第六十六話 武闘大会-2
12番ブロック。
今、俺の目の前には対戦相手の、チェケイって人が居る。
持っている武器は、槍だ。 彼が俺に向かって話しかけてくる。
「よぉ、君が最速最年少の美少女Aランカー。アリムだろ? 俺はチェケイって言うんだ。怪我したくなかったら、早めに降参しなよ? 俺はその綺麗な顔に傷をつける趣味はないからね」
「よろしくお願いします! ですが、その心配はいりませよ! …………一瞬で終わります」
「はっ! 可愛い顔して、言うこと言うね~。そういうの悪くないなぁ。ま、お互い頑張ろうぜ」
……と、11時19分。12番ブロックの審判に促され、互いにステージ上に上がる。
礼。そして武器を構える。
11時20分。ギルマーズさんの合図とともに試合が開始された。
「そんじゃあ…一回戦、勝負……始めっ!」
はじまってすぐに、チェケイは魔法を唱えようとする。
「サンドキャ…………」
そこまで言うと、彼はパタッと倒れた。
無論、俺の気痛の魔剣による攻撃である。
『剣極奥義・一の断』って技を使って攻撃したんだけどね。これさ、普通の剣だったらチェケイって人の首、吹っ飛んでたんだよ? 流石は俺の剣だよね。
俺は、勝負が終わったので、呆然としている審判を務めている人に判定するように促す。
「審判さん、判定、お願いします」
すると、審判の人は慌てたようにステージに入り、チェケイって人の様子を確認し、こう宣言した。
「チ……チェケイ・アルマジー選手、気絶! よって12番ブロック勝者、アリム・ナリウェイ選手!」
まずは一回戦突破だね。かなり呆気なかったけども。
どうやら俺が、一番最初に終わったようだ。
うーむ、この様子だと30分は待たなきゃいけないかな?
24分後、全試合が終わった。15分休憩の後、第二回戦を始めるそうな。
俺は次、6番ブロックでドミューラという人と試合をする。
10分の間に用意しておいたサンドイッチをひと気のないところで食べて試合に臨む。
2回戦開始5分前、俺はステージ前に控える。しばらくして、ドミューラと思わしき人物が来た。
厚化粧の小太りなおばさんで、#鎖帷子__くさりかたびら__#を装着し、左手には小型の斧…トマホークが握られ、右手には鉄の盾。かなりの重装備だ。
これだけで強そうに見える。女性がこれだけの装備をするのはさぞ、大変だろう。
彼女は話しかけてくる。
「あら、可愛い。君があの、アリムちゃんね? 色んな噂は聞いてるわ。第一回戦を突破したということは、実力があるということ。だから、下手に手加減はできないけれど、いいかしら?」
「ボクも、手加減はしませんよ! 対戦、よろしくお願いします」
「あら、お行儀のいい娘ね、アリムちゃん。12歳よね? おばさんにもね、同い年の息子が居るんだけど、それがまぁ、ヤンチャなのよ…アリムちゃんを見習って、もう少しお行儀よくして欲しいわ」
そんな家庭的な会話をしていたら時間となった。
12時ちょうど、6番ブロックの審判に促され、互いにステージ上に上がり、礼。そして武器を構える。
ギルマーズさんの開戦の合図。
「じゃ、始めるぜぇ…第2回戦…勝負っ…開始!」
ドミューラさんは力強く構え…………
「さっそく飛ばすわよぉ……『土の豪気』……!」
彼女はオレンジ色の強い気に包まれている…。あれは、おそらく「気」の強化版だろう。
直接、この剣を触れられる場所は顔しかなね。
しょうがないか。傷つかないし、いいよね。
『剣極奥義・一の断』を使い、攻撃。ドミューラさんは気絶した。
「審判さん…終わりました」
その言葉を聞き、審判はドミューラさんの様子を見る。そして宣言した。
「ドミューラ・ピピー選手…気絶。第2回戦6番ブロック…勝者、アリム・ナリウェイっ…!」
2回戦も突破。
ピピーって、まさかこの人、ジーゼフさんとガーベラさんの娘……!?あの二人の歳的にそうかも。
また、俺が一番早かったみたい。
あと30分待たないと。
全試合が終了した。
ギルマーズさんが司会を再開する。
「今日の全試合が終了したぜ! 第三回戦、準決勝は明日、この上のコロシアムで行ってもらう。明日は朝9時集合だ! 忘れるなよな。負けた選手も勝った選手も、残り今日一日はゆっくり休めよ! お疲れ様」
さてと、もう帰っても良いようだ。この場に居た冒険者が段々と帰っていく。俺も帰ろう。
すると、ギルマーズさんに呼びとめられた。
「おぅい、アリムちゃん。めっちゃ強えじゃねえか。特に二回戦のドミューラっつー選手は≪戦うオカン≫という2つ名があるし、去年のAランク大会第449回を優勝したりした実力者なんだがな…。それを瞬殺とはな。やっぱ、SSSランクの素質あるぜ」
「ありがとうございます!」
「おうよ、今日はもう帰ってゆっくり休みな。明日は9時だぜ? 少し早いかもしれねぇが、頑張って来いよ」
「わかりました」
俺はギルマーズさんに別れを告げ、帰った。
今日はもうすることがない。いや、いつもか。
まだ昼の1時だが、俺は部屋に籠もり、過ごした。
夜。もう寝よう。おやすみ。