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第六百九十二話 お正月

 毎年必ずあるお正月。

 うちはお正月を自宅ではしない。お母さんの実家で迎えるんだ。

 おじいちゃんとおばあちゃんの、とても大きい家。

 一応うちも家は大きい方だとは思うんだけど、この家はお屋敷みたいなの。


 正月にはこの家に集まるっていうのがお母さん側の一族の習わし。だから寂しいけれど29日から1月2日までは美花と会えない。


 ちなみに父方のじいちゃんとばあちゃんは若い頃に稼いだお金を使って海外に飛び回って遊びまくってるから正月は一緒に迎えないよ。



「やぁやぁ…よーくきたねー」

「おばあちゃん! ひさしぶりー!」

「久しぶり。元気だった?」

「相変わらず二人は元気そうだね。ばあちゃんも元気だよ」



 ちなみに、お母さんとお父さん同様、このおばあちゃんも見た目がすごく若い。

 同じ年齢の俳優さんとかと同じくらい若く、昔の写真を見せてもらったらとても美人だった覚えがある。


 

「では今年もお世話になります」

「はいはい、こちらこそ。いつみても貴方のおかげで娘は幸せそうね」

「ちょっ…お、お母さんっ」



 お父さんとお母さんも俺と美花みたいに昔からの幼馴染なんだっけ。歴史は繰り返されるものなんだね。



「ところでなんか…違和感? あなたたちに最後にあったのは今年の7月よね? ……なんか9月になにかどこかで会ったような気がするのだけれど……。おじいさんもそう言っててね。それもあまり良くないことだったような……気のせいよね?」



 そうか、おばあちゃんとおじいちゃんには『違和感』と言う形で俺の本来の死を感じてるんだ。

 アイコンタクトをとり、4人で口裏を合わせることにした。



「気のせいだよ。会ったのは7月!」

「そうよねぇ…いやだ、ボケてきたのかしら」

「いえ、ただの勘違いだと思いますよ、お義母さん」

「……んー、かもね。悩んでいても仕方ないわ。さ、さ、上がって上がって」



 この家はほんと広いからなー。

 やっぱりこう言う家には色々と家業とかあるものだけど、そういうのは全部、伯父さんが継いでいる。

 この人もメッチャダンディなイケメン。お母さんとは年が離れてて、俺と上に8歳離れた息子(従兄弟)もいるんだ。その従兄弟が次世代らしい。


 あ、従兄弟もイケメンだよ。

 5年前に大学で彼女が出来たって言ってたけど今はどうしてるんだろう。ちらりと話を聞いただけだからな。


 この人には会うたびに女の子みたいだって言われて俺も叶も頭を撫でられる。

 一度だけ大学の友達に見せるとかで女装姿の写メも撮られたことあるよ(それは俺だけ)。


 伯父さんも従兄弟のオニーサンも今日はうちにいるのかな?



「そうだ、今日は二人は出払っててね、明日まで帰ってこないらしいから。…まあのんびりしてなさい」

「へえ…お兄さんに色々と報告したいことあったんだけど、明日になるのかな」



 なんだ明日か。つまんないの。

 でも今日から明後日にかけて親族が続々と来るはずだから暇にはならない。



「二人ともおじいちゃんに挨拶してきなさい」

「「うんっ」」



 お父さんにそう言われたから、俺と叶はおばあちゃんにおじいちゃんの居場所を訊いてそこに向かった。

 大和室にいるみたい。だいたい正月前のご馳走はここで食べる。



「おじいちゃーん!」

「おじいちゃん、来たよ」

「おお! 有夢に叶か、よーく来たな!」



 こちらも、おばあちゃん同様にまだ若々しさが残る。

 おばあちゃんとは70年来の仲なのだそうだ。ちなみに2人の年齢は75歳。

 やはり幼馴染か。



「相変わらず男なのに愛くるしい顔をしおって、昔の婆さんと母さんに瓜二つだわ。特に有夢は髪を伸ばせばそのまんまだな」

「おじいちゃん、俺は?」

「む、叶はなにか漢らしい顔になったな? 幼馴染の桜ちゃんという娘の眼が治ってからか」

「ん……まあ色々とね。あとでまたゆっくり話すよ」

「おお、楽しみにしてるぞ」



 ぷくー。

 俺は女々しくて、叶は男の顔になってるってことだよね。俺だって守るべき存在できたもん! 見た目も服装の趣味も女だけど、心は男の子だもん! 

 少しは男らしくなったと思ってたのにぃ。

 何がいけないんだろ。性別変えたのがいけないのかな。



「早くひ孫の顔が見たいの」

「俺の子供は待っててよじいちゃん、あと10年くらい」


 

 叶はそう言った。つまり24歳の頃には桜ちゃんと子供を作る気なんだろう。ならば俺だって美花と…。



「じゃあ俺は6年だよ。そう遠くないよ」

「そうかそうか、生きている間に見れそうだの。そんなに自信があるってことは一生守れる彼女ができたのか?」

「ま、それもあとでねー」

「まあ相手が誰か予想なんて簡単じゃがな。簡単すぎて困るくらいだわ」



 そのあと、俺と叶はお屋敷の中を探検した。

 いつも探検してる。広いからね。

 

 思えば俺たち、彼女ができたこと報告しちゃうのか。親族の皆んなから色々と言われそうだな。

 俺と叶に幼馴染がいることはすでに知られてるし。

 

 写真を見せてとか言われたら俺と美花のキュートな写真を見せてやろーっと。

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