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第八百二十三話 魔神の注意

「デイス、そこに座れ」

「ほっ、なんですかの……。え、怒られるですか?」



 シヴァ、スルトル、サマイエイルの三柱はやってきたデイスを早々に座らせ、上から見下した。



「テメェよ、オレ様達を封印から解くためにあれこれ試してくれてるよナァ」

「そのことについては本当に感謝しているんだが……」

「一体なにを試してるんだ?」

「それはまあ、一言では言えないくらい色々と……まだ霞を掴むようなもので、なにもできてはおりませぬが。もしかして、なにも進展がないことにお怒りで?」



 キョトンとしているデイス。

 スルトルは腕を組みながら彼女に迫った。



「いや、オレらに時間なんてカンケーねーから、いずれ封印が解けりゃいいから、そりゃねぇよ」

「で、では何か問題が?」

「そう、問題が起こってな。実は______」



 シヴァはアリムから聞いた地球で起こっていることを全て述べ、そのことについて彼らが訴えてきたということも言った。



「私は前にも注意したはずだが?」

「な、なんと向こうの世界にそんな影響が……! これは失念しておりました。いえ、なにぶん向こうの世界のことまでわからないゆえ……」



 デイスは慌てたようにそういった。彼女自身も全くもって想定していなかったことであるようだ。



「珍しくスルトルがなんとか話を巧く流したから良かったものの」

「そうそう、オレちゃん頑張ったの。だがデイスがまだなにかしら活動してるってことは、やむ終えず情報を与えちまったゼ。今後は気をつけろよな」

「了解ですじゃ、肝に命じて置きますのぉ」



 そういい終わると三柱ともデイスと同じ目線になるようにその場に座り込んだ。 

 そして話し合いを始める。



「故にしばらくは活動をやめておけ。また怪しまれる」

「どのくらい休止した方が?」

「だいたい一年くらいでいいダロ。それまで普通に人に混じって暮らせばいい」

「人間にとって一年は長い。我々にとっては一瞬に近いものだがな」

「承知しました」



 デイスは静かに頷いた。

 シヴァはそれを確認し、デイスが落ち着いてから話を続ける。



「それにしても、巨大な氷の魔法陣を浮かべてなにをしたかったんだ?」

「ゲートの方を凍らせて脆くしたら良いのではと考えまして」

「なに、あそこでんな巨大な魔法陣作ったのか!? そりゃ地球に反映されちまうに決まってるだろォ。それにそんなに簡単に行ったら苦労しねぇーって」

「申し訳ございません……」

「まあ、そう塞ぎ込むな。一年大人しくしていれば良いのだ。急ぐ必要はない」



 デイスがやろうとしたことに多少なりとも驚きながら、三柱は彼女を励ました。

 その光景を魔神がやってきたことを知っているものは異質に思うだろう。



「マジで今動けるのはテメェだけなんだから、な? 慎重に頼むぜ」

「あの勇者に捕まっては元も子もない」

「はい。ご命令通り、大人しくしますの」

「……この現場すらあゆちゃんに見つかったらまずい。とりあえず今日はここから去った方がいい」



 何かあったら連絡するし、してくれと言葉を付け加え、シヴァ達はデイスを送り出した。

 デイスはその場から消える、



「わかりましたの……あ、そうだ」



 だが、しかしまたすぐにその場に現れた。

 三柱に質問があるようだった。



「あくまでワシの作った魔法陣はゲートを凍らせるためのものなのじゃが……その、地球の家屋が凍ったってのは、何かの間違いなんじゃないですかの?」

「いや、確かに凍っていた。写真を見せられたからな」

「……だが思い返してみればよ、あれって確か、魔法陣が現れる前の日のやつだったよナァ? 魔法って普通、即時発動ダゼ? いくらなんでも地球とアナズムでズレるなんてことは……」

「ホォ……調査致しますか?」



 デイスのその提案に、三柱とも首を振った。



「いや、やはり大人しくしていた方がいいだろう」

「彼奴らの警戒心は最大まで高まっている」

「了解しましたの。では……」



 再びデイスは消え去っていった。

 残された三柱はそのままそこに座り込んだまま会話を始める。



「これでアレだ、テメェが入ってたっていうお地蔵様ってやつの首……つまりゲートの首もポンポン飛んでくことはなくなるんじゃネェーカ?」

「だと良いんだがな」

「なんだ、家が凍ったことが気になるのか。やはり地球の自然現象がデイスのミスではないのか? 我々が深く関係している事ではあるまい」

「……かもな」



 二柱の言うことをよそに、シヴァはなんとも言えない表情を浮かべている。

 それに気がつかずに二柱ともアリムの用意したコケシの中に引っ込んでしまった。


 この部屋の中で一人、シヴァはまだ何かを考え続ける。

 しかし、その何かの正体がさっぱりわからず、シヴァも結局は考えるのをやめ、犬型ロボットの中に引っ込んだ。

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