金持ちのエイラちゃんのお母さんなら、立派に働けるっていうか……あ、元って言ってごめんなさい!」


 と、アリエッタからのお誘いがあった。


 エイラはもちろん、友の厚意を受け入れた。だから僕たちで直接迎えに行ったわけだ。


 エイラだけでは不安だったからと、僕に同行をお願いしてきた。それはいいのだけど、当然のようにヒカリもついてきた。まあ、それは嬉しい。

 意外だったのは、ヒカリとエイラが比較的すぐに友達になったこと。嫌じゃないのだけどね。僕のことで対立するほど、ふたりとも単純な性格をしていなかった。


 というわけで、僕たちは辺境の街に来た。


「なるほど。田舎だね!」

「こう見えて良いところではあるわ。のんびりしてて」

「うんうん。田舎にもいいところはあるよね! スローライフってやつ!」

「でも、やっぱり寂しいところはある。土地は枯れてて作物もあまり実らない。動物もそんなにいないから、肉も獲りにくい。海もない」

「エイラ的には、将来的にこの街に戻りたいの?」

「どうしよっかな。あんまりいい思い出はないけど、それでも故郷だから。ずっと王都で暮らすわけにもいかないし」

「王都に住んで、国の機関で働いて、この街含めて国の端っこの方を元気にする仕事をすればいいじゃん。地方創生ってやつだよ!」

「……ヒカリはいろんなこと知ってるね。でも、面白そう」


 そんなふうに、ふたり仲良く話していた。


 で、エイラの母親がいる屋敷に、真正面から踏み込もうとしているわけだ。

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