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第七百六十六話 レベル上げの鬼の親 (親)

「どう、疲れてない?」

「つ、疲れるに決まってるよ。でもアナタとなら大丈夫っ」

「はは、ママったらこんなところで甘えて、他の人に見られたらまたヤキモチ焼かれるよ、私が」

「やだ、冗談なんて言って。居るわけないじゃない……こんな山に」



 有夢と叶の両親はトリアエリアル山というところに来ていた。

 あまりに魔物が多く危険な場所であるため人が寄り付かず、そのため昔は鉱石資源が豊富であったが、今はとある少女(?)のせいでそれも空になっている侘しい場所。



「いやぁ…魔物がたくさんいて人が寄り付かないところはないかなと思っていたら、こんないい場所を紹介してくれるとは思わなかったよね」

「うん、まあアギトさん全力で止めようとしていてくれたけどね。……あの人、たしかAランクより上のランクの冒険者だったんでしょ? パパったらあっという間に気絶させちゃって」

「人が相手だったからなんとかなっただけだよ」



 腕を組み、イチャイチャしながら話すそんな二人に、後ろから拳が飛んで来た。

 Cランクの魔物、アイアンゴーレムの鉄拳。

 しかしその鉄拳は二人に届くことなく停止する。次の瞬間、アイアンゴーレムは体の節目から崩れ落ちていった。



「ふぅ、やっぱりゴーレムは複雑だね」

「もう解剖しちゃって急所とかわかってるんだから苦戦なんてしないでしょ?」

「いやいや、慣れてなくてまだ手間取るんだよ」



 二人がトリアエリアル山に来た理由、それはもちろん、D以上A以下の魔物がたくさん居るためである。

 ただ単にクエストをこなすより、自分で山籠りしてレベルを上げた方が圧倒的に早いということに気がついた二人は、冒険者ランクをBにしてからこの山にこもり始めた。


 もうすでに篭り始めて4日は経っている。

 なお、篭ってるとはいえ、日常品を買ったり装備を良いものに買い替えに度々街にはおりていた。



「まだゴーレムがいるね。3体か」

「大丈夫? 一度にやれる?」

「あいつら見た目より素早いからなぁ……スキルとステータスに頼るか」



 探知できたそのゴーレム3体が二人に接近した時、予め用意していた魔法を彼は発動させた。

 ゴーレムらは一気に吹っ飛ばされ、息絶える。



「念術術・極はやっぱすごいね」

「もうそろそろ、単純な力に頼れば? いちいち計算して念術するの大変じゃない?」

「いや、私はこれでいいんだよ。それに基本、魔物は骸が綺麗な方が高く売れる」

「それもそうだけど」

「それに、疲れたら癒してくれるだろ?」



 彼は彼女の頭を撫でた。彼女はそれを嬉しそうに受け入れる。その後、二人はまた獲物を探し歩き、見つけては倒していった。



「ここって噂じゃAランクも現れるんだよね?」

「うん、でもまだ一匹も見かけてないよね……」

「Aランクより上ってかなり珍しいらしいし、仕方ないよ」



 既にBランクの魔核もすでにAランクに上がることができるくらいには集まっており、レベルもお金もだいぶ溜まっている。



「ねぇ」

「ん? どうしたのパパ」

「有夢達……どうやってここからステータスをあんなに上げたんだ? わからないな」

「でもこうして魔物を片っ端から倒す以外にレベルを上げる方法あるのかしら? 有夢のことだし、半端じゃない数倒して回ったとかじゃない?」

「それは有り得る。たしかにあの子ならEランクの魔物だけで400くらいはレベルを上げそうだよね。そもそもどこまでレベルがあるのかもあまりよくわからないけど」



 でも、と彼は腕を組んで呟いた。



「この世界、非常に魔物が多いこはわかる。しかし、無尽蔵であるわけがない。あそこまでレベルを上げるのに、生き物を一体どれだけ倒したんだろう」

「そうよね、一応ゲームじゃなくて現実だもんね」

「うーん……」



 彼は今倒したばかりの、鉄でできた獣のような魔物を見た。そしてまた、何かを考えるような仕草をする。



「なあ、いくら襲ってくる、あるいは生活のためとはいえ……あの子達がレベルを上げるためだけに虐殺を繰り返すとおもう?」

「この世界に来てから魔物に対しての命の重さは全然感じないけど……それでもちょっと難しいわね」

「これは仮説なんだけどさ、なにか……そう、なにか魔物が無限に出てくるような場所か装置があるんじゃないかな」



 彼は今まで人から聞いた話をひたすら考えた。なにかそれに該当せるようなものがないかと。

 そこに、母親が疑問を投げかけた。



「ね、ダンジョンってどう思う?」

「ダンジョン……あー、ダンジョンか」

「なんか私的にはダンジョンがそういう感じがするのよね」

「ママの勘は当たるからね。うん、検討してみよう。SSSランクやSSランクの冒険者の大半もダンジョンを1回はクリアしているというして。しかしそのダンジョン自体とても珍しいものだしなぁ」

「……! まって、危ない!」



 彼は彼女から思い切り首を掴まれ、後ろに引き寄せられた。彼は驚き、目をパチクリさせる。



「もう、考え始めると周りが見えなくなるんだから」

「ごめんごめん。……こんなところに大穴なってあったかな?」



 二人はその大穴を覗いた。



 

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