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魔法少女が異世界にやってきました!  作者: そら・そらら
第1章 光の魔法少女

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1-22 酒場の喧嘩

 パブロさんは依然としてそわそわしている。なにか気がかりなことがあるかのように。もう少し話を聞いてみようとした時、別の声に遮られた。


「夜分に失礼します! 神父さん! ここに商人さんは来てませんか!?」


 教会の入り口から声がした。そっちを見れば、息を切らした男がひとり。


「そこの酒場で、商人さんの護衛たちが、け、喧嘩を始めようとしていまして!」


 どうやら彼は、酒場の店員のようだ。


 パブロさんを道中の危険から守る護衛は、主人が教会を訪れている間に酒場で飲んでいたらしい。それ自体は別に悪いことではないけど、騒ぎが起こったとなれば話は別だ。

 護衛といっても元冒険者がなることがほとんど。当然ながら気性の荒い者も多い。商人の護衛となれば雇用は安定しているし、大規模な商会の会長となればなおさらだ。その分他の冒険者を見下す傾向にあるし、喧嘩に発展することも多い。


「それはいけない。止めてこなければ。すいません、今夜はこれで失礼します!」


 パブロさんは慌てた様子で、その酒場の方へ駆けていった。逃げるようにも見えた。


「ギル。わたしたちも行こう」

「あ、うん!」


 ヒカリもまた、気になった様子で僕の手を引いて走る。シャロとライラもついてきた。




「てめぇもわからない奴だな! 馬の怪物に殺された冒険者は間違いなくいるんだよ!」

「本当に馬なのか? 野生の狼とかじゃないのか? 馬風情に殺されるなんてありえねぇだろ。この街の冒険者ってのは雑魚ばっかりかよ」

「なんだと!? やる気か!?」

「おう。やってやるよ。かかってこいよ」


 教会からさほど離れてない酒場に着いた時には、口喧嘩が殴り合いに発展する直前だった。店の真ん中付近で、男がふたり睨み合っていた。


 片方はたまに見かける、この街の冒険者。もう片方がパブロさんの護衛かな。睨み合うのはひとりずつだけど、お互いの背後にそれを囃し立てる集団がそれぞれいた。

 口論のきっかけは馬の怪物。昼に遭遇した怪物の噂が既に広まったのか、それとも昨日の金の馬のことなのか。それかふたつの噂が混ざった物なのかはわからない。とにかく馬の怪物は街の冒険者の間で噂になり、それになぜか護衛たちが噛み付いたらしい。


「おい! お前たち! 何があった!?」


 パブロさんが自分の護衛たちの方へ駆け寄り問い詰める。すると次々と声があがった。


「聞いてくださいよ会長。この街の近くに馬の姿のバケモノが出るらしいですよ」

「人を蹴り殺したって話です」

「しかも人を食うって、こいつら言うんですよ」

「馬が人を食うなんて! 馬ってのは草しか食わない動物なんだよ!」


 ガハハと下品な笑いが護衛たちから一斉にあがる。酒が入っているのか、品がない。

 パブロさんが頭を抱えているのにも気づかず、護衛のひとりが高らかに言う。


「いいか。そんな馬はいねえ! おおかた、ドジって怪我したかくたばった冒険者の名誉を守るため、そんな噂を流したんだろ!?」

「なんだと!? 喧嘩売ってるなら買ってやろうじゃねえか!」


 ここまで言われたら冒険者も黙ってはいられない。今にも掴みかからん勢いだ。


「あ、あの! 皆さんが言ってる怪物は本当にいます! 人を食べる馬は――」

「うるせぇ! 女は黙ってろ!」

「ひぃっ!? ごめんなさい!」


 喧嘩を止めようとしたシャロを、護衛のひとりが罵声を浴びせて遮る。さすがにこれは許せない。ヒカリとライラも同じようで、同時に言い返そうとして。



「まあまあ。みなさん落ち着いて。こんな所で喧嘩しても、なんの意味もないですよ」


 知らない誰かに先を越された。見れば、冒険者風の格好の女が落ち着いた足取りで、対立している両者の間に歩み寄っていた。


 歳はシャロより少し上くらいかな。機能性重視の簡素な服装と、腰に下げているひと振りの剣から、剣士職の冒険者と推測。


 彼女の登場で、場が静まり返った。誰もが突然出てきた冒険者の女に見とれている。それはひとえに、彼女が美人だったから。

 流れるような長い黒髪とぱっちりとした瞳が美しさを引き立たせている。その上、胸元がやたら目を惹きつけていた。なんというか、大きい。成人はしてないだろうけど、いかにも成長しきっていますという双丘が激しく自己主張していた。



 酒場を覆った静寂をいいことに、彼女は話し続ける。


「落ち着きましたか? よろしい。皆さんが何に怒ってるかは知りませんけど、喧嘩はよくないです。まずはお互いに話しをふぎゃっ!?」


 殴り合い寸前のふたりに歩み寄る途中、なだめる言葉を言いながら、机の足を蹴飛ばして思いっきりつんのめる。酒場を、さっきとは違う種類の静寂が包んだ。


「ちょっと! 誰よこんな所に机置いたのは! いや、最初からあったけど! いやそれよりも! ……喧嘩はやめてくださいな?」

「うるせぇ。女は引っ込んでろ」


 護衛のひとりが罵声を投げた。さっきも聞いた言葉。そして、その冒険者の女にとっても聞き捨てならないらしい。


「ほほーう? このあたしに引っ込めというのかしら? 見た感じ大した実力もないのに、集まって偉そうに威張ってる男どものくせにー? このあたしに偉そうな口聞けるだけの実力者には見えないわねー?」


 めちゃくちゃ煽っている。なんなんだこの人。喧嘩を止めたいのじゃないのか。

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