表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

I




 理科室で、音楽室で、資料室で、リョウちゃんは色んな話をする。

 リョウちゃんはすらっとしていて、細くて、そのくせ温かい。やさしくて、はかなくて、ときどき怖い。

 わたしはリョウちゃんの話をきくのが好きで、リョウちゃんが誰より好きだった。


「みぃ、好きな人いる? 何よ、平気平気、内緒にするから。誰にも言わないわ。ねぇ、いる? 誰?


 もう、そういう意味じゃなくてよ。わたしはトモダチでしょ? そういう意味じゃなくて、だから、彼として好きかってこと。

 いないの? コータなんかいいんじゃないの。オミはちょっと子供すぎるでしょ、お節介だしさ。あ、何、オミの方がいいんだ? ま、オミのが顔はいいもんね。

 え、何? 照れない照れない。いいじゃない、応援するよ、わたし。

 ――わたし?

 そうねぇ、わたしは、やっぱりトヨキ先生かなぁ。あとは皆ホラ、ガキばっかりだしさ。

 背高いし、かっこいいし……やっぱ、違うもん。

 コータたちなんか及ばないってこと。あ、でも、みぃはあの中なら誰でもいいからね。年もそんなに違わないしさ。はは、何よぅ、いっそ二人でもいいじゃない。嫌ぁよ、わたし、背低い奴なんか。みぃはお似合いだけどさ。

 そう、だからさ、わたしはトヨキ先生しかいないの。

 でしょ? ――いい、みぃ、これは秘密よ。誰にも言っちゃだめだからね。

 わたしも、みぃがオミを好きだってこと、誰にも言わないからさ。

 内証よ。ここだけの秘密ね。

 絶対? じゃぁ指切りしよう。嘘ついたら絶交だから。

 ――よし。もうこんな時間! みぃ、わたしより遅かったら、みぃの分もわたしが食べちゃうから。じゃぁね!」


 リョウちゃんは完璧で、わたしの世界のすべてだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ