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第六百七十七話 クリスマスデート

「ところでどこ行くんだっけ?」

「去年みたいに大きな街中を歩こうよ。大きいツリーとかさ、何かイベントやってたりするかもよ」

「よし、じゃあ決まりね!」



 俺たちが住んでる地域で一番大きな街は、いつも乗ってる電車でだいたい30分ほど。

 ちなみにその街の駅の次が翔のおじさんが働いてる警察署が置いてあったりするよ。


 俺と美花は再び歩き出す。

 外はとても寒いけど、片手だけとても暖かい。



「そういえば今年はおじさん……サンタさんから何もらったの?」

「んー、欲しかったゲーム2本だよ。美花は?」

「私はね欲しかったスマホケースとストラップだよ」

「ああ、あの高いやつね」

「えへへ、早速つけてきちゃった」



 ストラップとスマホケースを見せてくれた。

 ちょっと俺じゃあ高すぎて手が出なかったやつだ。おじさん奮発したんだろうね。

 ストラップも……ちょっと勝手に鑑定して見たところ2000円近くもするものみたい。

 すごいね。



「有夢は? ゲームいつするの?」

「アナズムに持ち込んでマジックルームで時間をめちゃくちゃゆっくりにしてひたすらやり込もうと思うよ」

「いいかもね。でも私をおざなりにしたらダメだからね?」

「わかってるよ、大丈夫」



 美花の手を少し強くニギニギする。

 すると美花は嬉しそうにハニカミながら手を握り返してくる。

 去年のクリスマスにはこんなことやれなかった。

 今の距離は0。でも去年の距離はだいたい半メートル。

 

 しかも俺は男らしい格好なんかせず、女の子っぽい(言っちゃえばいつも通りの)格好をして一緒に歩いた。

 今考えてもあれはデートだったけれど、周囲からデートだとかって思われるのが恥ずかしかったからね。


 駅に着いた俺たちはさすがに一旦マフラーを脱ぐことにした。暑苦しいしここは公共施設、周りの人の邪魔になるからね。

 それにしても月曜日なのに駅の中…今乗った電車の中にもカップルは多い。大半はうちの学校系列の中高大生だろうけど。

 ……もしかしたらせっかく別で待ち合わせ場所を設けたのに、叶や翔達とばったり会うなんてこともあるかもしれない。



「カップル多いから私達今日はいつもより目立たないね」

「うーん…うん、そうだね」



 と言っても周りのカップルの男が美花を見ていたり、「あの子達チョー可愛いっ…。アイドルとか俳優とか?」なんて声も聞こえてる。「達」については今は気にしないことにしよう。

 男っぽい服なんだけどなぁ…ぐすん。


 しばらくして中心都市にたどり着いた。

 ここで降りて行く人は電車内の8割くらい。まあそのぶん乗る人も居るんだけど。


 俺と美花も人混みで迷子にならないようにしっかり手を握って電車を出る。

 大きい駅内では色々なものが売ってたりデパートに直結していたりするけどそれらは今は気にしないで、そのまま一番近くの改札を出て無事に外へ。



「マフラーしよっ!」

「しよしよっ!」



 外に出てから人の邪魔にならない場所で二人用のマフラーを巻く。そして手を握る。暖かい。

 準備が整っところで歩き出すの。



「今日はちょっと地面凍ってるから転ばないようにね」

「転びそうになったら有夢に寄りかかるから大丈夫よ」

「道連れにしようとしないの」



 駅の近くには大きな通りがある。

 広場のような公園があったりするんだ。そこでイベントが行われてることも多々ある。

 とりあえずそこに向かうことにした。


 駅から公園に行くまでの間の気のほとんどには装飾が施されており、綺麗だなーって思うと同時に設置も仕舞うのも大変そうだなーなんて考えたりする。


 もしアナズムでの16月、クリスマスのような日に国王様から街をデコレーションするように頼まれたら全く同じ感じにしてやろう。うんうん。

 俺はスキルで一瞬でできるからね。



「見て見て、雪像だよ!」

「大きいねえ…」



 公園についていたら最初に見えたのは、この市のゆるキャラの雪像。なんともとぼけた顔だ。俺がアナズムに来た始めに食料にしていたオドド鳥を思い出す間抜けづら。



「北海道の雪祭りっていうのも、こんな感じなのかな?」

「そうかも。大学生あたりに二人で行ってみようか」

「うんっ」



 しばらく歩いて行くと、スピーカーから女の人の声がし始める。やっぱりイベントやってたか。



「なんかやってるみたいだね、見に行く?」

「行こっ!」



 百人以上は集まってるだろう人だかりの中に俺たちは紛れ込んだ。巨大スクリーンも用意してあるから、こんな場所でもよく見える。



『はーい、では次のコーナーの、ラブラブダーツをやりたいと思いまーす! 今きてるカップルのみなさん、手を挙げてくださーい!』



 ラブラブダーツ…カップル…。

 もしこの場に寂しさを紛らわすために一人でここに居る人とか居たら追い討ちをかけてそうな企画だ。


 俺と美花ももちろんれっきとしたカップルなので、手を挙げさせていただいた。


 そういえば今司会をして居る人たち、ちょくちょくテレビで見るような人だ。アナウンサーもいるね。

 この市はお金持ちだから、よくイベントで有名人を呼ぶけれど今回もそうなんだね。



「えーっと、あっ……! じゃあそこの……女の子二人組? 女の子二人組…なのかな? でもマフラー一緒に巻いてるし…。あ、女の子同士でもオーケー? じゃあそこの女の子同士で赤いチェックのマフラーを巻いているカップルカモーン!」



 あ、これどう考えても俺と美花のことだ。そもそもちらりと見える目が合ったし。


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