第七十八話 安心
おはよう。
朝一番、俺とほぼ同時に起きたカルアちゃんから、物凄く心配された。
かなり、うなされていたらしい。
眠りを妨げてしまったか?
俺は眠りの邪魔をしてしまったことを謝ったが、それよりも、彼女は驚くべきことを言った。
俺が、そのうなされている最中、美花と、俺の弟の叶、そして母さんと父さんの名を呼んでいた上、『死にたく無い』と言ったそうな。
そうか、それはかなり心配させてしまった。
カルアちゃんは、何か記憶の手がかりかもしれないと、聞いて覚えていたのだそうだ。
俺は思わず、抱きついちゃったね。
そんな中、大臣さんが、部屋のドアをノックし、慌てた様子で入ってきた。
「ふ……二人とも! ファウストの奴がみつかりました! 詳しくはこれを見るのですぞ!」
そう、俺らは二枚の紙を渡された。
一枚は今朝の瓦版、もう一枚は号外であった。
通常の瓦版の方には、王都内にサンダーバードが現れたこと、俺がサンダーバードを倒したこと、それにより、俺とラハンドさんが表彰されることになったことが書かれていた。残りは俺の特集だった。
そして、号外の方には、なんと、ファウストが凄惨な死体で発見されたこと、そして、彼が犯した罪の数々(俺にセクハラしたこ、サンダーバードを呼び出したことも含む)と、今まで、彼に女性が抵抗することができなかった原因の称号、≪醜悪の恐王≫を解説していた。(ちなみに解説者はラストマンだった)
ファウストの死因が魔物に襲われたことになっているが、それは少し腑に落ちない。
奴は仮にもSランカーだったのだ。そのことを大臣さんに問うと、それに関しての調査は、何故、彼が姫様を攫わなければいけなかったのか、その理由も含め超極秘に行うらしい。
それより、瓦版情報早すぎ。ここの世界のマスコミも侮っちゃいけないね。
情報は時に、人をも殺す。
でも、まぁ、一難は去ったわけだ。
さすがは姫様、ファウストが死んだことに対し、『安らかな眠りを』とか言ってる。人としてできてるね。
俺らはそのまま大臣さんに連れられ、朝ごはんを食べた。
もう大丈夫だというところも、王様に見せた。
でも、もう少しカルアちゃんが一緒遊びたそうな顔してるから、あと2~3時間遊んでから帰ろう。
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俺はもう、帰ることにした。
カルアちゃんだけでなく、テュールさん、セインフォースの4人まで見送りに来ている。
俺は各々に別れをつげ、カルアちゃんと、また必ずくる約束を固くする。
俺は宿屋[ヒカリ]へと向かった。
道中、野次馬にもみくちゃにされ、ながらも、なんとか家に帰ることができた。
市民の皆さんはどうやら、俺を英雄視しているらしい。あとは可愛いって相変わらずいわれるよね。嬉しいな。
今日はマスターポーションを幾らか作って寝よう。
これから数日間……1~2週間は忙しくなるぞ!
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そう、約10日後、俺は運命的な出会い……いや、再会を果たすことは、この時はまだ、知る由もなかった。
次回から第四章です