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第七百四話 お祭り!

「お祭りだよーっ!」

「わーい!」



 待ちに待ったお祭りがやって来た。ふふ、汗水垂らして飾り付けを頑張ったぶん、しっかり楽しまないとね!

 リルちゃんは相当楽しみにしてたんだろう、まるではしゃいでる犬のような凄まじさでショーを連れてすでに外に出てしまっている。

 カナタとサクラちゃんはあと30分くらいで行くそうだ。


 俺とミカは今、外に出た。もちろん変装はしてるけどね。ちなみに今日は試しに年相応の見た目にしてるんだ。顔を見られたらアリムとミカだってギリバレるかもしれないから、赤の他人には別の顔に見えるようにはしてるけど。

 ……雪が降っている。



「このお祭りって、雪が降ってたほうが良いって習わし んでしょ? 有夢の飾ったイルミネーションが反射して綺麗ね。もしかしたら国王様もそれを見越してDプランを選んだのかも」

「うん、そうかもね。雪が降ってるこそお祭りも盛り上がる」


  

 まあ、本当は今日はカラッカラの天気だっていう予測はアイテムによって付いていたから、俺が無理やり降らせたんだけどね。ネタバラシしたら全然ロマンチックじゃないからヒ・ミ・ツ。



「お店や屋台もたくさんやってるよ! みに行こうよ!」

「慌てて転ばないでね」


 

 この世界のクリスマスのようなものは、本当に活気が違う。そのまんまお祭り騒ぎだ。

 俺とミカは買い食いをし始めた。

 こうしてみるとほぼ縁日だけどね。ダーツ投げとかもあるし。



「それにしてもお祈りしてる人、ちょくちょく見るわね」

「そりゃあ、アナズム版クリスマスなんだから。この世界に宗教はほぼ一つしかないしね」 



 俺たちはアナズムの宗教のことをよく知らない。何かの仕掛けの引き金になることが多いということくらいかな、知ってるのは。

 今朝も出掛けるところのショーから、リルちゃんが朝早くからお祈りしていたって聞いたし。

 シヴァに取り憑かれたリルちゃんがトラウマになってるショーはなんか疲れた顔してたけど。



「こういうのが美味しいのってお祭り効果だよね。絶対有夢が作ったほうが億倍美味しいもん」

「まあね」



 すっかり定番となったフルーツサンドを食べながらミカはそう言った。

 


「しかし…今年の飾り付けは豪勢だねぇ」

「アリムちゃんが力を使って1人で全部やったんだろう?」

「すげぇな…このピカピカ光るやつ綺麗だべ」

「そうだ、今年はカルナ王妃も復活したんだ。……うわぁ、なんだか歴史に残る祭だな。まさに復活祭だ」

「間違いなく今年のパレードはジ・アースの2人よねぇ」



 街の人からの装飾の評判もいい。今年のお祭りは最高だと涙を流して喜んでくれてる人たちもいる。

 祭りを開催する側になるってのもなかなかいい気分だよ。



「ああ、一つ言い忘れたことあるんだけど、夕食は外で食べるからね」

「んー? わかったー」



 俺はちらりと時計を見る。

 そろそろお城に集合しなくちゃいけない時間だ。



「お城に行こう。集合時間が近い」

「これ食べたらね」



 りんご飴みたいなのを買って食べてから、俺たちはお城へと向かった。お城の前で変装を解き、顔パス。

 そして使用人さんに案内されるまま、仕立て室へと入った。



「時間通り、来てくれましたね」

「カルアちゃん、数日ぶり! 国王様も数日ぶりです! あ、カルナ王妃はお久しぶりです!」

「ああ、よく来てくれた。……占い師の予測では今日は天気だったはずだが、なぜ雪が降ってるんだろうな、アリム」

「さあ……」 



 一応首を傾げておいた。

 特に隠す意味もないけどね。



「今年一年は…本当に…忙しい年だったな」

「ええ、お父様」

「私は途中からしか知りませんが、見ていたらわかりますよ」



 ん……?

 なんか国王様涙目じゃないか? 声も震えてるし。



「まさか、まさか生きている妻と、もう一度、こうして一年で最大の祭りを迎えられるとは思わなかった! また、王座を二つならべてパレードができるなど……。それに魔神をほぼ全て消滅させ……」

「あ、報告し忘れてましたが、滅魔神も地球で復活しかけたので封印しておきましたよ」

「なんと! と、とにかく……魔神を全て消滅させ、アナズム全土に平和が訪れた! カルアが誘拐された時には_____」



 国王様は涙を流しながら、俺の手を掴んで俺のして来たとこと、それに対する感謝を述べていった。

 ちょっと時間が押してるけれど、誰もそのことを言いだせそうにはないし、言うつもりもないね。



「何度も言うが、改めてありがとう、本当にありがとう。感謝してもしきれない、間違いなくアリム達は過去最高の勇者だっ!」

「えへへ、ありがとうございます!」

「銅像の準備も着々としてるしな」

「マジですか」



 俺の銅像がたつって確かにいってたけど、いざとなると恥ずかしいな。



「っと…もうこんな時間か。すまないな、1人で感情を高ぶらせてしまい。ドレスはこちらで用意した。着てくれるな」

「はいっ」

「さ、あなた。ここは女子更衣室なのです。お話が済んだのでしたら、お着替えを覗かぬように。もし見たいなら私が…」

「あ、ああ、すまない。ではな」



 国王様は女子更衣室から出ていった。

 俺はドレスに着替えさせられ始める。国王様は今年一年を振り返っていたけど…そうか、一年で俺はこれだけのことをしたんだ。

 実はもうそろそろ二年たちそうだったりしない?

 なんてね。

 

 

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