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第八百二十三話 つまりは

「まあ、にいちゃんがアホかどうかはともかく、にいちゃんもデイスさんと接触してたってことだね」

「そういうことだ」

「ともかくじゃないー! 否定してー!」



 カナタは俺を鼻で笑い、さっきまでスルトルにキレてたショーまでもが笑みを浮かべてる。やめてよ、俺がアホの子みたいになるじゃないか! 



「とりあえずデイスさんが魔神と関わり深いってことはわかったよ。悪魔だったり人間だったり……何者なの?」

「それは少し言いにくい」

「言いにくくても言うんだよ、ね?」

「カナタクンコワーイ」

「うるさいよ、スルトル」



 また言いにくいではがぐらかそうとする魔神に対し、カナタはそう言い放った。悪魔はアナズムではサマイエイルが作り出す魔物に似た使い魔的なやつのことだし、デイスさんは聞いてる限り魔神に協力してるだけの人間なんだけど。



「あいつは一応人間だ」

「一応?」

「アァ、人間やめて半分魔物みたいな感じだゼ。なにせあいつ、見た目は若いけどもう何百……」

「よせスルトル」

「そうだ、女性の年齢は言うもんじゃない」



 見た目は若いのに何百歳。それって……あー、そうだ知り合いに一人いるじゃない同じような感じの人が。

 ヘレルさんだよ、へレルさん。エルさんを生き返らせるために悪魔として数百年過ごしてきたんだから。



「サマイエイルの部下だった、へレルさん……先代勇者と同じような感じ?」

「あっ……おー、マァ、そんな感じだ」

「にいちゃん、どゆこと?」



 俺はへレルさんについて詳しく説明した。元々は悪魔に操られてたってことは話してあるけど、それ以外はあまり詳しく教えなかったからね。



「へぇ……」

「じゃあやっぱり悪魔なのか?」

「マァマァ、近いゼ、近い」

「そうだな、近いな」



 示し合わせたように三柱ともコクコクと頷いた。なにか腑に落ちないけれど、へレルさんのようなものだと考えればたしかに悪魔の姿をできたりしても納得がいく。

 まあ、へレルさんは完全に悪魔になることはないけどさ。



「で、その魔神の協力者であるデイスさんがどうしたって言うの? 地球に起きてることに関係してるの?」

「おっと、そこを言わなきゃな」



 カナタが話を本題に引き戻した。

 スルトルは一瞬だけちょっと眉をひそめてから、答えてくれる。



「アモンにデイス。こいつの目的をもうわかってると思うが……。そう、あの女の目的はオレ様達の完全復活ダ! オレ様達はもう諦めちまってるが……アイツは諦めてネェ。つまり、あの女があれこれ、オレらを封印から解くためにやっているであろうことがテメェらの故郷に反映しちまってるんだなコレが」



 なるほど、まあ確かにそう言われるとしっくりくるかもしれない。こっちの世界の力って意外と地球に影響及ぼしちゃったりするし。



「ああ、だからお地蔵様の首も転がってっちゃうんだ。こう……バランス的なのが崩れてるから」

「そうだと思う。前にも答えたと思うが、そればっかりは私も詳しいことはわからんのだあゆちゃん」

「んま、とにかくそれが答えだ。メッセージで相談した内容も、本当のこと言っちまっていいかどうか確認しただけだぜ? ほらなにせ、一応オレ様達も封印されっぱなしは嫌なわけだし? デイスが頑張ってくれてるならそのまんまがいいんジャネーかって」



 たしかに復活は諦めてるけどしたくないとは言ったことないもんね。でもそのまんまは困るなぁ。



「じゃあシヴァはなんで最初渋ってる感じだったの?」

「カナタクゥン、それはこいつも実は封印を解いてほしいからなのサ。っつーかよ、人間にとって個室にズーット閉じ込められてるみたいなもんだぜ? オレら。出たいのは当たり前だってぇーの」



 もしかして犬の姿は嫌だったかな?

 ロボットみたいにちゃんと人型で二足歩行の方がいいのか知らん。シヴァも。

 ちょっと聞いてみるか。



「じゃあさシヴァ、犬型ロボットやめて人型になる? それがせめての妥協なんだけど」

「いーなー! そいつだけ結局優しくされるんダッ」

「シヴァは俺たちになにもしてないからね」

「いや……別に大丈夫だあゆちゃん。私はまあ、たしかに封印されているのは心地よくはないが、あゆちゃん達と一緒に居られるのは悪いわけじゃない」

「そっか」



 まあ、コレで一通り聞きたいことは聞けたかな。

 つまりいままで魔神のお手伝いをしていた人が、いま、好き勝手に手当たり次第、魔神の封印を解こうとして躍起になっており、だから魔法陣が地球に現れたり、地蔵の首の調子が良くないと、まとめるとそう言うことだね。



「……とりあえずまだ引っかかることはあるよ。なんでデイスさんは魔神に協力してるのか…とか」

「それは狂信家だからだぜ。よりによってオレ様達の」

「とりあえずは、地球でアナズムに関する現象が起こったら貴様らが対応すべきだ。地球には貴様らくらいしか対応できる者がいないのだろう?」

「それくらい言われなくてもやるよ!」

「あっ……もう引っ込み……」



 俺は真っ先にサマイエイルをコケシの中にしまい込こみ、そのあとでスルトルを。

 残ったシヴァにくれぐれも俺たちを裏切るような行為はしないようにといってからこの話は終わりにした。

 とりあえずまた、何か新しいことがあったら訴えかければいいよね。

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