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魔法少女が異世界にやってきました!  作者: そら・そらら
第2章 炎の魔法少女

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2-3 エラルドの街

 僕が生まれたホーマラントの街や、このエラルドを含むこの国の名前は、カルラット王国。


 この国を含む大陸の面積のうち、三分の一ほどの国土を有する大国だ。


 国土は大陸の西側に位置している。だから国の西側は海で東側は他国との国境があるって考えていればいい。

 南側にも海岸線が多く伸びている。北側にも海岸線があるけど、冬場は氷に覆われるらしい。


 ホーマラントは国の中心から見て、ある程度南側に位置する温暖な気候の街。エラルドもそう遠くない位置にあり、気候的にも似たようなものと思っていていい。


 エラルドが城塞都市になった理由は、単純に人口の多さらしい。


 カルラット王国の中で区分けされたたくさんの領地のうち、エラルド領は九か十番目に多くの人口を有している。

 だからその中心の都市を城壁で囲み、多くの住民を守ることにした。


 じゃあなぜ人が多いのかと言えば、国の南部にある沿岸都市群と北側にある王都を結ぶ交通の要所になってるから。


 それから、この近辺に家畜を育てるのに適した草地が広がっていて、それが人が住み着いて街が形成された由来だとか。


「なるほど。街ってそんなふうにできるんだ。人が住み着く。うん。わかるよ。わかる。エメラルドの街ね」

「エラルド」

「そうそれ」

「いきなり色々教えても覚えきれないよね。わからなくなれば、また教えてあげるよ」


 ヒカリって勉強は苦手な種類の人間なのかも。


「駄目よギル! 甘やかさないで! というか、こんなバカの先生役をギルがする必要はないわ!」


 後頭部に柔らかい感触。リーンが慈しむように僕に後ろから抱きついたのは、すぐにわかった。


「ちよっと! 誰がバカなのリーン!? あとギルから離れなさい! ギルの教育に悪いから!」

「あなたよヒカリ。胸ばかりじゃなくて頭にも栄養が行ってないのかしら?」

「それは……そうかもね! だからわたし、ギルにもっとこの世界のこと、たくさん教えてもらわなきゃいけないの! ほら、リーンはあっち行ってて」

「あの。三人とも。仲がいいのは結構ですけど、街に入りませんか? 衛兵が不審な目をしてますよ」

「あ……」


 門の前で、街に入るでもなく馬鹿馬鹿しいやり取りを繰り返していれば、おかしいと思われるのは当然。


 街に入るには門を守る衛兵、あるいは門番に身分証を見せなきゃいけない。不審な人物が街の中に入るのを阻止するのが目的だ。


 ホーマラントから旅人が来るのは珍しくないし、リーンたちは等級の高い冒険者だ。

 馬鹿な所以外は不審ではないと判断されて、あっさりと入門を許可された。


「うわ……すごい……」


 門をくぐり街へ一歩入ると、さっきまでの一面の平原とは全く異なる光景が広がっている。思わず感嘆の声が出た。


 太い通りに沿って建物が並び、往来には多くの人が行き交う。

 老若男女様々な人が視界に入る。たまに、人間以外の種族も。


「街は中心部が一番栄えていて、その次に外周部の門の周辺が栄えています。門は確実に人通りがありますので、長旅をしてきた人相手の宿や商店なんかが多いですよ」

「なるほど……じゃあ、中心でも門の近くでもない場所はどうなってるの? やっぱり人はいるんだよね?」

「ええ。まばらなだけで、ちゃんと人はいますよ。農地があったり、この街の場合牧場があったりします」

「あー。牧場から始まった街なんだっけ」


 シャロの講義に耳を傾けるヒカリは、一応は僕がさっき説明したことも理解してる様子を見せた。


「この街ではどうかは知りませんが、その地の地形をぶった切って壁を作ることも多いので、街の中に広大な自然が残されてることもありますよ。川や湖や森。山の一部とか」

「そっか。都市っていっても、街だけがあるわけじゃないのか……うん。わかる。大都会の真ん中に大きな公園が……うーん?」


 自分のわかる話に持っていこうとしているらしい。

 まあいいか。理解の仕方は人それぞれだ。


「ねえギル。それでこの街で、これからなにするの?」

「考えるのが面倒くさくなったね……もちろんギルドの仕事だよ」

「よーし! ギルドギルド。たくさん稼ごうね! えっと、ギルドはどこ?」

「大抵は街の中心にありますよ。王都レベルの大都市なら、外周部に支局があるかもしれませんけど。この街ではそんなことはないはずです。……今から歩けば、夕暮れまでには中心に着くでしょう」

「夕暮れ……? 歩く……?」


 シャロの説明が理解できないのか、それとも頭が理解を拒んでるだけかな。


 ヒカリは空を見上げた。

 時間帯としては、昼過ぎってところかな。傾きかけてるとはいえ、陽はまだ高い位置にある。


「まだ……歩くの?」

「城塞都市ですから。大きな街ですから。それくらいは歩きますよ。でも、割とすぐ着くと思いますよ?」

「うあー! 嫌だー! もう歩きたくない!」

「ちよっとヒカリ!?」


 ヒカリはまた地面に座ってしまった。

 都市の外の往来の少ない道じゃなくて、人が大勢いる場所だ。


 みっともないから、みんなでなんとか無理矢理起こす。そして強引に引っ張って中心部へ連れて行くことになった。

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