彼女と先生
「咲原、話を聞きたい」
怒ってる?
先生が、怒っている。
バンドをやる時も、デビューの時の騒ぎになる時も笑って背中を押してくれた先生が怒ってる。
人目の無い場所。
騒ぎになった教室から、少し離れた体育館倉庫裏に、私たちはいた。
ーーーーーどうして、先生は、怒っているの?
それが分からない。
そして、クラスメイトが。
「・・・・・・・・」
「咲原、黙っていたら分からないぞ、お前。どうしてこんな事をした?制服なんて着て」
ーーーー黙っていたら、分からない?
ーーーーどうしてこんな事をした?
ーーーー制服なんて着て?
きっと、分からない。
先生の言っている事が分からない。
音として耳に入ってくるのに、意味が全く理解出来ない。
「・・・・・」
キーンコーンカーンコン、キーンコーンカーンコン。
電子音が鳴る。
薄っぺらい音。
「・・・・・おい、咲原!」
ーーーーーハッ。
意識が飛んでいた。どうやら目の前の先生は、何かを喋っていたみたいだ。
聞いていない。
「・・・・・おい・・・とりあえず、警察呼んだから」
「え?」
「えじゃないよ、え、じゃ。当たり前だろ、お前!ここはもうお前の学校じゃないんだ、今お前がやった事は」
「・・・・・私が、え?」
「何惚けた顔してるんだ、当たり前だぞ。校内で騒ぎを起こすなと。お前はもうーーー」
「待って下さい!」
ここの生徒じゃ、ない?
何で?
昨日まで、私。
「おい、咲原、お前、本当に大丈夫か?」
「大丈夫、じゃ、な、」
ぐらり、視界が傾く。