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第五百五十三話 ラーマ国王の帰還

「おお、来てくれたか。アリムちゃん、ミカちゃん、悪いな呼び出して」



 ラーマ国王とその御付きの人達が、指定の場所に居た。指定の場所といってもメフィラド城内なんだけど。



「いえ、いいんですよ」

「ええ、暇でしたから…」



 嘘です。

 これから二人でいいことするはずだったんです。内心、不満しかありません。でも相手は他国の国王なので怒りません。どうやらミカも同感みたい。



「そうかそうか。まあ簡単に言えば余達は今日、帰国するから、最後に二人に一目会いたいと思ったのだ」

「そうなんですか」

「ああ。ついでに昼飯も作ってくれるとありがたい」



 2回も俺の料理を食べて味を占めたのか。

 確かに今はお昼時、お昼ご飯くらいだったら作ってあげるよ。しょーがないなー。

 ……昼間から行為に及ぼうとしていたのか、というツッコミは受け付けないよ!



「いいですよ! では皆さん先に食堂に行っててください」

「了解した!」



 23歳の男性が13歳の女の子のご飯を嬉々としてねだる…側から見たらやばいかもこれ。慣れたけど。

 本当に嬉しそうにラーマ国王一行は食堂へと消えていった。



_____

___

_



「どうでした?」



 メフィラド国のいつものメンバーに加え、ラーマ国王達ぶんご飯を作り、間も無く完食された。

 何にせよ美味しそうに食べてくれるのは見ていて嬉しい。



「ああ、今回も涙が出るほど美味だった!」

「そうですか! 良かったぁ!」


 

 お皿まで綺麗だもんね。

 舐めたりしてる様子はなかったけど、どうやったらこんなに綺麗に食べられるんだろう。謎だ。



「ああ…ついにアリムちゃんともお別れか…」

「遠いから会いにくいんでしたっけ?」

「そうだ」



 悲しそうな表情を浮かべ、ションボリとされる。

 そんな表情されてもどうしていいかわかんないよ。

 こんな時。



「なあ、やはり嫁に来ないか?」

「むぅ…ボクには同性だけど大事な人がいるって言ったじゃないですか」

「ふむ、そうだがな」



 ラーマ国王はミカの方をちらりと見た。

 


「…ミカちゃんと一緒に…ならどうだ? ラーマ国は一部の理由があれば1人の男に対し、2人以上の嫁が_____」

「…いえ、それもやめておきます。そもそも、そんなことしたらボク達のファンに酷い目にあわされるんじゃなかったんでしたっけ?」

「そうなのだ、その通りなのだ」



 ファンである自身が、俺を独り占めしたらどうなるかをよく分かってるみたい。一瞬でラーマ国王の顔は恐怖に染まる。



「…ラーマ国王、そもそもアリムとミカはこの国外にやるつもりはないのだが……」

「おっと、そちらの問題もあったな。……はぁ」



 国王様の追い打ちに、がっくりと肩を落としてうなだれちゃった。この人にとってはこれがラストチャンスみたいなものだったんだと思う。



「……アリムちゃん……余はファンのままでいていいのか?」

「え、なんでです? いいですけど…」

「そうか、そうか。ならこのまま応援し続けよう」



 少しだけ気を取り直したようにそう言った。

 そう訊いた理由はわからないけれど、まあ…多分、告白して断られた後にその人と付き合いがしにくくなるみたいな感じのやつだと思う。



「……それと、良いのなら個人的な…いや、我が国の問題として一つアリムちゃんに頼みたいことがあるのだ。メフィラド国王も聞いてくれ」



 ハヌマーンっていう人から耳打ちされて、なにかに気がついたように注目を集めてきた。

 国王様まで聞かなきゃいけないことなんだから重要なことなんだろう。



「わかりました」

「うむ、では…アリムちゃん、もし、もし仮に余の国に魔神が復活してしまったら、その時は討伐を助けてくれないか?」



 俺の目を見据え、さっきまでとは違う王としての風格を出しながらお願いしてきたの。

 でもそんなお願い、おかしくない?

 


「魔神ならもう…倒したんじゃ…」

「そうなのだがな。このように1年の間に魔神の復活が立て続いている。大きな被害を出さず無事に封印できているために大ごとにならぬが……不安になるのは仕方がなかろう。なにせ、アリムちゃんらがいなかればそうはならなかったのだから」



 確かにそうだ。うん、よく考えたら数百年単位封印されてる魔神が一斉に現代に復活するのはおかしい。 

 そして都合よく対処できる俺がいて……考えるときりがないね。出てきたら封印すりゃいいだけだし深く考えなくてもいいかもしれないけど。



「わかりました。もし魔神が出現したら対処のお手伝いします! 国王様いいですか?」

「いや、私からも頼む。魔神に対抗できるアリムに対処に行かせない理由はない。あれは国の問題ではなくアナズム全体の問題なのでな」

「とのことなので…」



 エグドラシル神樹国のスルトルの時もすぐに行かせたもんね、国王様。



「すまない、メフィラド国王、アリムちゃん……まあ万が一にもあり得ないとは思うがな!」



 俺らに深々と御礼し、そんなフラグにもなりそうな言葉を吐いたその後、ラーマ国王は一行を引き連れ、俺に必死に手を振りながら帰って行ったの。

 ……帰ったらゆっくりミカとイチャイチャし直そう。

 いや、その前にせっかく来たんだからカルアちゃんと遊ばないとね。

 続きは明日になるかも…。ぷぅ。


実は、カクヨムという投稿サイトの【カクヨム公式レビュー企画】の第一回に本作が掲載されました(今日レビューが来たので、今日気がつきました[2017.5.15])。

嬉しいです。嬉しすぎて全身の血が沸騰しそうです(´・ω・`)ぷしゅー。

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