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第六百八十話 クリスマスデート 4

「えーっと、住所は…はい、受け取りました。では、これが現在お渡しできる景品です。旅行券はまた後日」



 スタッフさんは俺に戦利品の数々を渡してきた。

 受け取る。……多い、特にお菓子特にゲームがすごくかさばるっ!



「あの、やっぱり提案なんですけど、あそこのマネージャーさんの言うとおり、芸能界に興味なんかは…」

「ごめんなさい、昔からかなりいろんな事務所の方にお誘いして頂いているんですけれど、僕たちは興味がなくて…」

「そうですか…残念です」



 本当に残念そうな顔をしやがる。

 興味ないものは興味ないのっ! それにアイドル扱いされてなにか写真集とか撮ることになったりしたとして……美花の水着姿とか? 

 撮られちゃうかもでしょ。

 美花の水着や下着姿を見ていいのは俺だけなの。そこらのとこは譲れない。



「では、僕たちはこれで」

「ありがとうございました」

「きがむいたら、いつでもご連絡ください!」



 俺と美花はスタッフ室を出る。

 そしてすぐに近くのベンチに身を寄せて座った。

 


「あはははは、いや…ホントどうしようかこれ…」



 俺の手にはいっぱいの戦利品。ちょっと多すぎても持ちきれない。いやぁ…嬉しいことは嬉しいんだけどさ。



「物陰に隠れてマジックバックにしまっちゃおうよ」

「そだね」



 俺と美花はすぐさまトイレの裏に隠れて戦利品たちをしまい込んだ。ふう、手元がすっきりした。

 あのままデートをするなんて絶対無理だからね。

 だからと言ってロッカーに預けるのも不安だしさ。



「それにしても、いつでも楽屋にきてねーってあのタレントさんとお笑い芸人さんにメアドもらったりさ、スタッフの中のマネージャーみたいな人がしきりに勧誘してきたり色々あったよね」

「まあ、私たちだから仕方ないわ。ただやっちゃったのが……」

「うん、あれ、全国生放送なんだってねぇ…」



 そう、やってしまった、完全にやってしまった。

 ぶっちゃけ言うとここまでテレビ関係で目立ってしまったのは初めてだ。

 叶と桜ちゃんのドキュメント番組でもちらりとしか姿は見せなかったし。


 そもそもなんで気がつかなかったんだろう。後々周りを見て見たらテレビカメラもあったし、そもそも『お昼の番組』で有名なタイトルが入った旗が掲げられてたし。

 うぅ…。



「これから大変なことになりそうね」

「ぐぬぬ…。ま、まあ頑張って行こうよ二人で」

「うんっ」



 美花は天使のような微笑みを返してくれた。

 これだけで心が落ち着く。……まあうじうじ悩んでても仕方ないよね。楽しみなる方を考えなくちゃ!



「ところでハワイどうする?」

「期限は来年の12月までだっけ。……春休みにでも行こうよ」

「私達だけで?」

「そうなるね」



 俺たちだけで海外だなんて不安すぎるけど、まあステータスが使える以上世界の誰よりも強いんだし大丈夫かもしれない案外。



「ふーむ、じゃあ結婚式をハワイであげるのは無しね」

「別にそれはそれ、これはこれじゃない?」

「確かにそうかも」



 俺はマジックバックを持ち、マフラーを巻き、ミカと手を繋いだ。やっぱり暖かい。



「さ、いこいこ! また街の中見て回るんでしょ?」

「うん、そうだよ! ランチもお洒落なお店に入ろうね」

「えへへ…お金は大丈夫?」

「ま、まあなんとかね」



 さて、まずはどこに行こうか。

 そう考えてあたりを見まわすの。だいたいデパートとか何かの会社の本社・支店だとか高い建物ばかり。カップルはたくさんいる。

 行く場所はたくさんあるし、逆にないとも言えるんじゃないだろうか。迷いすぎて。

 


「うーん、どこ行こうか」

「詰まっちゃった? んふふ…じゃあエッチなホテルとか…」

「あ、うん。昼間からそんなとこ行けないし、今日は行くつもりないからね。もっと別の場所考えようね」

「まあ、冗談よ冗談」



_____

___

_



「はぁ…えへへ、楽しかった!」

「そうか、それは良かったよ!」



 午後6時ごろ、クリスマスらしさを体感するためにあちこち歩き回るのをやめて、公園に戻ってきていた。

 結局は歩き回るのが一番楽しいってことになったのは正直救いだったかもしれない。

 それにしてもイルミネーションがすごく幻想的できれい。 

 いまは公園の椅子に座ってゆっくり眺めてるんだ。



「きれいね…」

「美花の方が綺麗だよ」

「そーやってすぐ言うー」



 本当のことだから仕方ないじゃないか。

 もはや言うのがお約束みたいに俺の中で放ってるんだけどね。



「来年も、いや、毎年こうして見れるといいね」

「うん。きっとね」



 俺と美花は目を合わせる。

 美花の頬を優しく撫でた。



「ん…どしたの?」

「いや、キスしたいなーって」

「いいよっ」



 ゆっくりと顔を近づけ、キスをする。

 ん、甘い。

 


「えへへ、なんだかすごーく幸せっ」

「俺もだよ。さ、帰ろうか」

「うんっ!」



 俺と美花は手を繋ぎ、一緒のマフラーを巻き、家へと仲良く帰った。

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