閑話 美花が甘えるだけの話 其の二
「有夢っ、あそぼー!」
「ちょっと…まって……ここクリアしてから」
「ぇ……」
「あっ、ごめん、遊ぼう!」
「ふふふ」
マジックルームにこもってゲームしてる有夢を私は無理やり遊びに誘った。
ちょっとせこい手を使ったけれど、有夢は許してくれるからいいの。
「で、なにするの?」
「これ、このお菓子」
「ああ、あの棒状のビスケットにチョコつけたやつ」
「うん、これを私がこう咥えます」
「それで俺がもう一方の端を咥えればいいと」
「そ、そ!」
有夢が私の咥えているお菓子のもう端を咥えてくれた。見つめ合う。目がクリクリしてて可愛い。
「やることは説明しなくてもわかるわよね?」
「うん、じゃあ始めようか」
有夢が向こうから食べ進めてくれる。私も折らないように食べ進めて、そのうち互いの唇が触れあう。
そしてそのまま離すことなくディープキスへ。
「んふふー」
「満足そうな顔してるね」
「気持ちは満足だけど、完璧には満足してないから。ほらほら、もっと遊ぼ?」
「次はなにするの?」
「この間、流行ってたって雑誌で見たんだけど……ツイスターゲームっていうの? 支持された場所に足や手を置くゲームなんだけど」
「へー、なんかすごい格好になりそうだね」
「それが目的らしいよ」
「んー?」
有夢は可愛く首をかしげる。普通の17歳の男性が首をかしげたりなんかしないだろうけれど、有夢の場合は自然とやってる上に可愛いから素晴らしい。
百聞は一見にしかず。
私はそれ用のシートを用意した。あと着替えた。
「じゃあやってみよう!」
「まって、シートはいいんだけど、なんで水着になったの?」
「こういう目的もあるゲームだから」
「……開発された当初は多分、そんな目的は無かったと思うよ」
ここでルーレットも用意。
準備は万端ね!
「えーっと先攻と後攻どっちがいい?」
「先行でいいよ」
「はい、じゃあ回すよー」
ルーレットは赤と出た。有夢はその場所に足を置く。
次に私は緑と出たから、一番近いそこに手を置いた。
そうやっていってしばらくして__________
「あ、あんまりジロジロみないでっ……」
「って、言われてもねぇ。始めたのは美花だし、そういう目的で始めたんでしょ?」
「そ、そうだけど……」
有夢が私の開かれた股を見ざるを得ない状況に。思ってた数倍は恥ずかしい。
「だからってそんな食い入るように見なくても……」
「ダメだった? 何回も見てるし、見られてるはずなんだけど」
「ま、まあね……」
「ほら、次早く」
「うん……」
有夢にならどう見られてもいいんだけど、私にもまだ有夢に対する羞恥心は残ってたのね。脱げって言われたらいくらでも脱ぐのに。
そう思ってる間にもゲームは終わった。
「思ったより楽しめたよ」
「そうねっ!」
「さて……次はどうしようか。じゃんけんで負けた方が脱ぐとかどう?」
「えっ……私今、二枚だけなんだけど」
「まあ、半分冗談だよ。ていうか服きなよ」
どうしようかなぁ。なにか、キスとか体に触れられるようなのに持っていけるゲームってあったっけ。
とりあえず服を着て考えることにした。
「うーーーん」
「そんなに考えること? ふつうに将棋とかで遊ばない?」
「えー、ハグとかキスとかできるのがいい」
「じゃあふつうにテレビゲームでもしようか。いつも通りぺったり寄り添ってすればいいでしょ?」
「うん!」
というわけで、結局いつもの遊びに落ち着いた。
あんまりエロ目的でいるのはダメね。こういう健全な遊びをちゃんとしていかないと。反省反省。
「……むぅ」
「あ、また勝った」
これもいつも通り。有夢はRPG以外が弱すぎるんだから、もう。あ、そうだ!
「よし有夢、次私が勝ったらなにか言うこと聞いてもらおうかなぁ」
「えっ……うん、いいけど俺が勝ったら、その逆だからね」
「わかってるって!」
へへへ、1時間くらい抱きしめてもらおうかな?
それともずーっとディープキス? もういっそベッドに向かって…うん、なにしても悪くない。
「じゃあ始めよ!」
ちなみに今やってるのはレース系のゲーム。これも有夢より私のが強い。というか、私たちリルちゃん含む六人の中で一番弱い。
これは勝ったでしょ……って思ってた。
「ふぅ、俺の勝ち」
「えええ!?」
「本気出しちゃった」
とんでもないテクニック。このゲームが私と同じくらい強いリルちゃんに確実に勝つために、ネットで技術や攻略とか調べたことがあるけど、その中でも超熟練者でも難しいテクニックがあったのよね。
それをいとも簡単にやってのけてしまった。
「じ、じつは有夢って今まで本気出してないだけ?」
「そんなことないよ? 今回はなんかへんな動きしてたら勝っちゃったけど」
ぐ、偶然なんだ。
ちょこっとだけ呆然としていたら、有夢は立ち上がって私をお姫様抱っこしてくれた。
……有夢がお姫様抱っこしてくれる時って大体……。
「有夢、まさか」
「前のゲームの時から、その気になっちゃってね。賭けに勝ったのは俺だし、文句はないね?」
「ひ、ひゃい…!」
なんかいつもより男っぽくてよかったっ…えへへ。




