表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
776/1307

第七百三十六話 旅行 兼 帰郷

 親父や母さん達が屋敷から離れた。

 また、有夢から聞いた話だと親父達はある程度の強さになってくるまで戻ってこないらしい。

 つまり、このアナズムにも少なくとも1ヶ月は滞在するということだ。


 つまりこれは、リルとの約束を果たすチャンスだと言える。アナズムでの冬がそろそろ終わり、少しずつ暖かくなっている今が良いだろう。

 

 提案すると、すぐさまリルも頷いた。

 そんなわけで俺とリルはユグドラシル神樹国へと、再び向かうんだ。

 準備ができ、出発する当日に4人が見送りに玄関まで来てくれた。



「俺の瞬間移動で目的地まで送ってもよろしいですが…」

「いや、叶君。せっかくの提案だが、俺とリルは今回、旅行も兼ねてるんだ。だから遠慮しておくぜ。気持ちは受け取っておく」

「気をつけてね! 気をつけることなんて何もないと思うけど」

「おう」



 食料やアイテムを受け取らないかと言われたが、路銀も食い物も間に合ってるし、何か必要でも前に有夢からもらったスキルで自作することができる。だから断った。



「じゃあ、行こうぜ。リル」

「わふん! じゃあねみんな…えっと、2週間後くらいになるかな」


 

 俺とリルは屋敷を出た。

 いやぁ、なんだか外国まで旅行ってワクワクするぜ。まずは馬車屋で足を借りる。ぶっちゃけ自分で走ったほうがはえーがな。



「SSSランカー様が……お仕事ですか?」

「いや、彼女と旅行ですよ。ユグドラシル神樹国に行くんです」

「今あんなにゴタゴタしてる国に行くのですか。まあ前よりは平和かもしれませんね。わかりました、ご希望通り、その国に行ける港町まで連れて行きますよ」



 ここから俺たちの旅行が本格的にスタートだ。

 金はある。だからめちゃくちゃいい馬車を頼んだが、なかなかのものだな。



「わぁふん」



 馬車に入り、椅子に座るなり、俺の腕にリルは抱きついてきた。とても嬉しそうだ。



「ショー、私のお願い聞いてくれてありがとう」

「約束だしな。それに旅行として行くってのもいいんもんだろ」

「うんっ。ショーと旅行、嬉しいよっ。あと堂々と私を彼女って言ってくれたことも嬉しいかな」

「んなのいつも、外だろうがどこだろうが言ってるだろ」

「だからだよ」


 

 ニコニコしながら抱きつくリルがたまらなく可愛い。

 


「移動時間含めて旅行だもんね」

「まあ、今回は移動時間のがなげーけどな。帰りは叶君に頼んじまうか悩んだくらいには」

「でも、飛行機の中より自由だし色々できるよ。何する? ……高級な馬車の中は移動するホテルみたいなものだからね、なんでもできるよ?」

 


 確かにカップル用超高級なこの馬車は、ダブルベッドやトイレ、シャワールームまでも完備。

 一泊大金貨1枚に加え割高な路銀というかなり値をはるが、まあ妥当だ。

 屋敷に住まわせてもらってる上にスキルのおかげで普段は家賃も食費もその他諸々の金もかからないし、武器まで勝手に作ってくれる有夢が居るからな……これくらいしか、冒険者を盛んにやってた時に貯めた金を使う機会がねーんだよ。


 ダブルベッドがある、ということは夜のアレが容認されている。そもそもアイテムレベルが高級の避妊アイテムやいかがわしいアロマまであるからな。


 ま、今からそれはない。



「ゲームでもするか。ゲーム機は持ってきてるし、テレビと電気ならスキル使えば用意できるし」

「わふぇ…いつも部屋の中でやってるじゃないか!」

「まあ、そうだよなぁ」


 

 いつも部屋じゃ、ゲームしてるか、本(漫画含む)を読んでるか。

 これらを身体をくっつけあってしてるだけだ。

 ……む。案外、側から見たら羨ましいかもな。リルみたいな美少女と身を寄り添ってゲームと本。

 そして数日に一回、風紀的にはいけないディープな夜を過ごす。飯だって栄養は考えているが好きなもの食えるしな。

 


「わふ? 何か考えついたかい?」

「……あ、ああ、悪い。まだなんも考えつかねーよ」

「そうだ! じゃあ、私の身体触る?」

「それもいつもやってるな」



 この世界の人たちってどうやって暇を過ごしてるんだろうな。リルは…かなり濁して言えばそこらへんは箱入りだしわかんねーだろ。

 つーかそもそも、有夢が持ってきたリバーシとかジェンガとかが流行るあたり相当暇なんだろうなみんな。



「そうだ! 港町着いたら少し泳ぐかい?」

「まだ、水が冷たいぞ。風邪引くかもしれねー」

「そっか。水着姿とか見せたかったんだけど」

「それもたまに着てくれるしな」

「慣れって怖いよ…」



 こう話してる間にも時間は過ぎて……いや、まだ出発して30分か。エグドラシル神樹国につながってる港町に行くだけでも、半日はかかるし。

 そんで持って、まだ景色を楽しむだとかそんな場所まで来てないしな。

 仕方ない、兵器を出すか。



「リル、映画見るぞ」

「わふん、映画かぁ! でも旅行らしくないよ…」

「飛行機の中にも小さいテレビみたいなのついてんだろ? あんな感じにするからよ」



 とりあえずこれで2時間半は潰せるだろ。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ