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第七百五十七話 問題の (翔)

「わ、わふうぅ!!」

「ふごい、もう夕方なのに太陽が1…2…たくさん!」

「あれはなんじゃ? SSランクのスキルかの?」

「いや、あれ一つ一つ単体のボールですよ」

「わふぅぅぅ、ボールぅ!?」



 この動物が驚いたみたいな反応が面白い。リルは驚くときいつもこんな感じの子供っぽくて可愛い反応だが、それが大勢となるとなかなか。



「じ、じゃあボール以外だとどうなるの?」

「あー、いまの強さになってからほとんどボールしか出したことないからわかりませんよ」



 実は気になって有夢に頼んで作って貰った練習用マジックルームの中で炎属性の魔法一通り放ってみたが……一撃で世界を滅ぼしかねない威力がでたな、最終的には。

 補助魔法や補助装備無しだったから、本気なら小さめの星一つ消せたりして。



「きっと凄いことになるんだろうなぁ……わふん、SSSランクの旦那、お願いだからここではやらないで」

「そりゃまあ。当然」



 ボールの群を消した。

 一気に暗くなったな、まあ夕方だし。



「ね……となるとあの子……」

「うん、今度はあの子がショーさんに釣り合うか気になるよね」



 周囲からヒソヒソと声が聞こえる。 

 どうやら俺やリルと同い年から2、3歳前後の狼女子達がリルについて話してるみてーだ。

 ステータスを生かして盗み聞きしてみるぜ。



「まず顔は?」

「わふん……顔は認めたくないけど……」

「すごーく可愛くて美人だよね。あんなの村に居たらみんな覚えてると思うんだけどな」

「何かしらの見た目に関する称号は持ってそうだね……」



 リルが美人で可愛いのはこの村に来てから再確認したからな。なにせ他の狼族の女の子も総じて可愛いのにその中でもリルはズバ抜けてやがる。

 一旦、美花や有夢、桜ちゃん以外と比較してみるとこうも違うのかと驚いたもんだ。

 美人に囲まれて生活し、それに慣れるってのもなかなか怖いな。

 ………だからハーレム大魔王だなんて言われるんだな。



「でも男の人を魅了するのは顔だけじゃないはず! スタイルはどうかな?」

「これもまあ、認めたくないけど……」

「服着てるのにわかるくらいスタイルいいよね! 脱いだらすごそう」

「わふん……男の人を虜にしやすそうだよね。いわゆるエロい身体つきってやつ?」



 それに関してはなんだろうな……うん、確かにリルはスタイルが驚くほど良くなった。日頃から筋トレやらなんやら頑張ってるからな。食事もきちんととるし。

 エロい身体つきってのは……まあ……その……否定はしない。むしろ同意してもいい。実際やばいし。



「じ、じゃあ狼族としての一番! 戦闘能力はどうかな?」

「女の人でも狼族ならそれなりに強くなきゃ……わふん?」



 なんと、リルが話し合っている女子達の方を向いて、一瞬だけ魔力を解放した。さては俺と同じで盗み聞きでしたな。



「……あれ、もしかして相当強い?」

「あの魔力はきっとそうだよぉ……私たちが勝てっこないよあの子……」

「ぐぅぅ…ショーさん、顔も良くて筋肉も史上最高で、強さはこれ以上ない……もっとも忠誠を誓ってもいい人なのにっ」

「わふぇ…そもそもあの二人は付き合ってるみたいだし、似合う似合わない以前に横取りはできないよ……」

「わーふー、認めたくないけど……」



 リルがやけに嬉しそうな顔をしながら俺に近づいてきた。どうやら男どもが俺を(リルに関して)羨み、リルは俺に関して羨ましがってる感じか。

 はははは、モテるってのはいいなっ!



「ショー……ふふふ」

「な、なんだ?」

「なんでもないっ」



 本当に嬉しそうだな……いや、どちらかといえばニヤけてるってのが正解か。



「あ、そういえばショーさん、あんた、なんでこの村に来たんだ?」

「そういえばまだ聞いてなかったねぇ」



 そういやまだ村全体に広まってるわけじゃなかったな。 

 答えてやるか。



「ああ、こいつの里帰りについて来たんですよ」

「わふーん、なるほど!」

「どういう形にせよ、攫われた同胞が姿を見せてくれるってのは嬉しいねぇ」



 そうとう今まで奴隷として連れて行かれることを脅威に思ってたのか、みんなリルが戻って来たところを見るだけで希望に溢れたような顔をする。

 今まで連れてかれた狼族がもしかしたらこういう風に戻ってくるかも知れないもんな。



「おーい、二人とも、村長が戻って来たぞ!」

「おお、戻って来たんだね」

「同胞が戻ってきてることを聞いたら喜ぶぞ、あの夫婦」



 途端に、リルの顔から表情が消え、俺の腕をすがるように強く握ってきた。明らかに震えている。

 


「なになに、何かあったのかね」

「あらあら、皆さん集まって」



 声が聞こえたら、さらに発汗までしてきた。

 俺は背中を撫でてやる。



「村長殿! 村長夫人殿! 実は昔、奴隷として連れていかれた同胞が婚約者を連れて戻ってきてるんだ!」

「ほうほう、それは喜ばしい」

 


 村人たちが道を開け、どんどんと問題の二人が近づいてくる。


 

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