1話目 私と彼女
これは普通に家族も居て大学を卒業して就職して一人立ちをした私と、三年間社会人をやって急に仕事を辞めた親友である彼女と二人暮らしをする話です。
自己紹介をします、私の名前はアコと覚えてください。ボブの黒髪を毎朝整えています。25歳になります。
同居人はトーカと言います。少し色が抜けかけた髪を後ろで結っている性的少数者の女性で、24歳です。
ここからは一緒に暮らし始める前の話になります。彼女とは、私が大学生で彼女が高校生の頃に同じアルバイト先で出会いました。
先に働いていた彼女は年下の先輩にあたります。
私は友人をあまりたくさん作るような性格ではありませんでした。
彼女はよく喋りよく笑い、どちらかというと目立つグループの輪に居ました。
気が合わないだろう思っていたのですが、彼女の明るく少し強引な性格が私には合っていたようでとても話しやすくてすぐに仲良くなれました。
それから自由な大学生だった私は、定時制の高校に通っていた彼女と時間を合わせてかなりの時間遊び回りました。
時間が経つにつれてお互いに恋人が出来たり友人が増えたり、それでも連絡が途絶えることはなかった。
もちろん、彼女が地方の会社に就職して離ればなれになっても連絡を取り合ったし、彼女が地元に帰ってくる時はよく遊んだメンバーを集めて飲み会をしました。
そこからまた月日が経過して、12月の冬。彼女から電話がありました。
突然、仕事を辞めると告げられた。いつもと変わらない声で言われたものだから冗談にも本気にも聞こえませんでした。
「それなら一緒に住もうか」
彼女が本気なら一緒に住んで良いと思った。それほど私たちが出会ってからの8年間を、私は信頼していたのです。