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第六百八十六話 クリスマスデート 3 (翔)

「いいものもらったね!」

「ああ、そうだな!」



 どうやらあのくじ引き台の中に入っていた金賞入って3個。そのうち俺とリルで2つも取ってしまったわけだ。

 しかし1番のあたりを3つも入れるだなんてなかなかいい店だな。本当にプレゼントとして配ってるつもりなんじゃないだろうか。



「こっちの世界用のマジックバックにしまうよ」

「あー、そういやもうそんなこともできるんだったな、忘れてた」

「ショーのも入れようか?」

「悪い、ありがとな」



 荷物を減らした俺たちは次は昼飯を食うことにした。

 もう目星はついている。



「リル、昼飯はここだ」

「わふん、ステーキハウス!! ステーキ食べるんだね!」

「ああ」



 リルの好物といえば肉だからな。クリスマスのデートくらいこんな高いとこ来てもいいだろ。

 俺らは店に入った。

 やはり人はそれなりに多い。

 二人用の席に案内され、メニューを渡される。



「リル、俺の奢りだ。……食えるなら、な、なんでも頼め」

「いいよ、私が食べる分は私が払うよ。デートのたびに払おうとしてくれるのは嬉しいけどね。夏休みにためたっていうバイト代、キツイんじゃないかい?」



 そうだ、デートのたびにおれは自主的に金を出している。正直に言って仕舞えばもうカツカツだ。  

 しかし元はと言えばとくに欲しいものがない俺は、有夢のバイドに付き合う形で働いてたから、リルと出会うまでバイト代は貯めておくだけだった。

 だからそんなな問題はないんだが……流石にどんどん減っていく金をみると焦りがでる。



「……うっ…だが…」

「わーふー、気持ちは嬉しいよ。でも無理してまで払って欲しくないんだよ私は。私に…かっこいい所とか見せたいならもうすでに、アナズムで一生付いて行きたくなるほどに見せてもらったから」



 リルだって本当は断りたくないはずだ、優しい性格だからな、リルは。

 しかし俺がきつくなってきたのがわかってきてそう言ってくれている。……男の意地を通すべきか、リルの優しさを受け入れるべきか。



「そもそもこのステーキハウスに入った時点で私は数千円のものを頼むからね、気兼ねなく食べさせてよ」



 リルは微笑みながらそう言った。

 ……そうか、そういうことなら仕方ない。



「わかった、じゃあ頼もうぜ」

「うん! もうボタンは押したよ」

「ご注文はお決まりでしょうか?」

「ショーからどうぞ」

「…俺はヤンガスステーキ300グラムとライスとスープのAセットで。ソースはこの店オリジナルのを。あ、焼き方はミディアムで」

「私はヤンガスステーキ1ポンド、レアで。セットとソースは彼と同じにしてください」

「1ポンド…は、はい、承知しました」



 1ポンド一人で食う女子。そりゃ驚かれても仕方ないが俺としてはとても嬉しい。リルが食ってる姿を見ると心底安心する。



_____

___

_



「わふん」

「美味かったな」

「うん、とっても!」


 

 肉を喰らった俺たちはしばらく余韻を楽しんでからに店を出た。リルの野生の一部を見れたきがする。食べ方は上品だったがな。



「次はどうするんだい? どこにでも付いて行くよ」

「ああ…そうだな」


 

 実は俺はクリスマスプレゼントを用意してある。

 リルのために密かに買った手袋だ。本当に女性経験が今まで幼馴染達ぐらいしかなかった俺には、彼女に何を渡せばいいかまだわかっていないから無難なものにしたが。

 もう色んなことを経験済みだってのに、まるで彼女ができたことがない奴みたいだ。恥ずかしいぜ。


 ……渡す場所も決まっている。

 入場料さえ支払えば誰でも入れる高いビル。ここの一般客が入れる限界の場所でイルミネーションが付き始めた頃を見計らって渡す。


 ロマンチックだよな? 

 そうじゃないと困るんだがな。


 しかし時間が早すぎる。

 どうしたものか。



「わふ、行きたいとこ決まってないならデパートもう一回入ろうよ」

「あ、ああ」


 

 デパートには入らないと言っておきながら、結局ゲームをするために一回入っちゃったし、時間を潰せてリルがある程度満足するならばこの際、どこでもいい。



______

___

_



「ショーが可愛いって言ってくれたから買っちゃった」

「いや、本当に似合ってるぞ」

「えへへ」



 リルの新しい冬服は本当に可愛らしかった。

 


「リル、ちょっと場所を移動しないか?」

「わふ? 何かな?」



 俺達は予定していたビル、それの最上階と移動した。

 よし、とうとう渡す時間が来たか。別に緊張することなんて何もないのにな。



「リル、ここからの夕景色を見てみろ」

「わふ…イルミネーションと沈みかけてる夕焼けで綺麗だね……」

「ああ、そしてさらに渡すものがある。メリークリスマス」



 ちょっとキザだったか?

 もしかしたら俺に似合わないかもしれない。やっちまったまんはしょーがねーがな!



「わふ……これは…」

「手袋だ」

「わぁ…嬉しいっ! 嬉しいよショー!」



 中身の手袋を確認すると、リルは目をウルウルさせながら抱きついてきた。よかった、喜んでくれたか。

 


「わふわふ、私も家に帰ったらクリスマスプレゼントがあるんだ」

「そうか、それは楽しみだな」



 そのあと、家に帰った俺には胸元や脚を露出したサンタコスの彼女がプレゼントされた。

 もちろん、物も貰ったが。

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