第六百四十六話 とんでも機能
ミカの予言通りとんでもないものが引けたらいいんだけどね。一体何を出してくれるのかしらん。
「じゃ、引くね」
「うん」
ミカのトズマホから、ミカが脳内でどういう選択をしているかがわかる。お地蔵様のホーム画面を開いて、機能を増やすの項目の『使用する』を選択。
10MTPが消費されて新機能が追加された。
【追加機能【異世界への連れ込み『ユートピア』】を追加しました】
「なにこれ?」
「さあ…わからないや。説明見てみてよ」
「ん」
ミカはその追加機能の説明を見た。
トズマホ越しに俺もみる。
【異世界への連れ込み『ユートピア』 (追加機能)
この追加機能は使用者が世界移動の権利を所持し、なおかつその増加機能を購入している場合に効果を発揮する。
ミカ・マガリギは世界移動をする際、右手で触れている生物を別世界に連れて行くかどうかを自由に選択できる。また、アナズムへ戻ってくる際にも、右手で触れていた生物を持ち帰ることができる。
しかし、1人の生き物を連れて行くにはこの機能の使用者が50MTP支払わなければならない(初回の生き物のみ、同一個体の2回目からは20MTP)。
別世界からアナズムへ生物を連れてきた場合、アナズムの(同種族の)言語理解とステータスを授ける。アナズムから別世界へ連れて言った場合、一定数の必要な言語理解とその世界での『辻褄合わせの記憶』を追加される。
辻褄合わせの記憶は新規移動の生物だけでなく、その移動に関わった者以外全てに不自然のないように自然と上書きされる。
全体化をした場合、上記の効果がこの装置使用者全員に現れる。】
どうやらミカさんはとんでもないものを引き出してしまったようです。これはすごい、いや、冗談抜きでやばいんじゃないだろうか。
「ミカぁ…これって…」
「う、うん。本当にすごいの当たっちゃった、どうしよう」
つまりは地球人をアナズムに連れてくることができるってことだもんね、50MTPで。
たったガチャ5回分で……お母さんやお父さんを連れてくることができる。
これをすごいと言わずになんと言えばいいんだろう。
「とりあえず全体化するね」
ミカはちょっと慌てるようにこの機能を全体化してくれた。さて、少し話し合わなければならないだろう。
「どう、使うこれ?」
「決まってるじゃない、お母さん、お父さん……ともかく私達全員の両親を連れてこればいいのよ」
「そだね、やっぱりそれが一番だよ」
アナズムに親達を連れて行くメリットとしては、移動してる間は一方の時間が止まる(と言っても過言ではない)から、仕事とか気にせずゆっくり休んでもらったり、この世界の美味しいものを食べてもらったり……アナズムならではの親孝行ができる。
あるいは、もし本当に世界滅亡だなんてことになったら転生回数をめいいっぱい貯めて、近親者や友達くらいなら助けられる。
デメリット? 多分ないと思う。連れて行くか行かないかは俺たち次第だし。
「お母さんにもお父さんにも、ドラゴン肉のステーキとか食べさせてあげたり、本物の神話上の生物を見せてあげたりできるのね、時間を気にせずゆっくり」
「そうそう。いやぁ…これから楽しみだな。このことを相談するのは今日のお夕飯でみんな集まる時にして、実行するのはテストの後とか暇な時がいいね」
「ね!」
となるとやはり俺がこの世界では女の子になってるということを両親に話さなくてはいけなくなる。
いくらお母さんもお父さんも面白がって俺に女の子ものの服をたくさん着せてきたからと言って、やっぱりそのカミングアウトはきつい……なんてことはないか、すんなり受け入れられるね、男に自由自在にもどれるって言ったら。
「夢が広がるね! アイテムと連れて来れるこの機能のおかげで」
「ねー! 一気に色々できるようになったね」
あとはステータスを反映させる機能だけか。
この機能が本当にあるかどうかすら怪しいんだけど、こんなトンデモ機能がわんさか出てきてるんだから、きっとあるでしょう。
「もっかいミカ引く?」
「うん、またいいのが出てくる気がするの! 引く!」
ミカがニコニコしながらお地蔵様に手をかざし、そのホーム画面を開いた。
さて、今度はどんなものが出てきてくれるんだろう。
外れ機能とかそろそろ出てもいいような気がするけど、ミカがいいのでそうって言ったんだから良いのがでそう。
「あっ……」
「ん? どうしたのミカ」
ちょっとミカの表情を見ていた間に、引いちゃったみたいだ。しかし、まあ、ぽかんとした顔をしてる。
「いや、あのね、出ちゃった」
「……出ちゃった?」
「ん…。目当てのやつ出ちゃった」
慌てて俺はトズマホを確認する。
そこには、新機能の表示がされていた。
ははは、やっぱりミカの予感はよく当たる。当たりすぎちゃって怖いくらいだね。
【追加機能【アナズムステータスの完全反映『ステイタス』】を追加しました】




