彼女と登校
うわっ、やばいっ。
がっしゃんっ。
学校を囲むフェンスを乗り越える。
自分の身長以上の高さがあるが、コツさえつかめれば簡単。
後は勢い。
と。危ない・・・なんか、今日、体が重い・・・。
膝がガクンって言った。もう少しで、フェンス超えられないところだった。
遅刻しないけど、急いでもいないけど。時間は全然余裕だけど。
こんな風に登校するのはクセだ。習慣だ。ノリだ。
やっほーい!
とっ。着地。
さぁーて。今日も。
あのお坊ちゃま二人と、ギターと、ベースはもう登校しているんだろうか。
うーん、ギターは、遅刻ぎりぎりバイク登校。
ベースは・・・・あ、そういえば委員会だったかな。
じゃあ、もう教室にいるかな。
お坊ちゃまは・・・特に・・・気がついたら教室にいるし。
クラス違うし、時間があれば顔見に行ってみよう。あの、お坊ちゃま特有のあの・・・なんて言うんだろう、空気感を味わいに。
もうひとりのお坊ちゃまは・・・あ!?
そういえば、今日一緒に投稿する約束だったっけ。
あっちゃー、すっかり忘れていたわ。
でも、大丈夫だろう。
登校してきた不機嫌お坊ちゃまから、氷の視線を朝のSHR中ずっと浴びるだけで・・・
あー。それ、ちょっときついな・・・。
でも、しばらく時間が経つとなおるから大丈夫だろう。
「おい、貴様!また、フェンス飛び越え・・・」
「!」
んなっ。生徒指導の馬場。
その名の通り、馬面してるんだ。そして竹刀持ってるんだよ。
最近、フェンス登校しすぎて、ここで見張られてるんだよ・・・。
そんなやる気ださないでいいのに・・・・。
「すみませーん、ちょっと急いでまして!」
さぁ、逃げるぞ。よーい。どん。
「えっ、は? お前、咲原か・・・!?」
馬場の、そんな言葉は聞いてなかった。