第六百五十話 テスト週間
昨日は投稿を忘れてしまい申し訳ございませんでした! すっかり忘れてました。
「テスト……だね」
「うん、テストだね」
今日は火曜日。4日間テスト週間なの。
国王様に報告してからアナズムでの二週間があっという間におわった。テスト範囲をこれでもかと勉強したし、これでもし満点取れなかったら泣きそう。
……いや、じつは今回アナズム行った際の残り2日間の間だけしかじつは勉強してないんだけどね。でもそれでも地球ではそれでたっぷり勉強したことにはなるから。
「翔とリルちゃんも二人でみっちり勉強したんだっけ」
「確かいつも通り運動してから暇な時間を勉強したとかリルちゃんが言ってたわ」
「そーなんだ」
あの二人にはそれが一番いいんだろう。
ぶっちゃけ、100点とかとってくるだろうね。
「……覚えてるわね、有夢。テストで負けた方が言うこと聞くんだよ?」
「もし同点だったら相互でね」
「そ、そ」
いつも通り……いや、アナズムに行く前だったらまず俺が勝つなんてことはありあない。
こんな賭けをした時は俺が点数差という暴力でボッコボコにされて、デパートにわざわざついて行かされた上で俺が着る女の子用の服を買わされるという事案が何件も……。
「うう…」
「ん? どうかしたの?」
「いや、昔同じような賭けをしてどんな目にあったかを思い出しただけだよ」
「今は自分からやってるもんね!」
「ま、まあね」
そう言われるとそうなんだけど。
女装を無理やりやらされるのは大体テストのせいである割合が高い。もう気にしないけどね。
「そういえば有夢、一度も勝ったことないけど、私に勝ったらどんなお願いするつもりだったの?」
「んえ?」
そういえば決めたことない。
女子に男装させても面白くないしさ、美花はそもそもなに着ても基本的に似合うし。
……見た目以外は健全な男子高校生である俺は、もしかしたら『胸を触らせろ』とか頼んでいた可能性…は、ないね。うん、ないない。それはないね。……ないはず。
よく考えたら本当になにも思いつかないや。ロマンチックに『付き合ってください』とかかな?
「あ、もしかしてなにも考えてなかったとか?」
「まあね。考えてなかったかなー」
「そっかぁ…こう、ここを触りたいとかのお願いされること覚悟してたんだけど」
自分の胸をムニムニと持ち上げながら美花は語る。
確かに大きいし柔らかそう…じゃなくて柔らかいけどさ、そりゃ付き合う前の俺だって分別くらいはついてるよ。
「そ、そんなことお願いするわけないよ。親しき仲にも礼義ありだからね」
「そっか、じゃあ今は付き合ってるからあんなに…」
「わーわー! 外でその話はやめようね!」
「ふふふ、意地悪しちゃった」
「ぷくー!」
と、こんな会話をしているうちに学校へとついてしまう。はぁ…テストかぁ。楽勝だとわかっていても気が重いなぁ。
「テストでも相変わらず仲良く登校してくるのは付き合う前から変わらないね、お二人さん」
「あ、さなちゃんおはよ」
「佐奈田、おはよ」
「二人ともおはよう。ふふふ、面白い話があるよ」
「なーに?」
面白い話ってなんだろ。……気になる。
「どっちが勝つか予想した人が1000人超えたの」
「マジかよ」
「マジよ」
いつの間にそんな大規模な話になってたんだ。高等部全校生徒より多いんじゃないだろうか。
「じつは毎回500人程度なんだけどね、二人が公式に付き合い始めたし、成上君がやけに自信満々だから盛り上がっちゃって」
「へえ、そうなんだ」
「うん、ちなみにオッズは成上君が3倍ね」
「オッズ!? 賭けてるの!?」
「うん。…あ、ちなみに同点だったら手数料分抜いて全部返金されることになってるから」
「ぇぇ……」
まさか賭けてるとは。先生方にバレたらやばいぞこれ。
「ちなみに美術の先生が3万円と、一番賭けておられます」
「せ、せんせー!?」
なにやってんだうちの講師は。
……優秀な人を各地から引き抜いてきたって、この学園に登録した時点での理事長の話だったんだけど……。
賭け事はダメでしょ、警察来ちゃうよ、うまくやらないと。
「まあまあ、公にならないようになんとかしてるからそんな焦った顔しなくても大丈夫よ」
「大丈夫……ほんと?」
「さなちゃんが運営に携わってるのなら大丈夫だと私は思う」
「美花がそういうなら……」
信用してみようかな、勝手に賭け事の対象にされるのは嫌だけどね。もう始まっちゃってるし仕方ないね。
「ところで二人はどのように勉強を?」
「美花と俺の二人で自室にこもってやったよ」
「ほうほう。……その間に何かあったなんてことは……」
「あ、あっても言わないよぉ」
「まあ、そうだよね。私ももし彼氏ができて……他人に部屋で二人でなにしてたとか聞かれても答える気は無いもん。情報屋もプライバシーを守らなきゃいけないの! というわけでチャオ!」
この学園1の情報通である佐奈田はかなりの素早さで教室へと先に行ってしまった。
……はぁ、やれやれ、どうなることやら。