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第四百九十五話 結婚式にあたって

 はぁ、パラスナさん兎族だったんだ。

 確かに言われてみれば髪は白いし、目は赤いしで兎をほうふつとさせる。



「あれでもマジックマスターなんですね?」

「ええ、でも獣人としてのステータスにポイントで割り振った魔力やMPは影響されないから別段大きな問題じゃないの。それに関しては」


 

 確かにそうだ。

 獣人や魔族(エルフなど)がステータス上で人違うのは、レベルアップ毎に勝手に配布されるステータスだけだから、もしスキルポイントを魔力ばっかり振ればれっきとした魔法使いとなる。



「特に問題が無いように思うんですけれど、どうして今まで耳を隠してたりしてたんですか?」



 そう、ミカがパラスナさんに質問をする。



「うーんまあ、今は問題無いかもしれないけどね、少し前…2年前までは隠しておいたほうが良かったんだよ。その名残ってやつ」



 代わりにウルトさんが答えてしまったけれど。

 その後に続いてパラスナさんも答えてくれるみたいだ。



「ウルトが奴隷解放…もとい、酷く差別を助長し、実際に裏で国内で禁止されているはずの奴隷売買を行なっていた元SSSランカーをとっちめてくれたから、今みたいに、獣人も出歩きできるんだけどね。それまではほんとに酷かったの」



 なるほど、奴隷解放の内容って、ウルトさんが奴隷売買のリーダー格のSSSランカーをボッコボコにしたっていうやつなんだ。

 てことはその時にウルトさんもSSSランカーって認められたのかな? 



「そんな背景があったんですね」

「ええ。…ちなみにウルトがそんなことした理由の半分は私のためらしいの。まったく無茶するわよね」



 パラスナさんはウルトさんを横目でみながら、嬉しそうにちょっぴり微笑んだ。



「じゃあウルトさんはなんでラストマンに?」



 またミカが質問をする。

 確かにあの謎の特撮ヒーローみたいな格好はなんなんだろうか。腕を十時に組んだらそこから光線が出てきそうだ。



「え、ああ。あの姿で元凶のSSSランカーを倒したんだけどね。なんの琴線に触れたのかわかんないんだけど、何故か人気でちゃって…。まあ宿屋に冷やかし客が来たりするのも困るし、そのまま正体を隠して活動してたってわけ」



 あ、案外普通の理由だった。

 じゃあウルトさんのあの姿はいわゆる覆面レスラーみたいなものなのかも。

 とりあえず聞きたいことは聞けたしこれでいいかな。



「…そういうことならわかりました。依頼された通りに、1ヶ月以内に用意しておきますね」

「ありがとう! 本当に助かるよね!」



 本当に嬉しそうにウルトさんは笑う。

 パラスナもまた微笑んでいる。

 結婚式っていうのは本当に大事なことだからね、いいものを一生懸命考えないと。



「それじゃそろそろ帰ろっか」

「うん」



 俺と、俺の将来のお嫁さんは立ち上がる。



「来てくれて、頼みごとを聞いてくれてありがとう」

「いえいえ! えっとそれじゃあとりあえず…1週間後に現状報告をしに来ますね」

「よろしくね」



 俺とミカは新郎新婦予定の二人に見送られながら、この宿屋『光』を後にした。



____

__

_



「「ただいまー!」」



 そう、屋敷に帰って来てから大声で二人で叫ぶ。

 するとカナタ達から【おかえり】ってメッセージがくるからね。

 それを確認したら、俺達は俺達のお部屋へと直行するんだ。



「ふー。……いいなー、結婚式かぁー」



 部屋に入るなり、ミカはベッドに飛び込んで寝っ転がりながらそう呟いた。



「俺達も結婚できる歳になったらすぐしようね」

「うんっ! それで有夢、今どんなの考えてる? 特にウェディングドレス! これ一番大事よ!」



 確かにウェディングドレスはよく考えて作んないとなぁ。これからしばらくずっと暇で退屈するだなんて考えてたけど、ドレスのデザインについてカナタ達みたいに勉強しなきゃいけないね。



「いまはまだデザインを考える時間だよ」

「そういえば私、有夢からデザインを考えるなんて言葉を聞くなんて、昔は思ってもなかったなぁ。今はほら、武器とか作るときに見た目すごく気にしてるじゃない」



 確かに言われてみればそうだ。

 今までデザインなんて…いや、そもそも絵なんて描いたことすらなかったのに、今じゃあ必死にそういうのの勉強をしようとしてる。 

 人間、どうなるかわからないものだね。



「有夢は将来、地球で何になるつもりなの? 今は」

「え? うーん考えてないなぁ」

「そう。あ、わかってると思うけど、私はもちろん、有夢のお嫁さんだからね!」

「へへへ、うん」



 俺はとりあえず考えるのを中断し、ミカと同じようにベッドへダイブした。

 そうするとミカは擦り寄ってくるから、その頭を撫でる。



「もう暇じゃない?」

「うん、そうだね。一気に忙しくなっちゃった」



 まあ暇だなんて言ってるヒマはない。

 これに加えて普段の仕事もあるんだ。

 思ったより充実してるかも。

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