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閑話 リルの趣味趣向 (翔)

「わーふん、わっふんふん」



 リルがニコニコしながら何かを準備している。昨日、なにかを勉強しているのだと思ったら今日はそれを実行しているみたいだ。

 両親と俺に自分が美人だということをわからされてからの行動だな。自分に自信を持つってのはいいことだが、何をしているんだろう。もう聞いちまおうか。



「よし!」

「リル、これからなにをするんだ?」

「顔のマッサージだよ。身体のプロポーションを磨いてるのと同じように、顔の方もそうしようと思ってね」

「なんだ、自分の顔に自信をもってから顔の手入れするのか」

「わふわふ、良いと分かればそれを手入れしたくなるんだよ」



 なるほど、確かに自分の体に自信を持ち始め、さらに運動神経がいいとわかってから鍛えるなどの身体の手入れをし始めたし、自分の頭が良いとわかってから様々な勉強に着手している。

 より良いものをよりよくするってのがリルの趣向なんだな。俺の筋肉を促進させたがるのもそのせいかもしれん、いや、アレに関してはただの筋肉付きってのが大きいが。

 それにしても……。



「今以上にリルが美人になるのか……。しかしこれ以上どこをいじるんだ」



 完璧なんだよなー、今の時点で。可愛くて仕方がないんだが。



「わーふ、いじる場所がなくても、今から将来シワができないように皮膚を鍛えたりできるし……」

「俺らまだ高校生だぜ? もうそんなこと考えているのか」

「わふわふ、今からやれば50代くらいでもこの見た目と体型を維持できるかなーって。あゆちゃんやミカちゃんのお母さん達はまだ四十路だけど20代に見えるし、十年後もあのプロポーションを守ってそうだろう? あのくらいにはなりたいなー」

「お、おう」


 

 確かにあの二人は「おばさん」って呼ぶのも憚れるくらい若く見えるが。

 それはそれとして、まさか思わないよな、リルがこんな美容好きになるとは。とはいえ金は一切書けず、医学に基づいたツボの刺激や筋肉や骨格の動かし方、マッサージでこれらを行なっているからなんの文句もねーが。あくまで趣味の範囲内でそればっかりに時間かけてるわけでもねーし……。

 そして実際、身体の方は体重的の数値的には今も痩せているが、しっかりバストアップし、くびれや腹回りもモデル並みかそれ以上になっている。あのガリガリで死にそうだった頃とは大違いだ。

 あの時代を思い出すともはや涙すら出てくる。

 


「ふんふんふふん」

「しかしそんなに綺麗になって誰に見せるんだ? 顔と身体」

「わふぇっ、顔はともかく身体はショーにしか見せないよ!? ショー以外には水着姿ですら見せたくないよ、知っているだろう?」

「そうなんだよなぁ……」



 確かにリルは人から胸を注目されたりするのもすごく嫌っている。世間一般の認識では勿体無い気もするが俺もそれでいいと思っている。ということはアレだ、やはり俺が独り占めしているということになってんだな。リルは……いや、リルも俺と結婚する気満々だからそれでいいんだが。

 だがそうなると俺だってそうだ。着替え以外で上半身の服を脱いで筋肉を見せてやる対象はリルとたまに有夢にもせがまれて見せる程度。お互い様というべきだったか。



「わっふっふ、今後はこの顔のマッサージとツボ、表情筋トレーニングなども日頃のメニューに加えなきゃね」

「毎日のやることが増えるな」

「なぁに、ステータスを生かして無駄がないようにやってるんだからいいのさ。実は私の日頃のメニュー、まともにこなそうとすると1日10時間はかかるんだよ、すでに」



 し、知らねーうちにそんなに増えてやがったのか。普段は俺の筋トレの間だけやってるが……。それにしてもリルっていくら食っても太らないし、今の体型を保つだけなら一般的な運動だけで十分だと思うんだが。



「そんなにやる必要あるか? 狼族だから元々筋肉質だろうし、体型だって維持しやすいだろ?」

「うん。でもこれはさっきも言った通り何十年先を見越してのメニューだから。今の私を保つだけなら狼族、エルフの血、私のママからの遺伝と体質も加味して毎日10時間分も何かする必要はないんだ。ぶっちゃけ食っては寝てゴロゴロしつつ十年は放置でも今のままだね」

「そうなのか」



 それはそれですごい体質だが、ミカとサクラちゃんもそんな感じだったっけな。うちの女性陣はどうなってるんだろうな。本当に人間なのか?



「あ、ほんとは毎日してあげてるショーの整体とマッサージも何時間もかかるんだよ? ステータスは時間を無視できるから素晴らしいよね!」

「そうだったのか、ありがとな」

「いいんだよ、もはや趣味なんだ」



 趣味、そうか趣味な。俺の筋トレが趣味なようにリルの趣味はこれか。いや、全くその通りだ。趣味じゃなかったらいくら俺に振り向かれるためとはいえここまで続けられないだろう。



「さ、ショー! 今日も一緒にトレーニングをしようじゃないか!」

「だな」

「そして終わったら……わふふふ、ベタつくから覚悟しておいてくれ」

「おう、遠慮なくこい」



 この後めちゃくちゃ二人で筋トレとマッサージをした。

 そしてさらにその後は……。

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