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輪廻の2人  作者: 海月水華
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波乱の予兆

グランから程遠くない北西部に位置する森林地帯、そこで3人の男が何やら怪しい会合を開いていた。


「大体の目安は掴んだか?」


そう発言したのは右目に眼帯を付けた無精髭の中年男。彼から発せられる独特な雰囲気は、彼が表舞台の人間ではないことをひしひしと感じさせている。


「はい。少なくとも二日後には攻略出来るかと」


無精髭の男の問に答えた男は見るからに痩せていて正直生気をあまり感じさせない。しかし、二つの双眸には生気とは違うどこか違和感を感じさせる光が灯っている。


「そうか。では三日後には突入出来ると・・・部隊の方はどうなっている?」


「部隊の方も間に合いますぜ。今しがたお待ちを」


最後の一人、背は低めで短く乱雑に切ってある髪を立たせてニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている男はそう言いながら水筒の中の、恐らく蒸留酒であろうものをグビっと啜りながら答えた。


「ふふ・・・これで揃ったか。遂に終わるのだ、そして始まる・・・我々の時代が、な」


無精髭の男はそう吼え、あとの二人もそれに続くように笑った。

これから始まる動乱のほんの些細な綻びを作った悦びに酔いしれながら。




-----------



――――――――目を覚ますと夕暮れの空が柔らかく揺れ、少し肌寒くなっていることに気づいた。


「お目覚めですか、レイティアお嬢様。もう城門はすぐそこですよ」


クラウにそう言われ見渡すと先程の景色とはガラッと変わり、舗装された道に畑、行き交う馬車がグランへ程なく到着することを如実に感じさせている。


「私どれくらい眠ってた?」


まだ若干の意識の戻らない頭を軽く振りながら、前で手網を持つクラウに問いかけた。


「せいぜい四刻くらいでしょうか?」


「え!?そんなに?なんで起こしてくれなかったのよ」


「レイティアお嬢様もお疲れのご様子でしたので。道中の魔物はほとんどレイティアお嬢様が退治してくれていましたし、お気になさらず」


そんな言ったってクラウの方こそほぼ休み無しで手網を持ち野営の見張りまでしてくれていたじゃない。

なんて言ったところで彼女は笑って流すのでしょうけど。


「そう言えばレイティアお嬢様。先程馬車に鳩便が届きましたよ。此度の依頼主の方からでしょうか?」


そう言ってクラウが渡してきた手紙を開いてみる。


どうやら相当上質な紙を使っているみたいで、折り目を開くとパリッと音がする。


「何と書かれていますか?」


クラウの問に答えようと手紙へ目を落とす。


「!?」


「どうされました?」


「これは・・・あまりよろしくない事になりそうね」


そのままクラウに手紙を渡す。


そこには、


敵襲の兆しあり。

気を付けて直接城内に来られたし。


そう短く書かれていた。

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