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第六百二十二話 新情報

「また来てもらって悪いな……。なんか会うたびに不機嫌になってないか?」


 

 俺とミカは呼びだされたから、高校生の姿を解除して、しぶしぶラーマ国王の元へ来た。

 とは言っても話を聞いてあげるのは外交として必要だし、この人ファンだし。だから蔑ろにはできないんだよねー。

 それでも貴重(でもないか)なイチャイチャタイムをことごとく邪魔されてることは否めない。



「いえ……いつもタイミングがあまり良くないので…」

「そ、そうだったのか!? それはすまない」



 しかも、なんで俺たちを自分の国の歴史を語るのに呼び出すのか。



「……そもそも……」


 

 いや、まてよ。

 ここでもう呼び出すのを控えるように言うのは簡単だけれど、しかし、今この現状ではこの情報は本当に必要だったりする。地球に金剛杵があることを知れたのもラーマ国王からの情報のおかげだし。



「いえ、なんでもないです」

「ん?」



 でもラーマ国王がこうして俺たちに自分の国の歴史を伝え続けるのはなんでだろーなー。今までも魔神を倒してきたし、金剛杵も作ってあげたから……? なんか、それだけじゃないような気がするんだよね。

 もしかしたら、俗に言う男の人の、『かっこつけるために知識を振るう』あれかも知れない。

 うん、きっとそうだ。気を引こうとして知ったかぶるやつ。この人の場合、調べたことを伝えてきているから知ったかぶりではないけれど。



「それで、今日はなにがわかったんですか?」

「ああ、前に金剛杵は別世界にあり、魔神は滅せられたという話をしただろう?」

「はい」

「曾祖父の文献と他の文献を照らし合わせていたらだな、新たな発見をしたのだ」



 金剛杵についての新たな発見?

 おお、これで場所とかの検討がつくといいな。



「……なんと、金剛杵は入れ物に入れられて持っていかれたのだ!」

「へ?」

「ん? どうした?」



 金剛杵は入れ物に入れられてもっていかれたって……そんな、なにか布に包んだりしてただろうに。それを発見と言われてもね。



「いや……入れ物に入れるって、勇者の剣とかも鞘に収納してましたし、普通じゃないかなーって」

「それがな、その入れ物が普通じゃないのだ。……それについて詳細に書かれていたから教えようかとおもってな」



 なんだ、ちゃんとわかってたのか。

 そのうえで普通じゃないだなんて言うんだから、かなり変わったものなんでしょう。しっかり聞こうね。



「それで、どんなのなんです?」

「それはどうやらな、その前導者が自ら作成したらしい、石の像なのだ」

「石の像…ですか」


 

 てことは世界中にある石像の中身を探せばいつか見つかるかも知れないということか。めちゃくちゃ大変だけど、手がかりがなにもないよりはマシになったね。

 ああ、でも特徴とかも聞いておこうね。



「それで、どんな像なんです?」

「我々が神に祈るときのポーズがあるだろ?」

「ありますね」


 

 それは外国の方の…キリスト教かな? それに近い、手を組む祈り方。でもちょっとおかしなところがあるとわかるくらいには違いがある。でもぱっと見わからないし、俺も今は区別がついていない。

 


「あれのポージングをしたものらしいのだ」

「へぇ…」

「しかし変わったことに、石像なのにとても低いらしい。4、5歳の子供程度なのだとか」

「ふむふむ」



 おお、だいぶ絞れてきたんじゃないか?

 指を組んだお祈りのポーズをしている、小さめの石像。



「ほかにも特徴はありますか?」

「ああ、なんでも仕上げに赤いエプロンをつけさせ、そのくせ頭には髪の毛一本掘らなかったらしい」

「えっと、髪の毛がない上に赤いエプロンをしてるんですか」

「だそうだ。図もなにもないから想像ができん」



 石像で……子供サイズで……髪の毛がなくて……赤いエプロンをしてて……。ん? これってもしかして。

 ミカに聞いてみるか。



「ね、ミカ。もしかしてお地蔵さまかな?」

「その線は濃いわね」

「だよね……でも」



 疑問に思うことが一つ。

 それはお地蔵って、普通は日本式の合掌をしているとか、仏様のポーズしてるとか、錫杖を持っていたりだとかだと思う。西洋っぽい指組みをしたお地蔵さんなんて居ただろうか。



「指組みしてるお地蔵さんなんているのかな?」

「さ……どうだろ…? ん?」



 ミカは唐突に頭を抱える。



「どしたの?」

「……うちの近く、幻転地蔵様って、他のお地蔵様と違うから若干有名だったわよね?」

「ああ、そうだね」

「……その違いって、確か……指を組んでるから……」



 あれ、もしかして俺たち今、とんでもないことに気がついたんじゃないだろうか?

 


「二人ともどうしたのだ? ああ、そういえばその導者はなんでも、その石像を作った後に、なにやらその石像にエンチャントした何かの力で帰ったらしい」



 これってもしかして俺の幻転地蔵のワープ機能だろうか。まてよ、まてよまてよ…なんだか話がとても怪しくなってきたぞ!?


 

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