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第六百九話 導者達

「おお! 来たかアリムちゃん、ミカちゃん!」



 はいはい、呼ばれたから来ましたけどね。

 またミカとイチャイチャするのを止められちゃいましたよ。ええ。

 もう4回目ぐらいだから流石に慣れたけどもね。



「それで、新しくわかったこととは?」

「ふむ、連絡では導者の名前が分かったと言ったがな。その前に魔神を葬った導者の話をしておこう」

「ふむふむ」



 その話をする前提が必要なのか、それとも教えてくれるという情報を先延ばしにすることによって知りたい気持ちを高ぶらせる作戦なのかは知らないけれど、とりあえず乗っておかないと話は進まなそうだから乗ってあげよう。



「……魔神を葬ったという導者は、少年期、森の中で記憶喪失の状態で見つかったらしい。それにアナズムのものとは思えぬ柄の召し物を着ていたそうだ」

「そっ……そうなんですか」

「ああ。そして子供のくせに妙に剣術がうまくてな。保護されてから短期間のうちにとんでもない速さで強くなっていったらしい」



 ほえーっ。てことはもしかしたらそのブフーラ王国の魔神を倒したのは、この話を聞いてる限り俺たちと同じ地球なのかもしれない。

 森の中で見つかったのは俺が当てはまるし、剣術…は翔みたいにもともと強かったとかあるかもだし。仮に記憶を無くしてても剣術だけが残ったってのもあり得る。短期間のうちに素早く強くなれるのは俺が提示した方法を知っている者のみだもの。

 仮にダンジョンにはいってなくてもこの世界の人たち以上のペースで野良の魔物を狩っていればそのうち強くなるしね。



「それで当時の王はその者に目をつけ導者にしたわけだ。その頃にはすでにSSランカー…いや、SSSランカーの一歩手前程度の実力はあったようだぞ」

「へぇ…」

「なんて言っても未成年でSSSランカーの最高峰まで上り詰めたアリムちゃんの比ではないがな」



 一瞬すごいなーなんて思ってたけどよく考えたら俺の方がすごかったか。でも当時から見てみればやっぱり…。



「それでその導者はダンジョンで見つけた剣を相棒にし、剣術を主にしてあの金剛杵を使用した魔法と繰りあわせて魔神に勝った。金剛杵に封印出来たわけだ」



 まあそこまでなら別に普通か。ステータスが99万まで行ってなかった時の俺でもサマイエイルに勝てたわけだし。ラーマ国王は話しを続ける。



「しかし封印しただけならば滅したことにならぬだろう? その前にまず聞け、なんとその導者はこの世界の人間ではなくてだな、また別の世界の者だったのだ!」



 あー、やっぱりね。まあ、もう予想通りだよね。

 案外地球からアナズムにたくさんの人が来てるね…そういうばそもそも賢者なんかは呼び出したりしてるんだっけ。



「賢者が居るだろ? あれは別世界から人を呼んでいるのだが、なんと賢者でもないのにこの世界に迷い込んで来てしまっていたらしい。それでその世界は魔法なんてない世界らしくてな。ならば魔神を持ち込んでも大丈夫だろうと、その導者は金剛杵を持ったまま、元の世界に変える方法を探し出し帰ってしまったのだ」

「ま、まさかだから滅したと?」

「ああ、魔法の概念がない世界で魔力の塊ののうな魔神は存在できるはずがなかろう? だから滅したのだ」



 ……つまりなにか。

 あれか、魔神は今、地球にいるのか。地球に持って帰っられたから『アナズムからは』滅した…と。

 ええ…えええ…ちょっとそれって。

 やめてほしいなぁ、なんか他人に自分の家の中に障害物を放り込まれた気分だよぉ…。



「む、アリムちゃんもミカちゃんもどうした? そんな可愛らしいムッとした顔をして」

「いえ…」

「その、本当にそっちの世界とやらは大丈夫なんですかね?」

「魔法が無いんだろ? 大丈夫なんじゃないか?」



 ああ、この世界はたまーになにか欠如してるよなぁ…。考え方の違いというべきか。

 しかしこの世界のちゃんとした歴史を聞けば驚くことばかりだな……。



「それで本題だな。前もって魔神を滅した導者の話をしておかなければならなかったのだ。……なぜなら曽祖父が導者に指名した者もまた……別世界から来た人間だったからだ」



 はっきり言って…どれだけの人がアナズムに送られてるんだ…。いや、俺とミカの場合は死にそうになったから魂を助けてもらったって事があるし、利点しかないよ?

 でもねぇ、そのほかの人はどうなのかな。

 光夫さんみたいにただのイタズラで…なんてことだったらシャレにならないよね。



「その者は面白かったらしい。魔法も使わずに様々な芸を披露し楽しませたのだと。そうやって金を稼いでいたんだろうな、曽祖父の目にとまり……曽祖父はその者と話してるうちに別世界の人間だからということで導者にした」

「じゃあラーマ国王の曽祖父が本当に導者を指名した理由は、その人に歴史的なにか大事をしてくれると信じて…みたいな感じですか?」

「おお、わかるか。そうだ、日記に期待しているという旨が書いてあった」



 それが最後の導者のタネか。

 まさか2回連続で別世界の人間だなんてだれも思わなかっただろうね。



「それで、そのあとその人はどうしたんですか?」


 

 ミカが訊いた。俺も気になる。



「なんでもな、どうしても故郷に帰りたかったが故に、帰る方法を探し始めたそうだ。せっかく導者に指名したが可哀想だと思った曽祖父は『エグドラシル神樹国の国王に頼るか、メフィラド王国にその方法があるらしいが、エグドラシル神樹国とは仲が悪いからメフィラド王国に頼れ』とアドバイスをしたらしい」

「それで……?」

「それからその者は本当にメフィラド王国に行ったらしいぞ。その後の行方は知らない」



 メフィラド王国に変える方法を求めて他の世界の人が……ん? あれ、なんかとてつもなく嫌な…いや、嫌というかすごい違和感がするぞ。

 そう、エンターテイナーという点でも、どこかの誰かさんと当てはまるみたい…。



「あ、あの、念のためにその導者の名前を聞いてもいいですか?」

「ああ、ラブロング・ミツーオ…らしいぞ。変な名前だよな」



 俺とミカは顔を見合わせた。

 なんというか…ね。予測はあってたよ、うん。

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