表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
550/1307

第五百二十七話 ラーマ国王の恋

「ふえ……」



 そう、やっぱり告白だ。

 このなんとも言えない感じはそうだ。

 予感は確かにしてたけど驚いたのも確か。

 俺は1時間も固まった…ような気がする。実際は5秒くらいだろうけど。



「ああ、すまないな。突然で驚いただろう」



 ええ、驚きましたとも。



「余は元々アリムちゃんのその美貌に強く惹かれていた。まるで魔法のようだ。気がついたらファンクラブに入ってしまっていた」



 そ、そうなのか。

 美貌ねぇ……俺はミカにしか興味ないから自分が可愛いってことしかわからないけど仮に俺も、俺から見てるミカと同じように神々しいレベルで美人に見えるんだったら…そうなんだろうね。



「そして今…ランチを食した。まさしく神の味だ……難しいことを抜きにし、単刀直入に言えば惚れてしまった。惹かれること、惚れてしまうこと…この二つが混ぜ合わさり、元々私の中にあったある感情が爆発してしまったのだ……」



 おんなじ姿勢のままでめっちゃ語ってるよこの人。

 貴族や王族の告白の仕方ってこうなのかな? 

 んー、でもルインさんやオルゴさんのイメージとは合わないからやっぱり性格次第なのかな。



「わかっている。アリムちゃんと余の年は10ほども離れている……不安もあるだろう」



 そういえばウルトさんとほぼ同い年って言ってたっけ。

 つまり22~23歳。……で、俺は13歳。

 世間一般ならまず間違いなくロリコンって言われてるよね! まあ俺とミカが大人気になる時点でこの世界の人たちはロリコンが多いんだけどね!



「また、16になるまで結婚はできないが……今の年齢でも婚約はできる________」



 16かぁ…こっちの世界で16になったら、ミカと結婚しなきゃね。そしたらもう幸せなんだけど。

 子供を作るのは25歳くらいでいいか。それまでは今みたいにイチャイチャしようね。



「________余は何を言っているのだ。そんな気が早い…と、とにかくアリム・ナリウェイ、余は貴女に恋をしている。どうか…受け入れてくれないか?」

 


 あっ、つい告白されてる時の癖でミカのこと考えててラーマ国王の話全然聞いてなかったや。

 そもそも中身が本来男である俺が、男からの告白を受け入れるわけがない。

 ……アリム的には翔とかはかっこいいと思うけど、あくまでそれくらいだし。

 断っちゃおう。



「えっと…その、ごめんなさい」



 俺は…期待に満ちた顔をしているラーマ国王にそう言い放つ。申し訳ないけどね。



「……あまり物で釣りたくは無いし、傲慢にもなりたくなかったが、余の妻となれば金や地位、権力や名声がありのままだぞ。王妃となるのだからな」



 前置きをそうつけてくれるだけでも、この人はかなりいい人なんだろうけれど……俺はただ首を横に振った。



「そ、そうか…そもそもアリム・ナリウェイはそれらを手にしていたものな。やはり…会って初めて告白するというのはダメだったか。博打過ぎたようだな……」



 本当に残念そうな顔してる。本気だったんだね。



「えっと…その、ごめんなさい」

「いやいいよ、こっちこそ突然悪かったね。またいつかチャレンジさせてもらってもいいかな。いつか」



 まだ諦めないようだ、仕方ない。

 もう正直なことはなさてしまえ…あ、ほんとは男だってこと以外ね。



「はい…あ…でもその…ボク心に決めてる人がいるので難しいです」

「ええっ!? 心に決めた人がいるのかい!?」



 ラーマ国王はそう驚いた。

 ラーマ国王だけでなく、ハヌマーンさんまで。

 …ちなみに国王様とティールさんも一瞬驚いたけれど、ミカの方を見るなりすぐに納得した表情をする。

 


「はい。ずっと好きで…相思相愛なんです」

「アリムちゃんにそんな人が居たのか……もしかしてそこのティール王子とかかな? あるいはルイン王子とか…」



 ティールさんは自分の名前を呼ばれて一瞬ギョッとしている。まあ…男の人ではないよね。

 俺はミカにアイコンタクトを送る。 

 了解したと、ミカは頷いた。



「ん? どうしたのだミカちゃん、唐突に立ち上がって……」



 その問いに答えずに、ミカは俺の真横にまで来る。そして俺も立ち上がる。

 立ち上がった拍子にミカが俺の頬にキスをした。

 ……そこまで頼んでないんだけどなぁ。ま、いいか。



「え?」



 どうやら他国から来た二人はもう何が何だかわからないみたいだ。ポカーンって顔をしてる。



「あっ…はは、言っちゃえばこういうことなんですけどね」



 思わず頬を掻きながら、ミカの肩に手を回す。

 ミカが手を回したのとは関係なく抱きついて来た。

 ……ちょっと今の話で嫉妬したのかな? 可愛いなぁ。



「そうか……そうだったのかっ…ははは、はっはっは、はっはっはっはっは!」


 

 唐突なラーマ国王の高笑い。

 なんだか悪者が悪あがきに笑う時みたいな笑い方だ。

 


「……はぁ。となると………」



 な、なんだろ、突然雰囲気が怖くなって…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ