第六百七十六話 地球ではクリスマス!
ショーの大会が終わってからのアナズムでの2週間は特に何もなかった。
ラーマ国王に呼ばれることはなかったし、いつも通りアイドルみたいなお仕事して、ちょくちょく来るローズにご飯を振舞ってあげて。
1日だけカルアちゃんとお泊りの遊びもしたっけ。
そういえばローズはまだ俺たち以外の屋敷の住人に触れていないんじゃなかったかな。
もうだいぶ時間が経つけど、そろそろ合わせて見ても面白いかもしれない。
ちなまにローズ、恋はまだ片思い中なのだそうだ。
うーん、相手も誰か知らないし。
あー、あとアナズムの女子会もやってないな。
カルアちゃん、リロさん、ミュリさん、ローズ、俺とミカの。これに今度は桜ちゃんとリルちゃんが加わる。
この世界の年末も近いわけだし、次の週あたりに色々一気にやってみようかしらん。
うん、お父さんとお母さん、そしてシヴァを連れて来るのも地球の年が明けてからの予定だったしちょうどいいね。
しかし、しかし、しかーし!
地球に戻ってきた今日は12月25日!
クリスマス!
い本当は24日の日曜日デートするつもりだったけどその日は翔の大会だったから仕方ないね。
俺はふと、ベットの枕元を見た。
包装紙に包まれたゲームカセットが2本。これは『スタートクエスト4』と『新約仮面転生2』だね。
お母さんとお父さんからのクリスマスプレゼントだよ。
もう17歳だけどクリスマスのプレゼントは両親が嬉々として配るから受け取ってる。あれも嬉しいし。
でもお父さんったらいちいちサンタのコスプレしてこれを置いて来るんだよねー。
今年はぐっすり寝たから見そびれちゃったけど。
アナズムじゃない方で行った誕生日も祝ってくれたしさ(プレゼントはドラグナーストーリーのモンスターを仲間として育てるスピンオフの新作)。
そういや叶は何もらったんだろ、後で聞いてみるか。
ちなみに隣県の曲木家もうちと同じようなことをしてるよ。おじさん……将来のお義父さんが娘二人を溺愛してるからね。
俺が死んじゃった場合での、美花の俺への愛情には思いっきり引いてたけど、それは変わらないんだ。
もらったゲームをさっそくやりたいところだけど、美花とのデートがあるので朝ごはんを食べるためにリビングに向かう。
そういえば今度から地球の物はアナザムに持っていけるし、その逆もできるんだから、ゲームを持ってって遊びまくれば良いんじゃない? ああ、我ながら今いいこと思いついたよっ。
「どうしたの、朝からニヤニヤしてー。美花ちゃんとのデート、そんなに楽しみなんだ」
「あ、おはよーお母さん。ま、そんなところかな。お父さんもおはよ。プレゼントありがとねっ!」
「んー? んん? なんのことだろう。クリスマスプレゼントはサンタさんが持って来るんだよ」
もうお父さんったら…。
朝ごはんを食べちゃいなさい、とお母さんに言われたので俺はテープルについてパンをかじる。
「今日は何時に帰って来るんだっけ?」
「俺も叶も午後7時には帰って来るよ。そのあとは毎年やってるように、チキンとケーキ食べようね」
「本当にいいの? 美花ちゃんと遅くまで一緒にいなくて」
「いーのいーの!」
本当だったらいつもは家族でどこか出かけてるんだもん。夕方までデートで兄弟合わせていなくなる以上、せめて夕飯は家族で食べないとね。
ちなみに美花と桜ちゃんもそうするってさ。
ついでに翔とリルちゃんも。
つまり6人してスケジュールが同じなんだよね…。
「おはよー、父さん、母さん、兄ちゃん」
「「「おはよー!」」」
「父さん、クリスマスプレゼントありがとね」
「なんのことかな? サンタさんがプレゼントをくれるんだよぉ?」
「………うん、そだね」
叶が降りてきて俺とほぼ同じような会話をし、テーブルについてトーストをかじる。
今日の髪の毛のハネ具合は、ちょうど叶を女の子に見せてるね。
「叶、ちゃんと髪の毛セットしていきなよー。今日の寝癖が偶然にも女の子みたいな髪型になってるよ。流石は俺の弟」
「まじ? そういう兄ちゃんだって」
「もちろん俺もセットするけどいつも女子みたいな髪型だから問題ないのっ」
「………うん、そうだね」
そのあとは朝食を食べ終わって、着替えて(今日はちゃんと男の子の服装)、その他諸々の準備ができた。
あとは待ち合わせ場所に行くだけ。
なんでわざわざ待ち合わせ場所を設けたかというと、まあ、雰囲気を楽しむためだね。
「じゃ、俺と叶はそろそろでるね! シヴァ、おとなしくてるんだよ?」
「わん!(私は傍観するだけだ)」
「はい、いってらっしゃーい」
「「いってきます!」」
俺と叶は反対方向に向かう。
待ち合わせ場所が違うからね。
そうして待ち合わせ場所に着いてから10分後、美花がやってきた。
「ごめん、待った?」
「ううん、今来たところだよ」
「うそつけー! ほんとは10分くらい前にいたんでしょー」
「……うん、まあね」
服装は実に冬らしい服装。
黒いストッキングで足の綺麗さも出てる。メイクは本来必要ないはずだけど、美花はナチュラルメイクをデートのたびにしてくる。まあ、違いは何もないけどね。
……でも、寒い中で頬を赤らめて俺を見つめている美花が、本当に
「可愛い」
「えっ、かわいい?」
「あ、声に出ちゃってた? うん、今日もすごく可愛いよ!」
「えへへー嬉しいなっ。そういう有夢こそ、今日は一段とかっこいいねぇ。まるで男の子みたい」
「ぷくー!」
「ふふふ、有夢は男だってわかってるから、ほっぺた膨らまさないの」
そう微笑みながら俺のほっぺを潰してきた。
そのあと、美花は俺の腕に自分の腕を絡ませてくる。
「ね、マフラーしよ」
「相合マフラーだね、いいよ」
長すぎるマフラーを俺と美花の首に巻く。
そして距離をあまり置けなくなった美花は、俺の手と恋人つなぎをするんだ。
「じゃ、いこっか」
「うん」




