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第六百六十一話 応援!チアガール(ボーイ)

「さて、準備はできた?」



 土曜日の朝。

 俺たち4人は俺の部屋に集まっていた。なんか最近集まる時はここな気がする。



「うん、できてる!」



 今回はあくまで翔が主役。

 俺たちは目立ってはいけないの。ただでさえそんなオシャレしなくても目立つから綺麗な格好はできない。

 故に制服。うちの学校の制服!

 でもうちの学校の制服もものすごく可愛いって有名なんだよね…まあ、俺は男だから関係ないけど。



「うーん、あまり目立たないようにはしてるけど、難しそうだね」

「仕方ないよにいちゃん。存在感というのはなかなか隠せないものだからね」



 そう、俺たちが存在感を隠したい理由はもう一つ。

 全国大会…つまりテレビが間違いなくくる。そして翔が優勝したらあいつばかりを取材するでしょう。


 となればリルちゃん含め、応援に来て居る俺たちも間違いなくテレビに映る…というか映されてしまう。


 そしたらまた付け狙う変態とか増えるんだよね……もう何回も全国で俺や美花の姿は捉えられてるけど、その都度、全国から何人か変態が集まってくるから…。



「翔はリルちゃんがドロドロになるくらい頑張って戦うはずだ。俺たちも頑張ろう!」

「うん!」


 

 何を頑張るかと言われれば、気配を消すことなんだけど。それはともかく。



「何時から始まるんだっけ?」

「10時半からだよ」

「あと2時間もあるじゃん!」

「そのぶん早くいけばいいでしょ。早く入るんだから…にいちゃんたちが応援しに行ったらそれだけで翔さん以外の部員が半端じゃなく喜ぶんだから」



 まあ、そりゃそうだけど….。

 …ん、あ、翔から連絡が来たようだね。



「叶、いま翔から連絡きたんだけど、会場入りは9時50分ごろになりそうだって」

「じゃあそこに合わせていけばいい」

「…でもやっぱり1時間半は暇だよ…」

「それなら、柔道部員たちが会場入りしてから本番が始まるまでの間にどんな応援をしたらいいか考えない?」



 え、なんかやるの?



_____

___

_



「っと…。ここでいいはずだ」

「叶の瞬間移動はやっぱり便利ね…」

【やはり私は喧嘩を売らないで正解だったようだな】

「それにしてもお姉ちゃん、本当に私はやらなくていいの?」

「桜、どうしてもやりたいなら叶君だけに見せてあげなさい」



 美花め、とんでもない提案しちゃって!

 その案を飲んだ俺も俺だけどさぁ….本当にこれで頑張ってもらえるのかしらん。

 てか俺の場合、これは女装になるんだよね…恥ずかしい。いや、それ以前に。



「美花はその、少人数とはいえちょっとセクシーな格好をするわけだけど、大丈夫なの?」

「うちの学校のその部活の衣装と全く同じだよ? 問題なんてないわ。それに露出に対する度胸なら……」



 トコトコと俺の元に近づいてきて囁いてきた。



「(大好きな幼馴染に裸を何回もさらしてるうちに、勝手についちゃったみたいなのっ)」

「あ、お、おう…うん」



 そう言われると何も言い返すことができない。確かにお互いな裸なんてすでに何回も見せ合ってるわけだし……今回計画したあの格好くらいなら余裕でできるのかもしれないけど。



「で、でも動作次第でパンツが丸見えになるかもしらない服装なんだよ!?」

「いや、さすがにスパッツはあるから。有夢だっていままで何回も履いたでしょ?」

「あ、はい」



 やはり、やるしかないのか…!

 男である俺で喜んでくれるのかなー、怪しいなー。

 俺たちはそのままうまいこと会場に入り、そのまま翔に教えてもらった待機場所まで向かう。

 

 すでに柔道部員たちが真剣な面持ちでゴリセンとミーティングをしているところだった。

 とてもじゃないけど割り込めそうにない。



「ね、ね、どうしようか」

「うーん、ミーティングが終わってから話しかけるしかないわよね……」

「だからお前ら! 全力で頑張れっ…! _____ん、およ? 星野、余所見なんてしてどうした? 何かあるのか?」

「いや、あそこに…成上先輩方一行が居て…」

「なに!?」



 全員がこちらを振り向いた。

 あ、なんとか自然に会話に入り込めそうだ。



「お、お前らどうやって来た!? 深夜バスか?」

「いや、ちょっと秘密です! でも応援来ちゃいました」



 明らかに嬉しがっている男が多数。てか全員。

 さて…本番か。彼らが頑張るからと言って変な方向でも頑張らなきゃいけないんだもんね。でも、もう覚悟は決めた。



「そうか…ありがとう。とても心強い。ではなにか応援の言葉か何かをかけてくれないか?」

「はい! じゃあちょっと準備して来ますので、しばしお待ちを…」

「じ、準備?」



 俺と美花らそれぞれトイレへと入って着替える。

 おヘソが少し見える薄い服をきて、きわめつけはこのミニスカート…。うちの学校のチアガール部のコスチュームだからといって、ヘソ出しミニスカートを選ぶ必要はなかったと思うの。うん。

 お腹を出す間は実に数センチ。だけどおヘソがチラ見できるのがセクシーポイント。

 

 それに美花は、周りはあまり知らないけど胸が大きいからこのピチピチの服が密着して……。

 ああ、なんか他の人に美花のチアリーダーの格好をみせるのが嫌になってきたよ! いや、これしか思い浮かばなかったから仕方ないんだけどさ!


 俺は着替え終わり、トイレから出た。

 と、同時に美花も。うう…天使のように可愛らしい。



「すごい似合ってるじゃん!」

「ま、まあね…」


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