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第七百三十一話 そういえば魔神

 ショーとリルちゃんが出かけてくるって言って屋敷を出て行った。数日間は戻らないらしい。なんでも、リルちゃんがテストの賭けでしたお願いを果たすのだとか。

 

 数日間また寂しくなるなぁ……。お父さんとお母さんもまだまだ帰ってくる見込みはないし。

 着実に進んでいってはいるんだけどね。



「リルちゃんがさ、ショーに約束果たしてもらうって!」

「らしいね」

「……まだこっちにはしばらくいるんでしょ?」

「うん、親達のレベルが安定するまでね」

「じゃあ、ほら、私に男女変換させて!」



 お……もうそろそろその約束果たさなきゃいけないか。このアリム・ナリウェイが未体験じゃなくなるのももう少しということだね。

 怖いような楽しみのような。



「そうだね。じゃあそろそろ、はいスキルカード」

「えへへ、ありがとっ。ところで初夜の時なんだけどさ」

「な、なぁに……?」

「アムリタ使って今の私達と同い年くらいになってくれないかな?」

「いいけど、どうして?」

「ホラァ…アリムちゃんの年頃の姿も見てみたいし…胸ももう少し欲しいかなーって」



 悪かったな、ミカやサクラちゃん、カルアちゃんと比べて胸が無くて。 

 しかしミカの要望なんだ。その通りにしようじゃないか。



「おっけー、わかったよ」

「ふっふっふ、それじゃあ早速……」



 ミカは自分の額にスキルカードを持って行く。

 と、同時にこの部屋のドアが何者かによってノックされた。



「……ん? なんだろう」

「叶君か桜しかないわよ。先に用件聞いちゃお」

「そだね」



 俺は部屋のドアを開けた。

 その先にいたのは、シヴァだった。犬型ロボっトであるがゆえに、おすわりしながらこちらを見上げている。



「なんだシヴァじゃない、どうかしたの?」

「なあ、私のこと蔑ろにしすぎではないか?」

「え?」

「私のこと蔑ろに……」

「いや、二回言わなくてもわかるよ」



 こいつは何が言いたいんだろう。確かに蔑ろにはしてた。お母さん達のことが忙しかったからね。

 新年が明けてからこの世界に来て10日近く経ってる間、ずっとほったらかしにしてたから。



「そうか、では、どうにかしてもらおう。数百年ぶりにせっかく故郷に戻って来たというのに、この屋敷を探検して回ってるだけじゃ飽きたのだ」

「わがままだなぁ」

「それは承知だ。これはワガママだからな。しかし…もう少し構ってくれてもいいのではないか?」



 魔神でしょ? 神様でしょ?

 何をそんなに寂しがっているんだか。



「ねぇ、ちょっといいかな?」



 俺とシヴァが会話してるところにミカが割って入ってきた。すこし不機嫌そうだ。



「なんだ美花」

「ずっと覗き魔していたシヴァならわかると思うんだけど、これから私達、ラブラブに過ごす予定なんだよね」

「邪魔をするな…と? だがすこしくらい私に構ってくれても良いではないか! この家に居るとな、それぞれがカップルだから私はハブられるのだ」



 確かにカップルなんてできてないシヴァにとっては退屈かもしんないよね。俺とミカの関係を良く思ってくれていたとしても。



「恋愛は大いに結構! 貴様らが若さに身を委ね、毎日ベタベタ、高頻度で乳繰り合うのも構わん! そもそも両親が四十路なのに毎日新婚のように仲がいいから、貴様らがこうなってしまうのも無理はないだろう!」

「うんうん、それで?」

「だから、たまには私に構え。話をさせろ」



 俺とミカは顔を見合わせて目だけで相談した。

 話は決まった。



「そんなに言うなら良いよ」

「うん、明後日までお仕事ないしね。今からしようとしてたことは明日でも。……で? 話したいことってなぁに?」

「おお、嬉しいが、いざとなると思い浮かばないな。いや、一つあるぞ」

「ん?」


 

 なんだろう、また俺たちの仲についていじられるのかな。もはや人の間柄を機にするタイプの親戚のおじさんやおばさん並だからね、それに関しては。



「あの、転送装置についてなんだが」

「ああ、なんだそれか。なぁに?」



 思ってたより真面目な話っぽい。ちゃんと聞いてあげようね。



「あれ、幻転地蔵と同じだろ? そして中に私以外の魔神を二柱とも封印してるとみた」

「そのとおりだよ」

「あいつら、多分、私と同じように外を自由自在に見ることができるぞ。あと多分、話しかけたら反応するかともできる」

「え?」



 なんだって?

 俺はしっかりと封印したはずだ。



「封印ってかなり強固なはずなんだけど」

「ああ、出ることはできないが私がやってたことと同じようなのはほとんどできるみたいだな」

「な…なんだって…!」

「この身体に入れられてわかるが、有夢の封印からは絶対に出られない。そこは安心して良いぞ。それに我々は一応は神なんだ。仕方ないといえば仕方ない」



 ならよかった…じゃない。

 くぅ…しっかりと封印したはずだったのに。なんだか負けたみたいで悔しい。



「ねえ、話しかけることもできるって言ってたわよね? もうシヴァはコンタクトとったの?」

「いいや、勝手にやったら怒られるだろう。せっかく犬型とはいえ動ける身体を貰ったんだ。没収されては敵わん」



 俺もミカと同じようにそれを疑ったけど、なるほど、それなら大丈夫そうだね。

 しかし…コンタクトを取れる、か。

 もしかしたら一緒に入られた方が不都合なこととかあるかもしれない。

 ちょっと色々と検討してみるか。

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