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第八百七話 魔王への反響

「やべぇなこりゃ……」

「わーふん」


 

 翔とリルちゃんが廊下で立ち止まって困ってる。それもそのはず、沢山の生徒に囲まれてるんだから、当たり前だよね。

 ……にしても、今日は俺たちより早く二人とも来てたんだ。おそらく、注目されることを見越して、それを避けるためだろうけれど……。なのにこうしてたくさんの人たちに囲まれているってことは新聞の影響力がすごいってのを物語ってるね。



「た、助けよっか」

「そだね……」



 俺と美花は人ごみの中に潜り、翔とリルちゃんの手を取って走り出した。ちょっと幻術のスキルを使っちゃったけど、救出にはなんとか大成功。



「はーっ、助かったぜ」

「なんのなんの」

「にしても、すごい評価のされっぷりだったわね……」

「わふん、翔はあれくらい評価されて当たり前だとおもうよ!」

「おいおい、んなことねーって……」

「だよね、やっぱりリルちゃんもそう思うよね!」

「えぇ……マジ?」

「諦めなさいよ、捏造された過去なんて一つもなかったんだから」



 翔は大きなため息をついた。こりゃ、朝からたっぷり人に揉まれてきたな? 


 去年の夏にファーストフード店で二人でバイトして、翔が主に受付を担当していた時、そのシフトの日だけ異常に女の人と、オカマっぽい男の人が増えた記憶がある。

 俺は裏でハンバーガー作ってたから注目されなかったけど、その時のことを思い出したよ……。


 お店の人からはまた来てくれって懇願されてたっけ。まあ、あれから俺も翔もバイトしてないけど。



「それでこれからどうするの? だいぶ大変なことになると思うけど」

「はぁ……まあ、俺らにはスキルがあるからな……それ使って切り抜けたりするしかねーよ……」

「おやおや、お困りのようですな」

「あ、さなちゃん! おはよ!」

「わふ、おはよ!」

「4人とも、おはよう」



 いつのまにか佐奈田がやってきていた。うん、メディア関係は彼女に任せるに限る。



「いやー、大変なことになってますねぇ」

「ああ……」

「私も昨日の夜にできたばかりのやつを見せてもらったけどね、本当だけどすごいことばっかり書いてたよね。……まとめると、ああもすごくなるものなのね」

「わふん、さすがショーだよね!」



 やはりみんな同じ感想のようだ。やはり翔は偉人ってやつなのではないだろうか。そんな気がしてきたよ。



「でも、このままいけばズルズルとマスコミの良い的になってしまうだろうねぇ」

「どうにかできないのか?」

「悪い噂を流すのが一番なんだけど、簡単にできないのよこれが」

「まあ、そりゃそうだろうが……」

「特に火野のお父さんよ、警視さんでしょ? 変なこと言えないじゃん。まあそれ以外にも沢山理由はあるんだけど、この事態を沈静化するのは無理ねー」



 じゃあお手上げ状態なのか。

 美花がさっき登校中に予言しだしたし、このまま止められないのかなぁ。



「じゃあ騒ぎを和らげる方法は……ねーのか!?」

「改めて新聞見た限り、あの英雄っぷりじゃ無理でしょ。まあ、案外なんとかなるんじゃないかなぁ。そうめんどくさがらなくていいじゃん、注目されるのも悪くないと思うよ」

「いやぁ……」



 散々、俺と美花が目の前でそういうことをめんどくさがってきてたからね、翔にもそれが移っちゃったのかもしれない。だとしたら申し訳ないね。


 とりあえず俺たちは教室に戻ることにした。 

 ザーッとクラスメイトたちがショーを囲い込む。



「むむ、魔王じゃないか!」

「新聞を見たぞハーレム大魔王! いつもの3人に加えて、今日は佐奈田もか?」

「男の娘に幼馴染に外国から来た自分の追っかけ、もとい正妻……これなんてエロゲ!?」

「うっセーッ!」



 まずは男子にいじられる。

 もうすっかり魔王で定着しちゃってるね、二度とニックネームが変わることはなさそうだ。



「男子邪魔!」

「ぐぇ」

「火野君、新聞見たよ!」

「今年度クラスメイトになったばっかりだったから知らなかったけど……人命救助とかもしてたんだね、すごいね!」

「そういえばフエンさんとは救助して知り合ったんだっけ、ロマンチックぅ~」



 次はパワフルに男子を押しのけて女子が群がって来た。すごくワイワイしてる。



「これは、この学校内のイケメンランキング1位が変わりそうね……」

「え、そんなのもあったの?」

「うん。今まで魔王は3位安定だったんだけど」



 それでも3位あったのか。その美少女ランキングとかイケメンランキングとかはちーっとも把握してないからわからないけどさ。

 まあ、すごいんじゃないかな。



「ん、なんの話だ?」

「いや、なんでもない」

「火野君、もし有名人になったらサインちょうだい!」

「あら、二年後には五輪世界大会の選手だろうし、もらっておいた方がいいんじゃない?」

「たしかに! ちょうだい!」

「いや、サインのデザイン案も色紙も持ってねーし……」



 なんか色々要求され始めてるな?

 ……俺もサインもらっておいた方がいいかなぁ?

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