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第四百九十二話 マンネリ化!?

 アナズムにて。



「…ねえミカ」

「んー? なあに?」



 ミカがいつものように俺に抱きついている。

 抱きつきながらこちらを上目遣いで見てくるんだから可愛くて仕方がない。

 いや、そんなことより要件を話さなきゃ。



「最近暇じゃない?」

「んー、そうかな。私と居るの暇?」

「いや違うよ。そういう意味じゃなくて」



 ミカにはそういったけれどここのところ、まあぶっちゃけ暇なんだ。

 リルちゃんが学校に初登校した初週が終わった日。

 アナズムの方が悠々自適に過ごせるということで、カナタが1週間学校に行き、2週間アナズムで過ごすという提案をしてきた。

 まあ、日にちの組み合わせなんてとくに考えてないから全員それでいいってことにしたんだよね。

 それで今はそれのお試し期間ってことで、最初にアナズムに2週間過ごしてみてるんだ。


 今日はその4日目。暇で暇で仕方がない。

 やることがなくなってるんだ。

 いやまあ、アイドルのお仕事だったり、ローズが訪ねてきたりはしてるんだけどね。それ以外の日が…ね。

 例えば2日目。試しにアナズムの世界にダークマターで俺たちの学校の教科書を呼び出して、俺とミカとショーとリルちゃんで勉強してみたりした。

 器用が起因してるのか、それとも魔力が関係してるのか、もしかしたら素早さかもしれない。

 高校3年間分の事柄を1日で勉強し終えたてしまった(無論、時間を遅くするマジックルームに篭ったりもしたけれど)。


 弟曰く、アナズムでの記憶は地球にも引き継がれるため、アナズムで勉強したらその効果はそのまま地球の方で生かされるらしい。

 そんなカナタはサクラちゃんと一緒に一昨日から昨日の2日間かけて、マジックルームにこもり、俺に教材をださせて中学・高校の勉強を終わらせてしまっているんだ。

 試しに今朝、センター試験の過去問を創り出して解かせてみたところ、本職の高校生としては認めたくない点数を中学生であるカナタが弾き出していた。

 早く言っちゃえば全教科満点。


 サクラちゃんはセンター試験まで試してないけど、ほぼ同じことができるんじゃないかな。

 姉であるミカがそう言ってたしきっとそうなんだろう。


 じゃあ次に何するか。

 資格の勉強でもするかとも考えたけど、さすがに勉強ばっかりしてもつまらない。

 なら絵を描いてみたり、音楽をしてみたりとも思いついたけれど…それは全てスキルでまかなえてしまう。


 一方でならば俺ら以外は何してるかというと、ショーは筋トレや運動を…リルちゃんはそれに付き添ってるらしい。

 カナタとサクラちゃんはまだ勉強してる。

 そんなになにを勉強してるんだと言いたくなるけれど、とりあえず勉強してるみたい。


 4人はやることを見つけて何かをしているというのに、俺とミカはこうしてお部屋で抱きつきあったり、キスしたりしてるだけなんだ。

 俺の大好きだったゲームをするのも悪くはないんだけど、そうするとミカがおざなりになっちゃうし。



「うーん、あ、じゃあこうして二人でイチャイチャしてるだけなのが暇ってこと? イチャイチャ事態が嫌ではないの?」

「そうそう、そういうこと」



 俺の考えをたったの2回で当ててしまったミカはさすがだね。ふふふ。



「うーんならもっとイチャイチャするとか? 例えば…ね、わかるでしょ? 言わなくても」



 ミカがモジモジしてる。

 確かにそれも悪くはないかもしれないんだけど…。



「一昨日に勉強し終わってからじっくりしちゃったしなぁ」

「そうだけど。でも私ならいつでも何回でもいいよ? なんなら24時間ずっととかでも」



 真面目な顔でそんなこと言うからね、ミカは。

 でも俺としては。



「マンネリ化が怖い」

「ま、マンネリ化……!? する…の?」



 ミカが驚いた表情をしてから、うっすらと涙目になる。

 こういうところも本当に可愛い。



「いやぁ、しにくいとは思うけどね。だからこそ怖いんだよ。大事なミカとの行為が特別なものでなくなっちゃうのが」

「な、なるほど。それじゃあどうしよっか……もういっそのこと、有夢と私の子供を作っちゃ_____」

「それはいけない」

「だよね」



 うーん、何かいい暇つぶしの方法がないかなぁ。

 たとえばミカと二人でカナタとサクラちゃんみたいにボードゲームをして遊ぶとか。

 でもそれも今日や明日明後日は凌げるかもしれないけれど、いつか絶対飽きちゃう。

 どうするかなぁ…。



「まだ何か考えてるの? わ、私はね。有夢、こうして有夢と一緒にいるだけで嬉しいよ。 それどころかハグしたりキスしたり、十二分に幸せなんだけど」



 そんなミカの言葉。

 …ああそっか。無理に何か考えようとしなくても良いんだ。ミカのことが心底好きだから、こうしているだけで幸せ……うーん、そのことを今の時間、なぜかすっかり忘れていた。いけないいけない。

 よもやミカとなにしようがマンネリ化なんてするわけないのに。



「ははっ…そっかぁ、そうだよね。ごめんごめん。無理に何か考える必要なんてないね」

「へっへへ、わかってくれましたか。嬉しい! すーきっ」



 ミカはより強く抱きついてくる。

 


「俺も好きー」

「えへへー」


 

 こうして今日も、明日も過ごそうと思う。

 そう、思うって心の中で宣言した矢先、頭の中にメッセージが入り込んできた。

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