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第七百八話 迷うプレゼント

「と言っても簡単な話よ。リルちゃんの過去は本人以外なら貴方が一番よく知ってるでしょ? どう?」

「ああ、その通りだ。確かにあいつは何かに打ち込む余裕なんてあるはずなかったな…」

「らしいわね。でも今は心の余裕があって何かができる。その余裕が全部、翔に行ってるってわけよ」

「なー、なるほどな!」



 どうしよう、俺おいてけぼりだ!

 確かにこの手の話はミカが一番いいんだけどさ。

 ……一応ダークマタークリエイトのスキルカードだけ作っておくか。このスキル作るの三回目だなぁ…。



「じゃあ俺はなにをすればいいんだ?」

「確か5歳から翔に会うまでが地獄の日々だったのよね? まともな誕生日と翔からのプレゼントだけで号泣するんじゃないかしら」

「だから困ってんだよ…。変なもん渡せないだろ? それに下手したらこの誕生日は一生の記憶に残るもんだ」



 よし、スキルカード自体は抽出したから、あとは元どおりにスキルを作り直すだけだね。

 それにしても、実質、ちゃんとした物心ついてから初めてやる、ちゃんとした誕生日会は、リルちゃんの心に残るのは鈍感なショーでもわかってたか。

 


「そうね。例えば有夢みたいに100本のバラを贈ってみるとか?」

「俺もそれは考えた。だからもう花屋という花屋駆け巡って100本集めたぜ」

「へぇ…! やるじゃない」



 おおう、それだけでもリルちゃんは飛び跳ねて喜びそうだ。……っと、スキルの合成は終わったから次はポイント振らなきゃ。



「でもそれ以外にも贈ってるだろ? ……有夢は美花にアナズムでの誕生日、なにを贈ったんだ?」

「ふふん、これよこれ」



 美花は俺のあげた赤い糸と指輪を可視化させ、ショーに見せびらかせた。



「指輪と赤い糸? 美花の小指と有夢の小指に繋がってるが…」

「これらはね、簡単に言えば、どっちかに何かがあっても、一方が無事ならすぐにまた引き会えるってものよ。例えば私がアムリタでも生き返らせられない状況になったとしても、この指輪があれば理想の状態まですぐに元どおりになるの」



 ミカはうっとりとした顔でそう言った。

 そんなに喜んでもらえてるなら俺も嬉しいよ。……よし、もうスキルの管理はこれでいいかな。



「もうずっと離れられねーってことか……」

「うんっ」

「ま、お前らなら問題ないな」

「えへへぇ」



 ミカは俺の肩に頭をすり寄せてくる。その頭を俺は優しく撫でた。



「どうする? 同じもの作ってあげるよ?」

「いや……それはさすがにいい。有夢と美花なら問題ないだろうが、俺にしちゃ、なんだか、拘束してるみたいだしよ…」

「そうかな? そんなことないと思うけど」

「逆にリルちゃんはすごく喜びそうよね。翔に首輪をつけていてもらいたいタイプというか…。ああ、でもあの子はあの子でショーを拘束してるみたいで嫌だとか言って拒否するか」



 うん、何でもかんでも俺とミカを基準で恋愛を考えちゃいけないね。自覚はしてるけど、俺達の場合は狂気的なんだから。

 おそらく…カナタとサクラちゃんも『流石にそこまでは…』って言ってあまりいい顔しなさそうだし。



「結局俺はなにをプレゼントしたら良いんだ……」

「だったらアクセサリーにしなよ。とても恋愛的要素の高いエンチャントをしたね。あ、はいこれ、ダークマタークリエイトだよ。くれぐれも悪用はしないように」

「あ、ああサンキュ」



 そしてアイテムマスターならぬアイテムマイスターの合成方法も教えた。これで翔は俺とほぼ同じことができる。

 手作りで神具級は作れないし、ダークマタークリエイトは国宝級までになるけど。



「確かに…ガチガチに拘束しないような内容のアクセサリーだったら良いかもな」

「そう。それにショーがどのくらいリルちゃんを愛してるかを自分で彫り込むことになるからね」

「うおお…なんだか緊張してきた……」

「まあ、どういう内容にするか、どういうアクセサリーにするかは自分で決めなよ」



 チョーカーとか似合いそうな気がするけど、狼(実質、犬)であるリルちゃんにチョーカーってそれ完全に…。

 


「わかった。ありがとな二人とも。相談して考えがまとまったぜ」

「それならよかった。リルちゃんのお誕生日、一生の記憶に残っても恥ずかしくないものにしようね」

「…ああ!」



 満ち足りた表情でショーはこの部屋から出ていった。ほとんどミカしかアドバイスしてなかったけど、お役に立ててよかったよかった。



「ふぅ、リルちゃんの誕生日、絶対良いものにしようね? あゆむぅ」

「うん、そうしようね」

「えへへぇ」



 美花は幸せそうな顔でまた俺の肩にすりついてきた。

 甘えてる。かわいい。俺達が繋がってることを再確認して嬉しくなったんだね。



「よしよし」

「んふー」


   

 やばい、ほんとに可愛いどうしよう。

 食べちゃいたいくらいだけど、昨日の今日で疲れてるし襲っちゃうのはまた明日にしよう。

 ……もうそろそろショーは誕生日プレゼントを作り始めているのかな。俺ももう少し改善案とか練ってみるか。



 

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