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第六百六十五話 全国試合 1

 こちらの次鋒 対 敵の中堅。

 この戦いは、次鋒の二山君の敗北で終わってしまった。巻き戻せて安堵の表情をする相手校。

 しかし中堅同士の戦いで2連戦で持久戦をした敵は疲れてしまっていたのか、あっさりと中堅の中川君が一本で勝ったの。


 まあ、でも中堅 対 副将 で中川君も負けてしまったんだけど。結果的にはまあ、一進一退のいい勝負。

 リルちゃんも『今まで圧倒してたのにここまでとは、全国ってすごいよ!』なんて言ってたし。


 そして副将 対 副将戦。

 これは_____。



「一本!」

「っし!」



 副部長の剛田君の一本勝ち。

 いや、はっきり言って彼からいきなり次元が違うように見えたんだけど気のせいかな。



「リルちゃん、副部長ってどのくらい強いの?」

「わふ? 副部長より私のが強いけど、ゴリセン曰く全国出場校の得点王、あるいはエースを任せられるくらいには強いって言ってたよ」

「へぇ……って、リルちゃんのが強いの!?」

「よくわかんないけどね。あれはたまたまかもしれないし、副部長は手合わせした時より格段に強くなってるし」



 ってことは剛田君で全国レベルの強豪ってことか。それに華奢な女の子なのに勝てるリルちゃんって一体…。

 どう考えてもリルちゃんと剛田君が戦ったのはステータスの完全反映後だろうし。

 それ以前にもある程度はステータスが反映されるようになってるとは言っても、アナズムでの戦闘経験が生かされてる…だなんてレベルだし、超人になれるわけじゃないからなぁ。

 つまり、素で翔とリルちゃんはスポーツの天才ということだね! まあ、そんな感じしてるけど。



「あ、副将と大将の戦いだよ!」

「あっ…始まった!」



 剛田君が素早く敵の道着の襟を掴むと…技名は何かわかんないけど、とにかくなぜ飛ばした。

 これで技あり。


 態勢を立て直して試合再開。

 しかし剛田君がこれまた強引に一本背負い。これまた技ありに。……割とあっさり勝ってしまった。



「つよー」

「わふ、これにさらにショーまで控えてるんだ! 私は優勝を確信してるよ」

「そりゃ確信したくもなるわよね」



 対戦相手は呆然とした顔をしてる。

 一方、こちらは実力通りといった感じなのか、「まずは1勝だな」と言い合ってる雰囲気だ。


 しばらくして両校向き合い、挨拶してから退出するの。

 次の順では試合はしないからね。2試合目は1試合ぶんの時間置いてからだよ。



_____

___

_



「お疲れ様!」

「あー、また俺出れなかったぜ…」



 翔が少ししょんぼりしたような、でもとてつもなく嬉しそうなそんな微妙な表情を浮かべてそう言った。

 


「団体戦じゃほとんど試合すら出てないもんね」

「ああ、大将だなんてお飾りだ」

「ふ、最後までお前に出番はない」 

「そうだと良いんだがなぁ!」



 でも…俺はいつかの大会でショーが一人で団体戦の対戦相手を全滅させたって話を聞いたことあるからね。

 出たらどうなるんだか。それともそれは出ざるを得ないピンチというべきなのかな。



「わりぃ、俺なんもできなかった」

「気にする必要ねーよ! 次がんばろーぜ!」

「あ、ああ! 緊張も抜けるはずだし、本領発揮できると思う」


 

 唯一何もできなかったと悔やんでる二山君には是非とも次の試合で頑張ってほしいね!

 そんなこんなでやっぱり翔もなるべくリルちゃんとこんな状況でも多めに一緒に居たいのか、すぐさま隣に座った。



「わるいな、団体戦で出番なくて。せっかく…その、人前でキスまで…」

「わふ、その方がいいでしょ? もしショーがお猿を得ない状況なら…全力でがんばってよ!」

「お猿を得ない、じゃなくて出ざるを得ない、な」

「わふぅ…」



 ショーが軽く笑いながらリルちゃんの肩を軽く抱く。

 おうおう、周りが羨ましがって凝視してるのに気がつけよオイ。



「翔は羨ましいな…」

「え?」

「え、あ、声に出てたか…」



 剛田君がそう呟いた。

 聞かれたのが嫌だったのかちょっと顔をしかめてる。



「もしかしてリルちゃんのこと…?」



 なんて、嫌がってるかもだけど気になったから聞いちゃうよ。ごめんね。



「いや、それは違う。女性として相当魅力的であるとは思うが…フエンさんはあいつだから釣り合ってるようなものだろう」

「まあ確かに」



 あんな美男美女カップルもそうそう居ないって! 

 うちの弟妹カップルもそうだし、俺と美花も側から見たらそうだけど。…あれ? 案外いるな。



「俺もフエンさんみたいな彼女と、可愛い幼馴染がいたらあんなに強くなれるのかな」

「いや、関係ないと思うよ」

「だよな」



 なんだこの切実な悩みは。

 まあ、その…とにかくなんだろう。同性の俺としてかけてあげられる言葉はさ。



「ま、まあ頑張ってよ! 今のままでも強いし!」

「……ありがとう。だがやっぱり部長には敵わねえんだよ。もっと…強くなりたいぜ」



 だから翔みたいな化け物と比べたらダメだって!

 俺と美花のために単身で刃物持ってる相手を倒せるとか、集団での犯罪者達を壊滅させるとかそんなことできるような人なんだからさ。


 とまあ、こんな愚痴を聞いてる間に2巡目は終わったわけで。これからまた翔たちの2戦目が始まるんだ。


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