第六百九十八話 女子会とお祭りの打ち合わせ
「お邪魔しまーす!」
「みんなで集まるのって久しぶりではないか?」
「確かに…数ヶ月ぶりかもしれませんね」
翌日、俺たちのお屋敷に招いた女子が集まってきた。無論、俺もアリムっ気全開だ。
それぞれ会ったりとかはしてたんだけどね、週に1人くらいは。
「ふむ、そして今回から新しく2人が加わるのだな」
「うん。みんなもう知ってるよね? サクラちゃんもリルちゃんだよ」
「よ…よろしくお願いします…」
「わふん! よろしく」
ローズとサクラちゃんとリルちゃんは一応面識はある。まあ、ローズは週に何回かうちにご飯食べに来てるし、2人はここに住んでる訳だし。
でも話したことはあまりないんだよね。
ちなみにローズにはサクラちゃんが本当のミカの妹であることは隠している。姉妹の契りを結んだ仲だってことにしてるよ。
「狼族の娘…リルか。基本的に同族と群れるか一匹かの極端な習性の狼族が、人に混じっているとは珍しいのは常々思っていたところだ」
「そういう君はドラゴン族だね? なんて呼ぼうか…」
「ローズで良い」
「ローズちゃんこそとても珍しいじゃないか。私、別の国からショー…私の彼氏に惚れてここについてきたんだけど、二つの国跨ってもドラゴン族は初めて見たよ」
「だろうな! えっと……」
ローズは俺とミカの顔をちらりと見た。
表情で、説明するのがめんどくさいので元はダンジョンのボスだったことは秘密にするように、と、ジェスチャーをする。頷いてくれた。
「そう、我も父以外のドラゴン族は知らないのだ」
「そうなんだ」
とまあ、こんな感じでお互いの紹介は終わった。すぐに打ち解けられたよ。友達の友達も友達だもんね!
「えーっと、では色々と遊ぶ前に…アリムちゃんに1週間後のお祭りでお願いしたいことがあると、お伝えしましたよね。先にその相談をさせて下さい」
「いいよー! ボクとカルアちゃんは隣の部屋で相談するから、みんなは遊んでてねー」
宣言通りに俺はカルアちゃんを連れて隣室へ移動した。
小さな椅子に座らせる。
「それで、何を頼むの?」
「もう準備自体はリロお姉様のお父様が先導して行っておりますが、アリムちゃんを計画に組み込ませるのは最初から決まってました。あのウルトさんとパラスナさんの結婚式で見せてくれたようなパフォーマンスを頼みたいのです。そのために町の飾り付けも変えてしまって構いません」
「ふんふん、なるほどなるほど」
つまり例年通りお祭り準備はしてるんだけど、俺というインパクトが欲しいと、ふんふん、そういう訳なんだね。
「国民も、今世界で1番人気のスターであるアリムちゃんにフィナーレや一部の装飾をしてくれれば、いつもよりもっと盛り上がると思うんです!」
「確かにそうかもね。じゃあ考えておくよ!」
「はい、ありがとうございます! ああ、そうだ。お父様に一応訊いてこいと言われたのですが、代金は…」
「いらないよ」
「やっぱり。アリムちゃんは優しいですね」
いや、今の貯蓄が全く減らないからこれ以上増えても仕方ないだけだけどね。
アイテムを無限に作り出せる俺にとって、お金への使い道は…人件費と土地くらい?
人件費なんて払う場面ないから、本当に買うとしたら土地なんだよね。
……日本円で2兆円の土地ってどれくらいになるかな。
まあ今はそんなことどうでもいいね。
そのあと、俺はカルアちゃんから詳しいことを大臣さんの直筆で書いた資料を受け取った。
速読で読んだおく。うん、特に変わったところもないね。とにかく派手で煌びやかにして欲しいみたいだ。
「それじゃあ、お部屋に戻ろうか」
「はい!」
俺とカルアちゃんが部屋に戻ると、6人は人生ゲームをしていた。いや…準備してるだけだね。
「おまたせー」
「あ、戻ってきた。大人数で遊べるって言ったらやっぱりこれよね! 2人とも何色の駒がいいか決めてよ」
「うん、わかった」
そうしてしばらく人生ゲームで遊んだけど、まあ結果は知っての通り。カルアちゃんが謎の豪運で圧勝してしまった。唯一、ミカがギャンブルステージでいつもの勘をうまい具合に働かせて食い下がったくらい。
「わふ……!? なにこの豪運…!」
「カルア姫ちゃんって……なんなの? お姉ちゃん」
そういえばこのリルちゃんとサクラちゃんはカルアちゃんの豪運は見慣れてないか。
いつもこんな感じなんだよ、と、ミカが説明してくれた。
そしてちょうど1戦、全員が上り終えた頃にはお昼時となっていた。もちろん俺がお昼ご飯を作る。
ここにいるメンバーは全員、真料理かそれ以上のものを持ってるんだけどね。
ふふふ、それでも俺が1番美味しいらしいから。
ちなみにみんな、今回は2泊3日だから。
たっぷり遊べるね!
まあ、俺はデザイン考えなきゃいけないけどさ。




